「趣味を生かすことを考えなさい。一度捨てたものでももう一回見直して、
やってやってやり抜けば、必ず実ります。だから何でも勉強しておきなさい。
芸は身を助く。今からでも遅くはないです」。
日本初の女性フォトジャーナリストとして知られる笹本恒子さんは、
会場に向かって力を込めて語りかけました。
東京都・渋谷区でこのほど開催された「しぶやフォーラム2012」
(主催:しぶやフォーラム実行委員会、共催:渋谷区)のテーマは、
「発揮しよう!いま求められる女性の力」。
20周年を迎えた渋谷女性センター・アイリスが、
女性のライフステージや生きがい実現などに着目して開いたもので、
これはその記念講演の一節です。
9月で98歳を迎えた笹本さんは、まさに女性の力を発揮し続ける存在。
講演のなかでも、「本当は絵描きになりたかったんです。
でも、写真家の道に入り、その後も必要に迫られて洋裁や工芸、
フラワーデザインなどいろいろなことをやりました」と
人生を振り返りながら、ひとつのことに執着するばかりでなく、
押し寄せる現実を柔軟に受け止め、それに合わせて自らを
変化させていくことが人生を切り開く重要なポイントといった
メッセージを送りました。冒頭のコメントは、
だからこその一言なのではないでしょうか。
71歳で写真家として復帰を果たし、いまなお現役カメラマンとして、
様々な出版物や講演会などにひっぱりだこ。大忙しの毎日だそうです。
そんな笹本さんの健康の秘訣は、赤ワイン。
「ポリフェノールはとても体によい」と、毎晩170㏄を“主食”として
飲んでいると言います。また「動物性脂肪も過ぎない程度にとるべき、
魚も焼料理よりフライにしたほうがごちそうに見えるでしょう」と、
独自の“食の哲学”も楽しく語りました。
最後に、「今の日本の世の中は、お年寄りに厳しいですね。
私も本が出るようになってから、公共サービスなどにいろいろと変化がありました。
海外では、例えばフランスでは、パリの郊外にお城のような
芸術家専用の老人ホームがあるのですが。。。」と、
日本との認識の違いにチクリと苦言を呈し、会場をわかせていました。