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2017年7月23日

気持ちを突き動かす「ファッション化」の未来 浜野安宏

 


 

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人類は都市文明によって、欠乏から解放されました。人類は欲望のまま生きていく自由を手に入れました。次に何をしようかという変化を生み出すのが欲望です。

それを「ファッション」と表現し、現代社会をファッション化社会と呼んでいます。そして、変化が産業を育てていきました。だから、すべての都市はファッション都市となるような言い方をしています。

私も含め、古い社会体質の中では自分の個性というか、願望をもっと強く表に出して創造的に生きたいが、それを抑えて生きていかなければなりません。

私の場合、その葛藤を釣りで代替えしてきました。しかし、本当は自分を表現したかったのだと思います。それは、祇園の高級お茶屋でランチを始めた若女将や泉岳寺の建築紛争で立ち上がった女性、みんな自分を表現したいと思っているのではないかと思います。たまたま私の場合、それが映画でした。私が表現したかった世界観を『さかなかみ』であらわしたのです。

その根底にあるのは、一人ひとりが熱意を持って何かに打ち込めば、必ず誰かの気持ちを突き動かすことになるという想いです。

混沌とした今の日本社会を見ていると、その熱意がどこか冷め切ってしまっているように感じてしまい、残念に思えてなりません。

誰もが「ファッション化」していける社会になってくれることを願っています。

[2015年8月1日発行『構想の庭』第1号  再録]

日本が乗り遅れた情報社会の情報には2種類あります。一つは、新聞のニュースのように、知る人が少ないほど価値がある情報です。もう一つは、知る人が多ければ多いほど価値がある情報です。それはベストセラーの小説やミリオンセラーの音楽です。一人だけが素晴らしいと評価してもあまり価値はなく、多くの人が素晴らしいと評価すれば価値が増える情報です。
この共感する人が多いほど価値がある情報は「情緒」と表現するのがいいと思います。日本は情報では出遅れたかもしれませんが、「情緒」では世界でも有数の国です。これが魅力ある国の基本になると思います。
[2015年8月1日発行『構想の庭』第1号  再録]

 


 

浜野安宏(はまのやすひろ)

1941年、京都生まれ。株式会社浜野総合研究所代表取締役社長。FROM-1st、東急ハンズ、AXIS、QFRONT、青山AOなどを総合プロデュース・商業コンサルタント、その他多数プロデュース。昨年、初の映画監督作品「さかなかみ」を公開。著書に『ファッション化社会』『質素革命』『浜野安宏想いの実現』ほか多数。

 

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