2012年7月 6日 13:15
前向き。
93歳、現役。明晰に暮らす吉沢久子の生活術
吉沢久子 著
年を重ね、“時間持ち”になることは少しも嘆くことではなく、
むしろ感性豊かな生活にシフトするチャンス。
そんな“前向き”なメッセージにあふれた一冊です。
著者である吉沢久子さんは、家事評論家として、
近年もエッセイの執筆や講演活動と幅広く活躍されています。
一人暮らしのお住まいは、「あまりに緊張感がないと
自分の能力がもぎとられてしまう」として、ノン・バリアフリー。
「自分のことは自分でやる」という自立した生活を送っています。
吉沢さんにとって、「食べることは生きること」。
自称“くいしんぼう”の93歳(当時)は、各地のラーメンをお取り寄せして
食べることもあるとか。一人の食事は手間を惜しまず作り、
好きな器に盛り付け、豊かな気持ちでいただいているそうです。
昔のように気軽に外出できなくなっても、
その分「自分の中で楽しもう」と前向きに考える。
懐かしい思い出を手繰り寄せて記憶と感性を刺激したり、
戦争中の自分の日記を編纂することを楽しんでいるようです。
毎朝、全国紙を三紙と『新潟日報』を比べて読み、
思わぬ発見を楽しんでいるというのには驚きました。
この本を読み、改めて気づかされました。
自分の気持ち次第で日々の生活は豊かでクリエイティブなものに
なっていくということ。そして、感性や好奇心は
幾つになっても磨き続けていけるのですね。
■発行:マガジンハウス 1300円(税別)B6判/184P