長寿の森Nexthink-今日の中に現れる
高齢社会に関する様々な情報を丹念に集め、
それらがどのように連鎖しているかを読み解き、
そこに価値の新たな潮流をキーワードへしていくメディアです。
毎月40~50に及ぶ事象を分析し、
次なる価値観の発見につなげていきます。
<情報分析 谷口正和>
■自立自歩
自分の意志で選びとりながら、生活をデザインしていくことを表します。
自分の足で立って歩き続けることが、
長寿社会を生き抜く基本的なスタンスであることは何度も指摘してきました。
この「自立自歩」がもたらす最大の幸福は、「自由である」ということです。
誰と暮らすのか。どこで暮らすのか。
すべてを自分の意思で選びとる自由を与えられたと考えれば、
これからの生活をデザインすることがとても楽しみになるのではないでしょうか。
誰かに押し付けられるのではなく、
自分の意志で選び取りながら生活を組み立てていくのです。
旅に出る時、最初から仲間と共に行くのも楽しいものですが、
一人で参加をして旅先で多くの友を得るのも、
一人だからこそもたらされる新しい発見です。
一人という言葉には、孤立や孤独というどこかネガティブな
イメージがつきまといますが、決してそうではありません。
はじめから家族や誰かを頼るというシナリオを選択する前に、
まずは「自立自歩」を前提に考えてみましょう。
そうすれば、理想とする生活圏には何が必要なのかが見えてくるはずです。
<事例①>高齢者向け住宅、札幌の「越冬プラン」が好評
札幌市でスタートした冬期限定&短期入居の高齢者向け賃貸住宅が好評。
北国の暮らしにつきものの雪かきや買い物などの負担軽減が売りだ。
学生寮だった建物を改装、朝夕2食付きでマネジャー夫婦が常駐し、
急な体調不良にも24時間対応。3~6ヶ月の契約で、
部屋にはベッドやテレビなど完備しており、冬だけの入居も可能だ。
“住み替え”はハードルが高くなるが、
一定期間の仮住まいとして選択できるのは便利。(MSN産経ニュース 1/10)
<事例②>デイサービスのイメージを払拭した、新タイプのリハビリ施設
奈良市郊外にあるリハビリ施設「ポシブルイオン高の原」は、
介護保険の「デイサービス施設」だが、風呂も食事も遊びもない。
代わりにあるのは週平均2回、1回3時間、1人500円で取り組めるプログラム。
利用者は鏡の前でひもを引っ張ったり、
筋肉を鍛える運動器具を動かしたりしてリハビリに励む。
退院後にリハビリと縁が切れると加速度的に弱るため、
自立度の維持のためにもっと施設が必要。(朝日ドットコム2/25)
<事例③>「65歳以上=高齢者」見直しの議論が始まる
内閣府の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書」で、
65歳以上を高齢者とする現在の区分を見直す必要性を指摘。
65歳以上を一律に「支えられる人」という社会の仕組みを改め、
意欲と能力のある65歳以上は社会の支え手に回るよう提起した。
65歳以上を高齢者と区分したのは1950年代。平均寿命の延びとともに、
健康で就業意欲のある自立した高齢者が増加、
是正に向けた動きがスタートした。(日経2/24)