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2018年2月20日 美術手帖
情報社会の特性として時間消費や体験型消費に代表されるように生活者は感動への参加を求めて移動し、滞留する。
感動や感激は技術的な側面で語られるのではなく、シナリオライティングやドラマメイキングという物語を共有したいという新たな価値を形成する。
イベントや体験学習が集合地となる特集型学習の時代は、生き方のヒント、過ごし方のヒントが新たな価値学習のフレームワークとなっている。
映画や演劇のような時間の流れを持つ芸術表現はドラマメイクとしてよく理解できる。 我々はドラマデザイナー、ドラマクリエイター、ドラマアーティストとなり、様々な表現芸術を塗り替えていく。
例えば、ミュージカルも劇場で観覧する情況から脱皮して、カフェやレストランなど日常の中で感受できるクラブドラマとなれば、カフェもまた、シアターである。
ショッピングセンターはホテルやミュージアムなどを組み込み、時間の過ごし方そのものにミッションを切り替えていかなければならない。
今号の『美術手帖』は、その気づきが詰まった特集となっている。ヒットドラマが出ると、生き方としての価値軸が一つが社会表現となる。
人生ドラマは、スクリーンに映し出された演者を超えて、生活者一人ひとりを感化する。そして、その人の時代性と独自性を高め、その価値は市場化して行く。
感動をドラマツーリズムと見切った時、その流れを確認することができる。その片鱗を特集した今号の『美術手帖』は時代と合流している。
出版社:美術出版社 価 格:1600円+税 |