長寿の森Nexthink-今日の中に現れる
高齢社会に関する様々な情報を丹念に集め、
それらがどのように連鎖しているかを読み解き、
そこに価値の新たな潮流をキーワードへしていくメディアです。
毎月40~50に及ぶ事象を分析し、
次なる価値観の発見につなげていきます。
<情報分析 谷口正和>
■個性のフィナーレ
人生最期のシーンで、個人の特性や
築きあげた功績を伝える演出が重要になってきました。
最近は、お別れの場面でその人が生涯を通してなし得たことや
持ち続けた興味領域を表現するケースが増えてきました。
短い時間の中に凝縮された最期の演出は、立ち会った人々の心に
「あの人らしいセレモニーだったね」という思いを静かに残していきます。
また、死を前にして、社会へ、友人へ、家族へどんなメッセージとして残すのか、
自分をどのような人間としてそれぞれの人の心に刻んでおいてもらいたいのか、
自分自身で考え、シナリオをあらかじめ用意する人も中にはおられます。
実現できている人は、今の段階ではまだ一部に過ぎませんが、
誰しもが同様に抱いている願いではないでしょうか。
従って、今後はより一般的な個人レベルで
「どのようなフィナーレを描くか」についての
具体的なシナリオが求められると感じています。
結婚式が、一般的な式場から次第にレストランウェディングや
ビーチウェディングへと多様化したのと同様に、
最期を飾る舞台も、「個性のフィナーレ」として
より多彩なメニューやシナリオを用意することが重要です。
<事例①>ジャズのライブ演奏で賑やかに送られた、立川談志さん
昨年11月に75歳で亡くなった立川談志さんの「お別れ会」が
12月21日に開かれ、各界の著名人約千人が希代の落語家との別れを惜しんだ。
祭壇には座布団と愛用した湯飲み、扇子、着物などが飾られ、高座を再現。
談志さんが好きだった「ザッツ・ア・プレンティー(これで満足)」も
デキシージャズで生演奏されるなど、終始にぎやかに進行。
友人の石原慎太郎都知事が「あばよ、さようなら」と弔辞を述べた。
(東京新聞 12/22)
<事例②> プロゴルファー杉原照雄さんの棺には、
用具メーカーとの来期の契約書
プロゴルファーの杉原照雄さんは、昨年12月に死去(享年74歳)。
「人に迷惑をかけたくない」という本人の意志を尊重し、葬儀は近親者のみで。
棺には、ゴルフ用のセーター、レインウエア、木製ティーなどに加え、
長年用具契約を結んでいたデサントとの来期契約書が入れられた。
4月の今期ツアー開幕戦では、杉原さんの追悼イベントとして、
尾崎将司、石川遼ら主力選手による追悼ティーショットが行われる予定だ。
(スポーツ報知 12/31)
<事例③> 俳優の入川保則さんは、
段取りをすべて自分で決めた「自主葬」を
がんを公表し、約1年5カ月の闘病の末、
昨年12月に亡くなった俳優の入川保則さん(享年72歳)。
葬儀は、戒名もなく、読経も自分が吹き込んだものを使う「自主葬」。
参列者への挨拶も、あらかじめ録音された本人の声によるメッセージが流された。
亡くなる直前に出版した「自主葬のすすめ」(ワニブックス)は、
自分らしい最期の実践書として話題を集めている。
遺作となった映画「ビターコーヒーライフ」は5月公開。
(スポーツ報知 1/5)