長寿の森Nexthink-今日の中に現れる
高齢社会に関する様々な情報を丹念に集め、
それらがどのように連鎖しているかを読み解き、
そこに価値の新たな潮流をキーワードへしていくメディアです。
毎月40~50に及ぶ事象を分析し、
次なる価値観の発見につなげていきます。
<情報分析 谷口正和>
「老」と「老」が磨き合う中から、
新たな事業創造が生まれることを表しています。
高齢社会に突入した日本においては、
いかなるビジネスを展開するにしても、
市場における高齢者数は当分の間は増え続けていきます。
その中では、キャリアから解放され自由な時間を得て自立した高齢者こそが、
新しく何かを生み出す原動力になっていくのだと感じています。
すでにそういった高齢者発のビジネスが顕在化し始めていることを考えると、
この「老老創造」こそが、新たなマーケットの担い手となるのではないでしょうか。
そこには「老老介護」などの言葉から受けるネガティブなイメージは
微塵もありません。提供者側としての立場を越えて、
互いの人生を理解し合う中から、同世代が抱える課題を発見し、
そこに思いを寄せます。我がこととして解決しようとする時、
そこに新しい発見とアイディアが生まれるのです。
「老」と「老」が互いに磨き合って行く中で、
次々と事業創造の芽を育てていければ、
世界の高齢先進国である日本の中にとって、
「老老創造」が新たな起爆剤となる日が訪れるのです。
<事例①> 地元食材活用の「地産地消」で、農水大臣賞を受賞
農産物などを加工・販売する「すずしろグループ」(兵庫県新温泉町)の
代表・邑橋裕恵さん(70)がシニア起業・地域活性化部門で受賞。
地元の食材を積極的に活用し、地産地消を促進した点が評価された。
1986年から食を通じた健康づくりと女性による地域おこしを目的にした
グループを結成。自宅に構えた加工場で地元食材によるジャムや
つくだ煮になどの特産品を開発し、県内外で販売してきた。(神戸新聞 3/14)
<事例②> 介護の地平を切り開く、
ロングライフホールディングス・遠藤正一社長(57)
株式会社が介護事業を手がけるという発想自体がなかった1986年に、
関西福祉事業社を設立。現在は上場を果たし、有料老人ホーム事業や
在宅介護事業などを展開している。介護保険制度ができる前から
ビジネスモデルを独立独歩で創り上げた介護業界のパイオニア。
入居者は「世話をしてあげる弱者」ではなく、
「対等な立場でサービスを提供するお客様」と語り、
一般の高齢者福祉施設にはない発想で事業を展開。(日経ビジネス2/27)
<事例③> ふるさとにフィギュアの「海洋堂ホビー館」をつくり、
集客に貢献
フィギュア界トップ企業「海洋堂」の創業者・宮脇修さんは、
昨夏、故郷の隣町である高知県四万十町に「海洋堂ホビー館四万十」を開館。
半年で、過疎の町の人口の3倍を超える6万8千人が訪れた。
創業当時の店舗はわずか一坪半だったが、
マニア向け組み立て模型「ガレージキット」がブレークし、
「食玩ブーム」にも火を付けた。
83歳にして「わくわくする夢がいっぱいあって、
年なんてとってられへんよ」と語る。(朝日 1/21)
長寿の森Nexthink-今日の中に現れる
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<情報分析 谷口正和>
■自立自歩
自分の意志で選びとりながら、生活をデザインしていくことを表します。
自分の足で立って歩き続けることが、
長寿社会を生き抜く基本的なスタンスであることは何度も指摘してきました。
この「自立自歩」がもたらす最大の幸福は、「自由である」ということです。
誰と暮らすのか。どこで暮らすのか。
すべてを自分の意思で選びとる自由を与えられたと考えれば、
これからの生活をデザインすることがとても楽しみになるのではないでしょうか。
誰かに押し付けられるのではなく、
自分の意志で選び取りながら生活を組み立てていくのです。
旅に出る時、最初から仲間と共に行くのも楽しいものですが、
一人で参加をして旅先で多くの友を得るのも、
一人だからこそもたらされる新しい発見です。
一人という言葉には、孤立や孤独というどこかネガティブな
イメージがつきまといますが、決してそうではありません。
はじめから家族や誰かを頼るというシナリオを選択する前に、
まずは「自立自歩」を前提に考えてみましょう。
そうすれば、理想とする生活圏には何が必要なのかが見えてくるはずです。
<事例①>高齢者向け住宅、札幌の「越冬プラン」が好評
札幌市でスタートした冬期限定&短期入居の高齢者向け賃貸住宅が好評。
北国の暮らしにつきものの雪かきや買い物などの負担軽減が売りだ。
学生寮だった建物を改装、朝夕2食付きでマネジャー夫婦が常駐し、
急な体調不良にも24時間対応。3~6ヶ月の契約で、
部屋にはベッドやテレビなど完備しており、冬だけの入居も可能だ。
“住み替え”はハードルが高くなるが、
一定期間の仮住まいとして選択できるのは便利。(MSN産経ニュース 1/10)
<事例②>デイサービスのイメージを払拭した、新タイプのリハビリ施設
奈良市郊外にあるリハビリ施設「ポシブルイオン高の原」は、
介護保険の「デイサービス施設」だが、風呂も食事も遊びもない。
代わりにあるのは週平均2回、1回3時間、1人500円で取り組めるプログラム。
利用者は鏡の前でひもを引っ張ったり、
筋肉を鍛える運動器具を動かしたりしてリハビリに励む。
退院後にリハビリと縁が切れると加速度的に弱るため、
自立度の維持のためにもっと施設が必要。(朝日ドットコム2/25)
<事例③>「65歳以上=高齢者」見直しの議論が始まる
内閣府の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書」で、
65歳以上を高齢者とする現在の区分を見直す必要性を指摘。
65歳以上を一律に「支えられる人」という社会の仕組みを改め、
意欲と能力のある65歳以上は社会の支え手に回るよう提起した。
65歳以上を高齢者と区分したのは1950年代。平均寿命の延びとともに、
健康で就業意欲のある自立した高齢者が増加、
是正に向けた動きがスタートした。(日経2/24)
長寿の森Nexthink-今日の中に現れる
高齢社会に関する様々な情報を丹念に集め、
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<情報分析 谷口正和>
「学びの場」から「発表の場」へ、
シニアは次のステージを求め始めています。
シニアには、長年に渡る体験学習のストックが、
その人の個性として形成されています。
近年はそのストックを自分の中にとどめておくだけでなく、
どこかで発表し、見た人に喜んでいただき、
できるなら評価もしてほしいと願う人が増えてきました。
つまり、生涯学習などの場で自己表現の様々なスキルを学んだあとに、
次のステージとしての「発表の機会」を求めるようになってきたのです。
それらの場を通して、共通する趣味の仲間と出会い、
お互いの作品を評価し合い、自身の能力が顕在化していきます。
この流れを、現在シニアの中で進行しつつあるデジタル革命の波が、
より強く推し進めていくのではないでしょうか。
様々な情報を受信するために使っていた道具が、
いつしか新しい何かを発信していくための道具へと変わっていくのです。
日々の想いをブログで発表していくと、そこに共感してくれる友を得るのは、
以前よりも容易なこととなりました。学びの場としての生涯学習は、
発表の機会としての「第2ステージ」を強く求められているのです。
<事例①> 震災乗り越え、本場ハワイでフランダンスを披露
JR東日本のシニア会員組織「大人の休日倶楽部」趣味の会(仙台)は、
ハワイで特別講座を開催。平均年齢68歳の女性受講生16人が
本場ハワイのステージでフラダンスを披露した。
昨年11月に実施予定であったが、東日本大震災で
受講生が被災したこともあり一旦は中止。
今回は復興の第一歩として海外講座旅行を敢行。
参加者からは「練習の成果を本場のステージで
発表できて感激した」などの声が上がった。(交通新聞 3/2)
<事例②> 5年間かけて作り上げた力作 “さげもん雛人形”を発表
姶良市平松の60~80歳代の高齢者12人が、5年間こつこつと
作り上げた力作を「ちりめん細工 さげもん雛人形」展で発表した。
2007年発足の「ちりめんクラブ」は月に1回集まり、
古布ちりめん細工の腕を磨き、作品の発表会を企画。
さげもんは1本制作するのに1年以上かかる労作で、
会場内には華やかな「さげもん」の作品が並んだ。
世話役によると「古布とちりめんを使って古典的な
制作方法で作っている」という。(産経新聞 2/25)
<事例③> 雛祭りに合わせて、サークル活動の発表会開催
長岡京市老人クラブ連合会女性部のサークル発表会が、2日に行われた。
大正琴や民踊などを愛好する会員が日頃の練習の成果を披露。
毎年、雛祭りに合わせて開催しており、会員160人が参加した。
太極拳サークルは独特のゆったりした演武を、
民踊サークルは民謡や演歌に合わせて情感のこもった舞を見せた。
この他、健康生きがいづくりアドバイザーによる、
心身の若さを保つ食生活についての講演も開かれた。(京都新聞社 3/3)
シニア世代がいつまでも笑顔でイキイキと暮らしていくことを目指し、
船橋市に住むクリエイティブデザイナーの木村千郷さんが
「いどばた倶楽部」を2月にスタートさせました。
文化活動やサークル活動を通じて、
新たな出会いや憩いの場を創造していくことが目的です。
講座の開催にとどまらず、様々なイベントも企画中です。
「いどばた倶楽部」部長の木村さんご自身は、企画・デザイン会社の代表であり、
飲食店関連を中心としてデザインの仕事を15年以上されています。
「現在の飲食店は、価格が安くておいしいのが当たり前となり、
新しい付加価値が求められていることから、
イベントの企画提案の必要性を強く感じていました。」と木村さん。
一方で図書館や喫茶店へ足を運ぶたびに目にする、
一人でポツンとすわっているシニアの姿が心に残っていて、
集まる場所さえあれば新しいお友達や趣味とも出会える機会が生まれるのでは、
と考えたそうです。そこで、飲食店を拠点にした
シニア対象の企画がスタートしました。
講座やイベントの開催を通じて小さくてもコミュニティを形成し、
継続的に楽しんでもらおうというのが本来のねらい。
今後は、フリーマーケットなどの開催も考えているそうです。
「いどばた倶楽部」の主旨に賛同した学生が、「ぜひ手伝わせて欲しい」と
申し出てくれるケースもあるとかで、頼もしい限りですね。
活動の第1回目は、2月15日(水)に「目指せマイナス5歳肌」を
テーマにしたフェイスストレッチ講座を開催。
今後は、「ヨガ講座」や「プリザーブドフラワー講座」などを
開催予定です。詳細は、「いどばた倶楽部」のホームページをご覧ください。
また、集客にお悩みの飲食店の方のご相談も受付中です。
■ホームページはこちら
2月18日、明治学院大学で開かれたシンポジウム
「高齢期のひとり暮らしを豊かにするために」に出席してきました。
港区は、人口約20万人のうち、65歳以上の単身世帯が約1万人にのぼる点を重視し、
生活実態や意識についての調査を実施。
まず調査の結果が報告され、その後、港区職員、研究者、
民生委員、ふれあい相談員らによるシンポジウムが開催されました。
調査を実施したのは、昨年設置された港区政策創造研究所。
所長は、明治学院大学の河合克義教授です。
調査結果から最も課題として浮き彫りになったのは、
「買物が困難だ」と感じている人が約4割にのぼっていた点です。
特に虎ノ門周辺に住む人は大型スーパーがなく、
主たる買物場所がコンビニエンスストア。
しかしながら、土日になるとコンビニエンスストアが休みになるために、
さらに遠くの店に出かけなくてはならないそうです。
港区は今後の対策として、シルバー人材センターに登録している人を活用し、
買物が困難な人をサポートする仕組みをスタートさせるとのことでした。
シンポジウムでは、長年に渡って高齢者の支援にあたっている民生委員の方や、
港区ふれあい相談員として、ひとり暮らしの高齢者が「誰と繋がっているのか、
誰がこの方を気にかけているのか」を丁寧に確認して回っている方など、
様々な立場での取り組み内容が語られました。出席者およそ200名のうち、
9割近くが60~70代で大変熱心に耳を傾け、
シンポジウム終了後にも質問が多数出たほどです。
質問者の一人は、「様々な課題がある中で、
今日ここに来ている私たちをもっと活用してはいかがですか」と
港区の職員に対して提案を持ちかけるほどで、
地域の課題解決に向けて真剣に考えている姿が印象的でした。
シニアがシニアをサポートする仕組みは、どの地域でも求められているはず。
そのモデルケースを形にできるかどうか、今後も港区の取組みに注目していきます。
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