2013年2月22日 13:40
『切に生きる』
瀬戸内寂聴著
瀬戸内寂聴氏の数ある著作の中から、
『切に生きる』を説いた文脈を選び抜いて編纂された書籍です。
「感動する喜び」「愛する幸せ」「生きる愉しさ」にあふれた人生を、
人はどのようすれば送れるかについての極意が
八つの視点から綴られています。
第一章の「生きるちから」は、
「豊かな生とは、めぐりあいの記録の美しさと
おびただしさに支えられている」に始まり、読み進んでいくうちに、
まるで瀬戸内寂聴氏の語りをどこかの会場で
聞いているかのような錯覚に陥るのが不思議です。
「元気の秘訣は?」の問いには、
「何の秘訣もないので教えようがない。
強いて探せば、自分の実年齢に
こだわらないことだろうか。
自分よりうんと若い人たちとつとめて会い、
彼等の生気を吸い取ることだろう」と。
また、「生きるという技術の中には、
いかに美しく忘れるかということも大切な
要素としてふくまれているのではないだろうか」とし、
忘れ上手が健康と長寿の秘訣とも表現しています。
文字サイズを大きくし、行間に余裕をもたせた
本書のデザインが、読む者の心にもゆったりとした
時の流れを運んできてくれます。
ちょっと心につまずきを感じた時、ぜひ手にとってみてください。
■発行:扶桑社 1,100円(税別)