2012年11月 1日 13:26
『温泉と健康』
阿岸祐幸 著
日本は世界で一番の数を誇る温泉大国。
そして、温泉は休養の代名詞的存在でもあり、日本のみならず、
海外からもたくさんの人々が日本の温泉に集まります。
温泉にはさまざまな効果・効能がありますが、本書は、
泉質だけの話ではなく、周囲の自然環境や予防医療の観点からも
「温泉療法」のすばらしさを解説してくれています。
たとえば、自然がたくさんあり、空気の澄んだ温泉地へ行くことで、
心身のストレスから開放されます。
そして、温泉浴で体が温められた結果、血行もよくなり、
老廃物の代謝、排出も促され、生態機能が少しずつ変化し、
自然治癒力も高まるのです。
極端かもしれませんが、現地に行くことで、
健康への第一歩が確実に生まれるといっても過言ではありません。
もちろん、こういった話だけではなく、泉質による療法や、
生体リズムへの影響、海外での自然療法のレポートなど、
温泉療法の知られざる効果がたくさん書かれています。
ヨーロッパでは、温泉療法に健康保険が適用される国もあるそうです。
著者である、阿岸祐幸先生は、北海道大学名誉教授、医学博士、
一般社団法人健康保養地医学研究機構代表理事を務め、
長年、温泉気候医学を研究されてきました。
ヨーロッパの温泉医学会で研究成果を発表し、
現地の温泉学者や施設に触れることによって、
日本の温泉資源のすばらしさや、
ヨーロッパに見習わなければいけない部分などを学んだそうです。
1931年生まれの阿岸先生。
現在も理事を務め、現役で働いてらっしゃる健康の秘訣は、
温泉療法を自ら取り入れて、実践されている結果ではないでしょうか。
■発行:岩波新書 700円(税別)