『怒らない禅の作法』
枡野俊明著
曹洞宗徳雄山建功寺住職 庭園デザイナー
多摩美術大学環境デザイン学科教授
ストレスが溜まり続ける世の中で
「怒らない方法」を見つけることは
人生の充実につながります。
しかし、怒らない日常を送ることは
とても難しいことと思いがちですが、
『怒らない禅の作法』は、シンプルな考え方で
毎日を豊かに送ることを提案してくれる一冊です。
本書の中では、
必要以上に人間関係を広げることも怒りの原因に
なると書かれています。
忙しいこと=人生を充実させること。
そう考えている人ほど、自分が本来やるべきことが
おろそかになり、周囲から置き去りにされると
不安になりやすくなる。
結局は、スケジュールをこなすことが
目的となってしまい、思惑通りに進まないことが
大きなストレスを生むことになるというわけです。
本来なら感じなくてよい怒りをわざわざ自分で作り出す。
これ以上、ばかばかしいことはなく、
人生には1人でも2人でも、深く心を開いて話せる友がいれば、
それで十分であると松野氏は話します。
また、「主人公」という言葉がありますが、
これはもともと禅語だそうです。
誰もが自分の中に仏様と同じ輝く
仏性(仏と同じ尊い性質)を持ち、
その姿に出会うことが、本当に自分を生きることにつながる。
しかし、人は自分が主人公であることに簡単に気づけない。
何ものにも侵されない尊い自分がいることがわからず、
人と比べて落ち込んだりと、
相手を自分の人生の主人公にしてしまいがちです。
自分の姿を失う前に、子供の頃を思い出してみましょう。
自分を卑下したりせず、好きなことにひたすら
没頭していた時こそが、主人公が自分でであったはずです。
■発行:河出書房新社 1,200円(税別)