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2012年6月21日 ビジュアル・デザイン・リテーラー。
明治の終わりから昭和初期にかけて 作られた手拭を復刻販売、 またその手拭をアレンジした小物販売を行っている 京都の「永樂屋」の十四代目、細辻伊兵衛氏をご紹介する。 細辻氏は私が座長を務める京都ブランド研究会のメンバーでもある。 このたび、ヘア化粧品製造大手のアリミノが主宰している スクランブルクラブでご講演いただいた。 永楽屋は江戸初期の1615年に創業した、 文字通りの「老舗」である。 同社のHPを開いていただければわかるが、 その日本的デザインの美しさは見事なものである。
細辻伊兵衛氏の創作哲学は、 「すべては無常だが、気づきによって新しくしていく」ということだという。 無常とは「常無し」すべては変化していくということだ、 そこにその時代の感性と気づきによって、新しさを創造していくのである。 お弁当の中身は作り手によるが、それをどう包むかのデザインは 手ぬぐい、布屋さんの仕事である。 ビジュアルデザインは、ますます世界的に必要度をましていく。手ぬぐいに映し出された 視覚的和の感性は世界に通用するだろう。 細辻伊兵衛氏は、言わば不易流行の和のビジュアル・デザイン・リテーラーだ。 京都から未来へ、である。 そのことを心得て伝統を引き継いでいる。 これからもデザインの世界に新境地を開いていただきたい。 |