2016年9月28日
The Little Mermaid
ニューヨークでは美術館も移動・再編をし、パーソナルミュージアムと呼べるような小規模なものに至るまで、多彩にその頭角を現し存在証明も重ねつつ新しい街角と潮流を作り、街そのものをミュージアムに変えている。
あちこちでアーティスティックポジションに手を挙げ、未来に向けて変革と創造を断行するアーティストやミュージアムの存在が、ニューヨークという街の変化の特徴だと言える。
パーソナルセレクションを軸足としたミュージアムの中で、この草間彌生の『The Little Mermaid』という絵本を見つけた。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの原作に基づき、イラストレーションは彼女のセンス高い解釈でオールモノクロームで構成され、アンデルセンと草間彌生の共作による新たなビジュアルブックという印象を受けた。
童話の人魚姫は、自らのことであると見切って自分自身の自画像に引き寄せ、そこで見つかる時代の感受性を再発見している。
なかなか見つけられない絵本に遭遇できた幸運に感謝している。