ヘルシーデザインクラブ(HDC)では、
健康や高齢社会の分野等に関するメディア情報を多角的に分析し、
その潮流を1つのキーワードにまとめ上げ、定期的に提示しています。
第14回目となったメディア分析会議“CANALYZE”より
抽出されたメインキーワードは、「私の2020」です。
2020年の東京オリンピック開催が決まったことで、
人々は大きなシナリオを手にしました。
1人1人が7年後の自分を思い描き、心を新たにしています。
世界とつながるであろう瞬間を直観しながら、
人生に新たな活性軸を得たのです。
過去を忘れて未来に向かって生きるという流れに、
ますます拍車がかかっていくことでしょう。
生き生きとした自分であろうと願う時、
人々は新たな学びの場を求め、スポーツに励み、
意欲的な日々を組み立てようとするのです。
生涯現役で、果敢に生きようとする人が
「私の2020」という新たな目標を得たことで、
社会のエネルギーとして生きる自分をイメージし、
未来に向かって歩み始めます。
今回の分析対象となったメディアの中から、
いくつかの事例をご紹介します。
『99歳、現在進行形ね。』(小学館)は,
前向きに歩き続けるカメラマン・笹本恒子さん(99)の著書。
カメラマンとしての仕事がなくなった時期も洋裁の技術と知識が
自分を救ってくれという笹本さん。
「自分で自分を養うと強く思って生きてきたことが、私の生きる力
になった」と語っています。
朝日新聞(9月19日)は、「よりよく年齢を重ねるということ」というテーマで
3名の医師の言葉を紹介。
塩谷信幸先生(北里大名誉教授)は、
「年齢を重ねるにつれて、過去と折り合いがつけられるようになった。
自分を認めることは、よりよく年齢を重ねるための一歩。」と述べています。
「いきいき」10月号には、衣装デザイナーのワダエミさんが
取り上げられていました。
黒澤明監督の映画「乱」などで知られるワダエミさんですが、
「自分の思ったことをやり続けることは大切。
長く継続して培ったものこそが、大きな力になると思っている。」と話し、
「古いことはどんどん忘れてしまわないと、新しいことができないんです」とも。
過去を振り返らず、常に明るい未来を見据える人々の姿が、
東京オリンピック2020が決まったことで、
より浮き彫りになってきました。
「私の2020」はこれらの背景から生まれたキーワードです。