2018年2月15日
エネルギーみなぎる"昭和時代の波"を写した写真集
平成が終わることが発表され、いま一度「昭和」という時代が持っている特徴や使命を振り返る。
敗戦から復興し、東京オリンピックと高度経済成長を経て、国際的な都市構造とグローバルプレイヤーとしてのポジションを求め、日本はスタートアップする。
写真集を通して昭和の時代を俯瞰すると、時代の風景そのものが、我々の記憶の中に感情として蘇る。
木村伊兵衛氏から入江泰吉氏に至るまでの優れたフォトジャーナリストを生んだこの時代に感じ取り共振するものは大きい。
一人ひとりが時代の持つ息吹を浴び、突き抜けた役割を見聞きしながら手探り状態で新しい未来を創造しようとした。
この圧倒的な未来志向と思考を超えたエネルギーが昭和の大きな特徴だ。
旧態依然の価値観と先行しすぎたグローバリズムを持ち合わせながら、結論が出ないまま次の時代に行く。
そのカオスが、果敢な未来融合のソースを内包していたのだろう。
時代は常に転がり続け、より良い価値観も時代に伴って変化していくため、人々はいい意味で洗練されていく。
自分らしく自由を生き、地球を財として捉えられると、地球社会の住人として生きていく未来が現れる。
当時の人々から見れば、今の我々は先行したエコロジストのように見えるかもしれないが、今の暮らしも我々の未来の日常と繋がっている。
時代は区切って理解するのではなく、象徴される時代の波が、次の時代の波とどう繋がっていったのかを知ることが重要だと思う。
『昭和 -写真家が捉えた時代の一瞬-』
出版社:クレヴィス
定 価:2,400円+税