2013年1月21日 13:37
千葉公慈/来馬明規 著
江戸時代の曹洞宗の学僧、
卍山和尚(1636~1715)と面山和尚(1683~1769)が
受動喫煙の害を説いていた語録に現代語訳と注釈・解説を添えた本書。
千葉県宝林寺住職・駒沢学園准教授の千葉公慈氏と
循環器内科医・基礎医学研究者として
病院・研究機関に奉職したのち、
2005年から東京巣鴨・曹洞宗萬頂山高岩寺住職に
就任した来馬明規の共著で、
当時、すでに厳格な禁煙の教えがあったことを論証する一冊です。
原文、解説とも大きな活字で書かれていて、
最新の医学的知見や依存症の問題に言及しながら、
“禁煙戒”を主張しています。
また、現代の灰皿を備えている仏教寺院にも言及し、
戒律を保つ日常を送らなければいけない
出家者に対して警告も兼ねています。
本書内で度々登場する
「僧侶が袈裟を身に付けたまま喫煙している写真」は
とてもスキャンダラスで、
江戸の教えと現代の矛盾を説明するのに
大きな役割を持っているように感じ、
とても興味深い“挿絵”となっています。
(顔部分にはモザイクが・・・)
喫煙の害は様々な形で提唱されていますが、
本書は、喫煙の害を“江戸時代の訓戒”という
新しい角度からアプローチした、
斬新な1冊と言えるでしょう。
■発行:仏教タイムス社 1,200円(税別)