● 気づきの偶像 |
2017年7月24日 ノックしないドアは開かない 水野誠一
今こそ、もう一度、経済概念を見直す時が来ていると思います。 きっと、誰もがあらゆるところで矛盾があることを頭ではわかっていると思います。しかし、根本的な部分を腹でわかっていないと本当の理解は得られません。そこから脱却できないのは、過去の成功体験が邪魔をしているからでしょう。その成功体験を捨てることが大切なことです。 成熟期には「似て非なるものが通用しない」という特徴があると思います。しかし、たとえば、シニア向けの商品開発を行っている企業は、蓋を開けてみるとほとんど「似て非なるもの」です。 その上で、今、戦略、構想、マーケティング、ターゲッティング、それらすべてに「したたかさ」が求められます。シニアを対象にした商品も、コピペした商品であれば、すぐに見抜かれてしまいます。その本物であるかどうかという違いは、とても感覚的なことですが、それが今、強く求められていることです。 私の妻の台詞で印象的な言葉があります。私がアイデアを話したり、批判したりする言葉を聞いて「ノックしないドアは開かない」と言われました。 結局、何事も自ら実践していかなければならないということです。しっかりと行動に移し、社会を自ら変えていくという気概を持っていくことが何よりも大切なことなのです。 [2015年8月1日発行『構想の庭』第1号 再録] この共感する人が多いほど価値がある情報は「情緒」と表現するのがいいと思います。日本は情報では出遅れたかもしれませんが、「情緒」では世界でも有数の国です。これが魅力ある国の基本になると思います。
[2015年8月1日発行『構想の庭』第1号 再録]
水野誠一(みずのせいいち) 1946 年東京生まれ。西武百貨店社長、米国ネットスケープ・コミュニケーションズ社顧問、慶応義塾大学総合政策学部特別招聘教授を経て、1995 年参議院選挙に当選。同年(株)インスティテュート・オブ・マーケティング・アーキテクチュア(略称:IMA)を設立。現在、地域と流通企業のブランディングプロデュースを手がける。
|