~福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想~
アジアの玄関口である九州・福岡市では、
街をまるごと高齢化対応の“博物館”に見立て、
アジア諸国からの視察を受け入れて
集客交流事業の展開を図るとともに、
高齢化モデル都市としての街づくりを
進める取り組みが行われています。
この取り組みは、05年に九州大学アジア総合政策センターが
福岡市に対して政策提言した
「福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想」が
きっかけで始まったもので、同構想は06年度の
内閣官房全国都市再生モデル調査に採択され、
本格始動しました。その後、08年には構想実現のために
NPO法人アジアン・エイジング・ビジネスセンター(AABC)
が設立されました。
AABCは、産学公が連携し
「福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想」で掲げた、
福岡をアジア地域における高齢化問題に取り組む人々にとっての
拠点化することや、高齢者が安心して暮らせる街づくりを
福岡市においてモデル的に実現することを
目的とした組織として活動しています。
福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想が掲げる
「福岡をアジア地域における高齢化問題に取り組む
人々にとっての拠点にすること」については現在、
AABCが中心になって活動。AABCはアジア各国から
福岡市の高齢化対応を学びにやってくる視察団のコーディネートや、
福岡での研修の受け入れなどを通じて集客交流事業を推進しています。
ひと足先に高齢化社会に突入しつつある日本の高齢化対応は、
これから日本の後を追うように高齢化が進むアジア各国、
とりわけ韓国や中国などからの視察ニーズが多く、
ピークの09年には年間約300名が福岡市を視察しました。
AABCでは、それまで海外からの視察窓口を務めていた
市の保健福祉局の仕事を肩代わりし、
市側の負担軽減に貢献すると同時に、
より視察ニーズに合ったプログラムの開発や、
視察受け入れに欠かせない福祉視察通訳者の養成や
視察用教材の作成などを行っています。
福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想で掲げられた
もう一つの目標である「高齢者が安心して暮らせる街づくりを
福岡市においてモデル的に実現すること」は、
福岡市総合計画づくりの中で進められています。
福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想を、
当時九州大学教授として提唱した小川全夫氏は、
現在AABC理事長を務める一方で、
福岡市総合計画審議会の副会長も務めており、
福岡市の街づくりに深くかかわっています。
福岡市によれば、福岡エイジング・オープン・ミュージアム構想は、
提唱から7年が経過するなかで市政の
さまざまな面に浸透しつつあると同時に、
小川副会長を通じて構想のコンセプトは
今後も福岡市の街づくりに反映されていくことになるとのことです。