吉永みち子著
『ヘルシーデザインノート』にも登場している
登山家の田部井淳子氏を中心に、日本ロレックス宣伝広報、
PR会社社長、元タカラジェンヌ、弁護士、
セブン‐イレブン・ジャパンの役員などの
職歴をもった女性たちが集結。
「怖いもの知らずの女たち」と呼ばれるこの6人が
成し遂げたのは、“シャンソンのコンサート開くこと”。
そんな女性たちの“夢の実現”の過程と共に、
それぞれの人生や一歩踏み出す勇気が描かれています。
「怖いもの知らず」と命名された理由は、
今までにやったことがない“神も恐れぬ所業”に挑んだから。
6人の女性の一直線の心意気も、
この「怖いもの知らず」という言葉に
当てはまるのではないでしょうか。
何をするにも、決して遅すぎることがないということを
改めて教えてくれているだけでなく、やり遂げた後の感動や興奮、
解放感をも体験させてくれる一冊になっています。
読んだ後の気分は……まさにシャンソンを歌いきった時と
同じ気分ではないでしょうか。
■発行:山と渓谷社 1,600円(税別)
瀬戸内寂聴著
瀬戸内寂聴氏の数ある著作の中から、
『切に生きる』を説いた文脈を選び抜いて編纂された書籍です。
「感動する喜び」「愛する幸せ」「生きる愉しさ」にあふれた人生を、
人はどのようすれば送れるかについての極意が
八つの視点から綴られています。
第一章の「生きるちから」は、
「豊かな生とは、めぐりあいの記録の美しさと
おびただしさに支えられている」に始まり、読み進んでいくうちに、
まるで瀬戸内寂聴氏の語りをどこかの会場で
聞いているかのような錯覚に陥るのが不思議です。
「元気の秘訣は?」の問いには、
「何の秘訣もないので教えようがない。
強いて探せば、自分の実年齢に
こだわらないことだろうか。
自分よりうんと若い人たちとつとめて会い、
彼等の生気を吸い取ることだろう」と。
また、「生きるという技術の中には、
いかに美しく忘れるかということも大切な
要素としてふくまれているのではないだろうか」とし、
忘れ上手が健康と長寿の秘訣とも表現しています。
文字サイズを大きくし、行間に余裕をもたせた
本書のデザインが、読む者の心にもゆったりとした
時の流れを運んできてくれます。
ちょっと心につまずきを感じた時、ぜひ手にとってみてください。
■発行:扶桑社 1,100円(税別)
千葉公慈/来馬明規 著
江戸時代の曹洞宗の学僧、
卍山和尚(1636~1715)と面山和尚(1683~1769)が
受動喫煙の害を説いていた語録に現代語訳と注釈・解説を添えた本書。
千葉県宝林寺住職・駒沢学園准教授の千葉公慈氏と
循環器内科医・基礎医学研究者として
病院・研究機関に奉職したのち、
2005年から東京巣鴨・曹洞宗萬頂山高岩寺住職に
就任した来馬明規の共著で、
当時、すでに厳格な禁煙の教えがあったことを論証する一冊です。
原文、解説とも大きな活字で書かれていて、
最新の医学的知見や依存症の問題に言及しながら、
“禁煙戒”を主張しています。
また、現代の灰皿を備えている仏教寺院にも言及し、
戒律を保つ日常を送らなければいけない
出家者に対して警告も兼ねています。
本書内で度々登場する
「僧侶が袈裟を身に付けたまま喫煙している写真」は
とてもスキャンダラスで、
江戸の教えと現代の矛盾を説明するのに
大きな役割を持っているように感じ、
とても興味深い“挿絵”となっています。
(顔部分にはモザイクが・・・)
喫煙の害は様々な形で提唱されていますが、
本書は、喫煙の害を“江戸時代の訓戒”という
新しい角度からアプローチした、
斬新な1冊と言えるでしょう。
■発行:仏教タイムス社 1,200円(税別)
『カバせんせいのうんこのおはなし』
絵本のチカラプロジェクト 著
様々な絵本に関する研究を行い、ブログを通じて情報を配信している
「絵本のチカラプロジェクト」。
その絵本のチカラプロジェクトが、親子で楽しみながら健康を学べる
絵本シリーズ第一弾『カバせんせいのうんこのおはなし』を発行しました。
第一弾のテーマは、健康のバロメーターとなる“うんこ”。
森の動物病院のお医者さんでお腹が痛くなるとすぐに
治してくれるカバ先生が、
良いうんこ・悪いうんこの違いや、良いうんこを出すためのヒント、
うんこがつくられる仕組みや、うんこに良い食べ物など、
健康に導くための情報や豆知識を教えてくれます。
監修は平塚胃腸病院 院長 平塚卓先生が行い、
子どものためだけでなく、保護者へのうんこの説明も
きちんと掲載されています。
絵本ならではの親しみやすさで、親子だけではなく、
誰もが楽しめて勉強になる一冊です。
愛らしい“うんこ”がたくさん登場するので、
うんこに対する親しみも沸くに違いありません。
■発行:ライフデザインブックス 1000円(税別)
『温泉と健康』
阿岸祐幸 著
日本は世界で一番の数を誇る温泉大国。
そして、温泉は休養の代名詞的存在でもあり、日本のみならず、
海外からもたくさんの人々が日本の温泉に集まります。
温泉にはさまざまな効果・効能がありますが、本書は、
泉質だけの話ではなく、周囲の自然環境や予防医療の観点からも
「温泉療法」のすばらしさを解説してくれています。
たとえば、自然がたくさんあり、空気の澄んだ温泉地へ行くことで、
心身のストレスから開放されます。
そして、温泉浴で体が温められた結果、血行もよくなり、
老廃物の代謝、排出も促され、生態機能が少しずつ変化し、
自然治癒力も高まるのです。
極端かもしれませんが、現地に行くことで、
健康への第一歩が確実に生まれるといっても過言ではありません。
もちろん、こういった話だけではなく、泉質による療法や、
生体リズムへの影響、海外での自然療法のレポートなど、
温泉療法の知られざる効果がたくさん書かれています。
ヨーロッパでは、温泉療法に健康保険が適用される国もあるそうです。
著者である、阿岸祐幸先生は、北海道大学名誉教授、医学博士、
一般社団法人健康保養地医学研究機構代表理事を務め、
長年、温泉気候医学を研究されてきました。
ヨーロッパの温泉医学会で研究成果を発表し、
現地の温泉学者や施設に触れることによって、
日本の温泉資源のすばらしさや、
ヨーロッパに見習わなければいけない部分などを学んだそうです。
1931年生まれの阿岸先生。
現在も理事を務め、現役で働いてらっしゃる健康の秘訣は、
温泉療法を自ら取り入れて、実践されている結果ではないでしょうか。
■発行:岩波新書 700円(税別)
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