4月24日、中国古来の健康法である「気功」で体を整える
公益財団法人日本健康アカデミー主催
「五行気功法セミナー」が開催されました。
心と体を1つとして捉え、近年注目を集める東洋医学は、
体質を改善して病気を予防する方法を探る治療法を行います。
『ヘルシーデザインノート』でも、
東洋医学の1つである中医学の考え方を取り入れましたが、
数々のメディアなどでも特集テーマになることが多くなっています。
講師の先生は、東日本気功協会理事・事務局長・気功指導員
五行気功法代表の宮崎文夫先生です。
中国拳法、気功、中医学、武術などを学び、
関東地域を中心に数多くの気功教室で指導を行っています。
今回のテーマは
「五行気功法で、肩・腰・ひざ痛を楽にしませんか!」
自然も人間も木・火・土・金・水の
5つの元素の一定の循環法則に従うといった
中医学の学説「五行説」を用いた気功法です。
まず、序章として、五行説の中で春に属する臓器「肝臓」を
元気にする気功のレクチャーからスタート。
肝臓に大きなダメージを与えてしまうのは「便秘」だそうで、
その便秘を予防すべく、おへそが真横を向くように体を振ることで
肝臓・小腸・大腸を活性化させる気功法「スワイショウ」の指導が行われました。
そして、本題となる「肩こり」、「腰痛」、「ひざ痛」の講義。
模型を使い、原因となる事柄をとても分かりやすく指導。
各々の原因は……
肩こり⇒肩甲骨が前後、上下に動かない
腰痛⇒腰部分の骨(腰椎)が前後に動かない
ひざ痛⇒ひざが足の指よりも前に出ていて、ひざとつま先で
全身のバランスを取ってしまっている
これらの解消に必要なことは、
「いかに体の力を抜くかが重要」と宮崎先生。
気功の「気(エネルギー)」は、力を抜くことで全身に流れるそうで、
力が入っている状態では、気が流れず、
体調のバランスが崩れてしまうそうです。
そして、体の力を抜く様々な気功法が披露され、
会場に訪れた方全員で実践が行われました。
気功を学ぶと、「力を抜く感覚」がはっきり体感でき、
なんとなくだるく感じた体が楽になったように感じます。
会場からも「体が温まってきた」という声が。
しかし、宮崎先生は、「気功は魔法ではありません。
特効薬でもないので、すぐによくなるものではない。
気功の『功』は積み重ねるという意味なので、
今日覚えたことを、自分でコツコツ続けることが大切です」と
お話ししてくださいました。
「力を抜く」ことのつながりで、
中国武術で用いられる「力を抜く打撃方法」も披露。
かなりの上級技術ですが、理論は同じだと宮崎先生は話します。
その他にも、呼吸1つでできる、気の流し方や、快眠法など、
簡単に行える気功法の指導が行われました。
あっという間に1時間30分が経ち、宮崎先生の明るく楽しい講義は終了。
常に笑い声や冗談が飛び交う中で、
動き方1つで体も心も整えることを改めて学ぶことが出来ました。
近日、ヘルシーデザインクラブでも気功のセミナーを計画中です。
93歳の現役「ポーラレディ」、浜田ミヨさんの仕事ぶりが
日本経済新聞電子版(2013年3月28日)に紹介され、
話題にのぼっています。
ポーラの美容部員として現在も25~6人のお客様を持ち、
一人ひとりに適した商品を携えてそれぞれのお宅を訪問。
毎月50万円を売り上げているそうです。
浜田さんがこの仕事を始めたのは44歳の時。
ポーラの店を訪れた折に勧誘され、
はじめは「とても売れない」と思った浜田さんでしたが、
町内会でクリームが1つ売れてからは
この仕事にのめりこんでいきました。
化粧や美容の情報がまだまだ不足していた時代、
クリームを使ってマッサージをするとお客様が喜んでくれた上に、
明るくおおらかな浜田さんの性格でリピーターは
面白いように増えていったのでした。
普段の浜田さんは、一杯の水とともにサプリメントと朝食をとり、
週に2回は体操教室へ通うほか、コーラスにも参加しています。
これといった持病もなく、午後は商品を店に取りに行き、
お客様の家へ向かう毎日です。
どのお客様もすでに何十年というお付き合いの方ばかりで、
明るい浜田さんに会うのを楽しみにしているそうです。
全国にいる約14万5000人のポーラレディのうち、
90歳以上の現役はおよそ500人。
仕事を持ち、日々生き生きと過ごす浜田さんのような女性たちは、
生涯現役で社会を支えて続けています。
『ヘルシーデザインノート』の監修を務める
中医学博士の楊さちこ先生が、2/23に東京・松屋銀座で
最新刊『綺麗なひとは、やめている。』(幻冬舎)
の出版記念セミナーを開催しました。
『綺麗なひとは、やめている。』
中国留学中に漢方美容の世界に目覚め、
中医師の資格を正式に取得した楊先生。
その後も研究を続け、南京中医薬大学教授として教鞭をとり、
アジア各地において、商品開発から美に関する
トータルプロデュースを手がけるアジアンコスメの第一人者でもあります。
楊先生の考える美容法は、「今の美しさを保つもの」と位置づけ、
基本的で普遍的な“永久手当”を継続することだそうです。
美しくなるために、まず自分がどうなりたいかを明確にし、
必要なこと、必要でないことを分けることや、
最優先にすべきことを見つけ出すことの大切さを
軽快な関西弁で、会場のお客さんと同じ目線に立って
講演を行っていました。
楊先生のセミナーの醍醐味は会場の一体化。
今回は、後頭部と首の境のへこみ部分を親指の腹で持ち上げる
頭皮マッサージを教える際には、
「へこみ部分の上部が目、下部が首に効きますよー」、
「分からない人やってあげる~!」と一人ひとりに実演。
「タダだから覚えて帰って~」と笑いを取りながらも、
お客さまとより近くになって、会場も盛り上がりました。
著書『綺麗なひとは、やめている。』についても
「この本を手に取ってくださった方が、本当に必要なものに気づき、
それを継続することへの動機付けになれば」と話し、
「心にも体にも見た目にもお役に立てると信じています」と
力強く語られていました。
セミナー終了後も、1対1でお客さまからの質問を受ける
時間を設け、一緒に写真を撮ったり、おしゃべりしたりと
すてきな時間がつくられていました。
特定非営利活動法人 日本ヘルスツーリズム振興機構主催の
ヘルスツーリズムセミナーが開催されました。
今回で29回目をむかえたセミナーのテーマは「ヘルスツーリズムと地域活性」。
第1部は筑波大学体育系教授 久野譜也先生、
第2部を天草プリンスホテル女将 國武裕子氏が、
ヘルスツーリズムの方向性や取り組みなどをテーマに講演を行いました。
第一部にご登場の久野先生のテーマは
「Smart Wellness Cityからみたヘルスツーリズムの方向性」。
久野先生は、Smart Wellness City首長研究会(SWC)を立ち上げ、
住民が健康で元気に幸せに暮らせる新しい都市モデル
「Smart Wellness City」の実現に向けて推進を行っています。
日本での問題は、地方都市における中心市街地の過疎化。
通過交通が多く、商店街を歩いている人が
ほとんどいないという都市が多数存在します。
このような環境を変えるために、久野先生は、
ドイツのフライブルク都市の変化の例を挙げて説明を行いました。
ドイツのフライブルク都市は、中心地街に車を入れないという政策を実行、
それに伴い、街を歩く人々が増えて、商店街には活気が戻ったそうです。
歩きたくなるような街作りが地域の活性化につながっていきます。
街にいるだけで、自然に歩いてしまい、健康につながる…
このような「Smart Wellness City」が日本に増える日がとても楽しみです。
Smart Wellness Cityのイメージ
そして、“歩く”ことは、第2部の講演を担当された
國武裕子女将のお話のテーマでもありました。
ご自身の病気から“歩く”といった健康づくりに目覚め、
自身が勤める旅館でヘルスツーリズムとして街歩きを企画。
行政や地域全体の観光業や飲食店と一緒になって、たった3年で
29プランにもおよぶヘルスツーリズムプランを確立しました。
國武女将曰く「天草プリンスホテルだけでの企画でしたら
ここまで成功しませんでした。行政の対応もとても早く、
地域が一丸となったからこそ実現できました」。
プランによっては、食事は街のレストランを設定したり、
ウォーキングの最後には、他の施設の温泉に入浴する時間を設定したりと、
天草プリンスホテルだけで完結させないプラン作りを心がけているそうです。
“歩く”ことは、昨今のウォーキングブームでもわかるとおり、日々の健康を
つくり出してくれます。そして、今回のヘルスツーリズムセミナーでわかったことは、
健康づくりだけでなく、地域活性化にも一役買ってくれるということ。
人間の基本行為である“歩く”ことが、
未来に向けてのさまざまな可能性を秘めています。
健康長寿に向けての個人の取り組みは、いろいろな研究がありますが、昔から言われている「食・運動・交流」が重要です。どれか1つではなく、全部です。今日は食について申し上げます。高齢者になると食の重要性が増してきます。食べることは楽しみであり栄養ですが、機能食などけっして栄養面だけではなく、食にはいろいろな機能があることを認識していただきたいです。
長寿社会の街づくりを、コミュニティで社会実験をしています。住宅、移動、医療、リタイアの受け皿問題などいろいろな実験をし、さらにそうした介入を評価しながら続けています。主要な領域は「人のつながり」「就労・社会参加・生きがい」「包括的医療・介護システム」「住宅」「移動手段」「情報システム」という分野で、首都圏のごく平均的な街である千葉県柏市と地方の福井県福井市、被災地の福島県大槌町で行っています。
柏市の豊四季団地はURが1960年代の高度成長期に、大きな団地を建てました。団地は5階建てでエレベーターがなく全室2DK。新しい建物は10階あるいは14階建てで、エレベーターがありバリアフリーです。高層化したことで空き地ができます。そこを利用して長寿社会対応の街づくりをしようとしています。例えば医療・介護・リハビリ・在宅ケアなど、在宅医療の拠点。また1人暮らしの高齢者や通勤に忙しい夫婦、学童などがいっしょに食事ができる食堂(コミュニティ・ダイニング)などを作ろうと仕掛けています。
ここの理念の1つは「全員参加、生涯参加」。前述のとおり課題の1つに「いかに自立期間を長くするか」がありました。聞き取り調査でも多くの人は、60歳のリタイア後も元気であり、知識・経験・スキル・ネットワークをお持ちです。しかし「コミュニティには知っている人がいない、何かしたいが何をしていいかわからない、ボランティア活動は敷居が高い」という声もあります。それでも参加する人は1割いますが、9割の人が家でテレビを見てゴロゴロしたり、散歩をしたりという生活。そうすると脳も筋肉もすぐに衰え始めます。そうした方々に家から外に出て、人と交わって活動してもらいたいのです。1番敷居が低くて外に出やすいのは、働く場があることとおっしゃいます。でも満員電車で通勤する生活はしたくない。
そこで、歩いて行ける就労の場を作ろうと、いま7つの事業を立ち上げています。休耕地を利用した都市型農業や団地敷地内を利用したミニ野菜工場、団地の屋上農園、コミュニティ食堂、移動販売・配食サービス、保育・子育て支援事業などです。ポット栽培なら車椅子でも働ける場になります。弱っても働きたいという気持ちがあれば、1週間に1回でも外に出て人と交わり、働いてお金を得る生活ができる環境づくりです。
同時に、新しい働き方の開発・普及を準備しています。就労者は「月水金だけ、午前中だけ」と自分で時間を決めて働き、雇用者側も「雨天の場合は人がいらない」というのもOK。大きなワークシェアリングのプールをつくり、それをマッチングしていきます。クラウドコンピュータシステムを用いた技術開発を使い、フレキシブルな働き方を支援できるので、雇用者にとっても働く人にとっても、より良い働き方になります。旅行やゴルフをしながら働け、年金プラスの収入で生活に余裕やハリができます。
また、高齢者が働き続けるために「軽労化技術」というテクノロジー開発をしています。例えば農業では中腰作業が大変ですが、これを軽くするための簡単な装置を大学と企業が連携して開発したものを私たちがテストしています。またLED照明は自然光に近づけることに一生懸命ですが、長寿社会にはもっと違うニーズがあり、はっきり見える電灯がほしいのです。ある企業ははっきり見えるLED照明を開発しました。文字も段差も良く見えます。視力の衰えを技術で補います。
このようにみんな元気で、外に出かけられる環境をつくれば、いろいろなことができるわけです。もう1つ聞き取り調査で上がる多くの声が「これまでの生活を来月も、来年も、10年後もしたい」と。楽しかったことを楽しみたいし、好きだった食べ物を食べ続けたい。例えば男性は血糖値が高くなり酒をストップされると寂しく、元気がなくなります。ビールに近づけるのではなく、ビールよりおいしいノンアルコールビールを開発してほしいです。高くても買いたいものをつくっていただきたいとビール会社にお願いしています。
「高齢化市場の捉え方」として、1割の虚弱なシニア(要介護)と1割の裕福なシニア(富裕層)だけでなく、8割の普通のシニアに目を向けましょう。いまの90歳代の人たちは、90年も生きるつもりがなかったので準備をしていませんでした。でも団塊の世代は自分の親を見てこれから30年あると考え、長い老後の準備をします。自分が安心して快適に、これからの30年を過ごすためには、ある程度の投資をしても良いという、初めて準備する世代です。だから堅実です。
最終的には「長寿」「健康」「経済」の3つを結び、回るようなシステムをつくっていくことが、私たちの持続可能な長寿社会の課題であり、また可能性であると思います。
【Profile】 あきやま・ひろこ
イリノイ大学でPh.D(心理学)取得、米国の国立老化研究機構(National Institute on Aging)フェロー、ミシガン大学社会科学総合研究所教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授(社会心理学)、日本学術会議副会長などを経て、現在、東京大学高齢社会総合研究機構特任教授。専門はジェロントロジー(老年学)。高齢者の心身の健康や経済、人間関係の加齢に伴う変化を20数年にわたる全国高齢者調査で追跡研究。近年は首都圏と地方の2都市で長寿社会のまちづくりの社会実験に取り組む。長寿社会におけるよりよい生活のあり方を追求。
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