2011.7.11更新
三浦太郎作
『くっついた』
当ブログのバックナンバー(街の絵本屋さん/2011.6.23更新)で
取材させていただいた『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』
店長の川辺陽子さんから、「絵本のチカラプロジェクト」に
おすすめの絵本を3冊選んでいただいています。
まずは三浦太郎さんの『くっついた』をご紹介します。
『くっついた』
三浦太郎/文・絵 こぐま社/刊
子どもの気持ちにすっと入っていって
おとなもその世界でいっしょに遊べる凄い本です
川辺さんが絵本屋さんでのお仕事を始められて以来、お客さまの
反応にいちばん驚いたのがこの絵本だったそうです。
ストーリーはいたって単純です。
「きんぎょさんと きんぎょさんが」という文字と2尾のきんぎょが
離れて向き合っている絵で最初の見開きが始まります。
ページをめくると、「くっついた」という文字と2尾の金魚が顔と顔を
正面からくっつけている絵。
こんな調子で「あひるさん」「ぞうさん」「おさるさん」と続きます。
そして「おかあさんと わたしが」「くっついた」。
最後には、「おとうさんも くっついた」で終わる絵本です。
この絵本が小さい子どもに圧倒的な人気を博しているそうです。
次々とおさかなや動物がくっついていって・・・
わたしとおかあさん、おとうさんもくっついた!
子どもの笑顔がほんとうに嬉しそうで
思わずほほえんでしまいます。
おとなだったら、わかりやすいストーリーと絵がいいのかな? で
終わってしまいそうなぐらい単純な絵本なのですが、お店での
子どもの反応は違っていたそうです。
子どもはおとうさんやおかあさんにこの絵本を読んでもらうとき、
「くっついた」「くっついた」と自然に言葉を重ねているのです。
そして最後の親子でくっつくシーンでは、どの親子ももれなく
”くっついた”とやっています。
なんて凄い本なんだ、と感動した川辺さん。
子どもの気持ちのなかにストレートにこの絵本が入っていって、
おとうさんおかあさんの気持ちのなかにもこの絵本が入っていって
いっしょになって遊んでいる。
絵本が親と子をつないでいる光景を目の当たりにして、
ああいいなあ、凄くいいなあと思ったそうです。
また、新米のおとうさんやおかあさんが赤ちゃんとどう向き合えば
いいか不安に思ったときも、この絵本によって自然なスキンシップ
が生まれたり、絆がもてたりするのではないかと考え、この絵本を
赤ちゃんのお誕生ギフトにおすすめして大好評だそうです。
店内のオリジナルグッズのコーナーには
『ナルニア国』のロゴマークがついた可愛い雑貨
があふれてました。このロゴマークのデザインは
『くっついた』の三浦太郎さんによるもの。
実は『ナルニア国』は、『くっついた』が
日本一売れる絵本屋さんだそうです。(ミヤタ)