97歳の幸福論。
ひとりで楽しく暮らす、5つの秘訣
笹本恒子 著
クリエイティブエイジングをそのまま形にすると、
まさにこんな生き方なのではないでしょうか。
そんな風に考えてしまう1冊です。
著者・笹本恒子さんは97歳の現役カメラマン。
昨年、それまで公表していなかった年齢を明かし、
大手新聞で紹介されたのがきっかけで一気に時の人になりました。
一時は夜中まで仕事や取材がかさみ、
ごはんも食べられないほどの忙しさだったそうです。
この本を読んで驚くのは、筆者の創意豊な生活ぶり。
それもそのはずで、読めば、カメラマンでありながら、過去には絵やファッション、
クラフトなどの勉強もプロ並みにこなしているのです。
それとカメラマンならではの豊富な海外体験。
いまも衣服やアクセサリーは手作りが多いのだそうで、
その一部が本書の中で紹介されていますが、さすがのセンス。
素人とは思えない素敵なデザインです。
食生活についても「食べることは生きること」という持論にもとづき、
原則手作り。方法にもこだわりが感じられます。
筆者の言う、"ばら色の人生"を送るのに、
確かにその豊富な経験やセンス、ネットワークが役立っていることは
間違いないところだと思いますが、
伝えたいのは、「大切なのは、生活をより豊に素敵にしよう、
暮らしを少しでも楽しくしようという、本人なりのちょっとした工夫なのよ」
ということではないでしょうか。
◎ "温かい"家で暮らす
◎ ちゃんと食べる、ちゃんと歩く
◎ 身だしなみに手を抜かない
◎ 年齢を悟られずに生きる
◎ 読む・書く・仕事&恋をする
筆者のクリエイティブライフの実践が、
この5つの秘訣としてまとめられています。
ちなみに人生の爛熟期は50代、60代だそうです。
そう聞いて、個人的には大いに明るい気分になりました。
■発行:講談社 1400円(税別) B6判/160P