2011.11.10更新
伊那谷を吹き抜けた風が
素敵な場所を教えてくれました
”風の谷”の絵本館
この夏、信州伊那谷に素敵な絵本館があることを知りました。
そこは、館長の津金 明さんが
「一人でも多くの子どもたちが
身近な大人にいっぱい絵本を読んでもらえる、
そんなきっかけづくりの場所を・・・」と
友人の力を借りながら手作りで建築を始め、
10年近くの歳月をかけて完成させた「風の谷絵本館」です。
その後、大手出版社や編集者、絵本作家など
全国から次々と賛同者があらわれ、3000冊もの絵本を
集めることができました。
風の谷絵本館
開館時間/午前10時~午後6時
休館日/毎週水・木曜日・年末年始
入館料/無料
(※「ミニギャラリー」は入場料が有料の場合もあります)
長野県上伊那郡飯島町飯島44-10
Tel&Fax 0265-86-5546
伊那谷は南信州天竜川に沿って南北に伸びています。
小学生の頃、日本地図に「河岸段丘」の代表例として
伊那谷が載っていたことを思い出しました。
西を木曾山脈、東を明石山脈という
二つの大きな山脈に挟まれていて、
冬場にはシベリヤから来る風が
風越山(かぜこしやま)のところから吹きおろして
伊那谷へやってくるといわれています。
そこから「風の谷絵本館」と名付けられました。
館長の津金 明さん。
「幼児の頃に絵本を読み聞かせるということは
非常に大事なこと。そこで私も若いお母さんと
幼い子どもたちのためにお役に立ちたいと思って
こうして絵本を集めて自由にここを使っていただいて
気楽に過ごしていただきたいと思ってこんなことを始めました」
と語られていました。
この日も夕暮れ時まで、絵本館近くの川沿いに
花を植えていた津金さん。地元に暮らす人のためにいいことを
率先して行う。その姿には、本当に頭がさがる思いです。
1階のカフェでは奥様の和恵さんお手製の
季節の野菜料理や手作りケーキなどが味わえます。
またここではコンサート、講演会、人形劇、ワークショップなどが
年間行事として行われます。
カフェ横の「展示スペース」。
「月刊こどものとも」のバックナンバーや、
アトリエ訪問・絵本作家の絵本・季節のテーマ絵本といった
月替りのテーマで展示が楽しめます。
2階には約3000冊の絵本が自由に読める
「絵本文庫」があります。
たたみ敷きの部屋で、実にくつろげる空間です。
子どもに絵本を読み聞かせてあげるだけでなく、
小さい子が安心してごろごろできるし、
お母さんたちはママ友とお弁当を持ち寄ってのランチ、
お年寄りはここで茶飲みともだちと井戸端会議というわけです。
「風の谷絵本館」にはものすごい仕掛けがいくつもあります。
まずは2階「絵本文庫」のはしごをのぼっていくと・・・
「かくれ部屋」にたどりつきます。
さらに上の「展望室」へとはしごは続き・・・
「展望室」までの”冒険”はまるでトゥリーハウスのようなワクワク感。
ここから伊那谷の風光明媚な景色が見渡せます。
「展望室」を外から見ると、ちょうどこの部分。
風見鶏と壁の風車柄がとってもオシャレ。
一方、1階側面からなだらかなスロープを下りていくと
素敵な「ミニギャラリー」が出現!
漆喰の塗り壁やところどころ明かりとりのために設けられた窓が
ヨーロッパの洞窟宮殿みたい・・・
ここでは絵本原画展(4月~5月)や
風の谷絵本館所蔵作品展、個展やグループ展
などが開催されます。
所蔵作品は、スズキコージさんの「水晶玉」や
山口マオさんの「わにわにのおでかけ」をはじめ、
織茂恭子さん、池谷陽子さん、アンヴィル奈宝子さん、
田島征三さんたちの作品群という圧巻のラインナップ。
楽しさ素敵さがぎっしり詰まった手作りの絵本館。
入館料無料ということにまずは驚かされました。
そして、のびのびとしたスローライフの中で
子どもたちのため、おとなたちのために無償の精神で
この館を作られた津金さんご夫妻の生き方考え方が
宝物のように光っていました。
これからの季節、伊那谷は紅葉が美しく彩ります。
南信州に行かれる機会があれば、ちょっと足を伸ばして
”風の谷”に寄ってみませんか?
どこかホッとして、救われたような気持ちになりますよ。
(ミヤタ)