ヘルシーデザインクラブ(HDC)では、
健康や高齢社会の分野等に関するメディア情報を多角的に分析し、
その潮流を1つのキーワードにまとめ上げ、定期的に提示しています。
第19回目となったメディア分析会議“CANALYZE”より抽出された
メインキーワードは、「循環一体の思想」です。
長寿を達成した人々は、まさに今行動を起こし、
行動によって思いが生まれ、それを補うかのように
次々と学びが関連付けられていきます。
価値を学ぶことで行動が変わり、
行動が変われば結果がまた変わってきます。
つまり私たちは、学習をするために行動しているのです。
行動によって必ず体験学習は生まれ、
その学習効果によって気付きは高まっていきます。
これまで区別してきたものが実は連鎖していることに気付き、
このような循環によって、全体で考える力が培われていきます。
病に代表されるように、すぐに解決しない事柄も、
自らの内にあるのだと考えれば生死一体、表裏一体です。
つまり、病もまた健康と同じく生命力を形成するのです。
そうであるならば、病を抱きながらも果敢に限られた命を
全うする感覚を学ぶことで、
人は貢献というエンジンをますます強化しながら
心身ともに体当たりしていくのです。
その結果、一体病はどこにいったのか、という状況すら招くのです。
長寿とは長所と短所を一体のものとして、成長の糧の中に、
のみ込んでいくという特徴があるのです。
今回の分析対象となったメディアの中から、
いくつかの事例をご紹介します。
「コトレシピ/人生をたのしむ女性誌 春号」では、
フラダンスの講師、吉見好恵さん(69)を紹介しています。
5年前に公民館のフラ教室に参加し、
猛練習の末に更新の免許を1年半で取得し人気講師に。
実は動脈瘤や腫瘍などの大病を抱え、
毎日10錠以上の薬が欠かせないけれど、
「フラを踊っているときは、痛みなんて感じない。
夢中になることがあると、病気なんて忘れちゃう」と語っています。
「96歳 いまがいちばん幸せ」(吉沢久子著 大和書房)は、
仕事も家事も元気にこなす吉沢久子さんの暮らし方を記した書籍。
「老いの孤独は誰にでもありますが、
私のように、ひとりの気楽さ、気ままさを心の底から楽しんでいると、
落ち込んで暗くなっている暇もありません。
いい生き方といい死に方は表裏一体。
いい人生のしまい方を考えることは、
結局いまをどう生きるかを考えることだと思います」と吉沢さん。
「今日が最高!」は、いま持っている幸せをかみしめる言葉です。
いきいき(3月号)では、ノートルダム清心学園理事長・渡辺和子さん(87)の
“今日がいちばん若い日”という言葉に着目しています。
「老いるということは哀れなものと考えられがちです。
昔はして差し上げたことが、今度はしていただく側になる。
そこで見栄をはって若作りしたり、あらがったりすると辛くなる。
今日より若くなる日はないわけですから、“今日がいちばん若い日”と
自分に言い聞かせて過ごすことにしています」と、渡辺さんは語る。
これらの事例を読み解く中から、様々な事柄を全て包み込むように
自らの中に取り込み、マイナスもプラスに、
デメリットもメリットへと転換していく点に着目。
キーワードとして「循環一体の思想」が生まれました。