2012.2.24更新

 

ほっこり にっこり

 ~マトリョーシカとロシア絵本たち~

ミニフェアに行ってきました

 

イタリアの絵本の次はロシアの絵本に触れる機会がありました。
場所は、いつもお世話になっている絵本屋さん、
大田区千鳥のティールグリーンインシードヴィレッジです。
ティールームの一角に展示コーナーがあって、
これまであまりなじみのなかったロシア絵本の世界を
垣間見ることができました。
  

 

ロシアの絵本ミニフェア展-002★.jpg

開催場所/お茶がのめる絵本の店
「ティールグリーンインシードヴィレッジ」
開催期間/2012年2月25日(土)まで
〒146-0083 東京都大田区千鳥2-30-1
TEL/03-5482-7871 FAX/03-5482-7872
ブログ http://tealgreen.exblog.jp/
メール teal-green@kmf.biglobe.ne.jp
営業時間/10:00~18:00 休日/日・月

 

 

ロシアの絵本ミニフェア展-003★.jpg

マトリョーシカは1900年のパリ万博で人気を博し
一気にロシアの民芸品として知られるようになりました。
そのルーツは、なんと日本由来のものだとする説があります。
19世紀末、箱根にあった正教会の避暑館にやってきたロシア人修道士が
本国へのおみやげに持ち帰った箱根細工の入れ子人形
(こけし・だるま・七福神)がマトリョーシカのもとになったとか!
後方左の絵本は『マトリョーシカちゃん』
ヴェ・ヴィクトロフ、イ・ベロポーリスカヤ原作、加古里子絵、福音館書店刊

 

 ロシアの絵本ミニフェア展-010★.jpg

『メルヘン・アルファベット~ロシア昔話』
タチヤーナ・マーヴリナ作、田中友子訳・文、ネット武蔵野刊
ようこそ、おとぎの国へ! と題された昔話事典です。
原書の初版は1968年、金・銀をふんだんに使った豪華絵本です。
当時最高の印刷技術を誇っていたモスクワ造幣局で
特別に印刷されたそうです。

 

ロシアの絵本ミニフェア展-013★.jpg

 『メルヘン・アルファベット』の中はこんな感じです。
ロシア語のアルファベットは全部で33文字。
その1文字1文字に昔話のシーンが描かれています。
絵はソ連邦国家賞・アンデルセン賞を受賞したタチヤーナ・マーヴリナ。
ロシアの「ABC読本」として、美術書として、昔話事典として、
不思議な魅力に触れることができます!

 

  

ロシアの絵本ミニフェア展-014★.jpg

『ウクライナ民話 てぶくろ』
エウゲーニー・M・ラチョフ絵、内田莉莎子訳、福音館書店刊
ご存知の方も多いことでしょう、ウクライナのお話です。
雪の中の降る森の中で、おじいさんが落とした片方の手袋に
動物たちが次々にやってきては「入れて」「どうぞ」の会話が繰り返されます。
やってくる動物たちはどんどん大きくなっていって、
やがててぶくろはぎゅうぎゅうに! そこへついにくままでやってきて
それでも入ってしまう!
動物たちが身に着けている洋服もオシャレで素敵な絵本です。

  

おんどりコッコちゃん表紙.jpgのサムネール画像
『おんどりコッコちゃん ふゆの一日

マイ・ミトゥーリチ絵、ライサ・クダショワ作、吉田知子訳、新読書社刊
今回、嬉しい発見がありました!
それがこちらの絵本を描いたマイ・ミトゥーリチという画家です。

  

 

 

おんどりコッコちゃん中面.jpg

『おんどりコッコちゃん ふゆの一日』の中面です。
サササッと描いているのに味のある絵、魅力的な色彩に
妙に惹きつけられてしまいました!
主人公のおんどりをはじめ、めんどりのねえさん、
カササギさん、ガチョウさん、シジュウカラさん、ウソさん、スズメさんの
姿にはくすぐったいような懐かしさも漂います。
巻末にミトゥーリチさんについて、新読書社の伊集院隆介さんが
紹介文を書かれています。
それによると、ミトゥーリチさんは日本と深くかかわりのある方で、
1994年には小樽に1年間滞在したり、テレビのロシア語会話の番組に
何度か登場したこともあるそうです。

 

おしゃべりはえの子表紙.jpg

 『おしゃべりはえの子ぶんぶんこちゃん』
マイ・ミトゥーリチ絵、チュコフスキー作、佐伯靖子訳、新読書社刊
こちらは虫が主人公の絵本です。
虫といってもはえ! でも可愛らしいのです。
ごきぶりやのみ、なんきんむしまで友だちとして登場、
でもファッショナブルで素敵に描かれているのです!

 

おしゃべりはえの子中面.jpg

こちらの絵本の巻末には、ミトゥーリチさんから
「日本の子どもたちへ」と題するメッセージが掲載されています。
作者のコルネイ・チュコフスキーはロシアの偉大な小説家だったこと、
ロシアの子どもたちは彼のことをコルネイおじさんと呼んでいること、
そしてこの『おしゃべりはえのこぶんぶんこちゃん』は
ロシアの子どもたちがいちばん大すきなお話であること。
自然を愛し、動物や虫たちにやさしいまなざしを向ける。
絵の雰囲気、色づかい、
なんだかブルーノ・ムナーリを彷彿とさせる作風だと思いました。

 

ロシアの絵本ミニフェア展-017★.jpg

こちらは2004年に芦屋市立美術博物館で開催された
『幻のロシア絵本1920-30年代展』のガイドブック。
この本によると、1917年のロシア革命を経て
1920~30年代はロシア絵本の黄金時代だったそうです。
次代を担う子どもたちのために、詩人や画家たちが
生活絵本、工作絵本、動物や自然を学べる絵本など
さまざまなジャンルに取り組みました。
やがて戦争~スターリンの大粛清の時代になり、
作家たちは創作活動を自由にできなくなり
絵本の黄金時代はわずか10年ほどで幕を閉じたそうです。

 

今回、ロシア絵本のミニフェアを訪れて
ロシアという国を違った思いで感じることができるようになりました。
これまではどちらかというと、音楽にしても舞踊(バレエ)にしても
スポーツ競技にしても、国をあげての英才教育から選ばれた
ひと握りのスーパーエリートが、パーフェクトな演奏、演技、結果を残し
勝利するのがあたりまえといった傲慢ささえ感じる国でした。
でも子どもたちに向けた絵本の世界では
寒い国だからこそいっそう暖かくなれるお話や、
大自然と共生していくためのやさしいまなざしといったものが
ふんだんに描かれていて、とてもなごまされました。
明度を押さえ気味の色づかい、思いのほか装飾性に富む絵柄なども
新たな発見でした!
やはり絵本の世界はまだまだ広く、私たちはそのスタートラインに
ようやく立ったばかりだということを実感しました。

ロシアの絵本ミニフェア展-024★.jpg

武蔵新田駅からのルートだと最初に目に入る看板。
ミニフェアは明日25(土)までです!

 

ロシアの絵本ミニフェア展 019.jpg

お店の前の遊歩道にはエリカが満開でした!
春はもうすぐそこまで来てますね♪(ミヤタ)
 

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