旧ソ連時代の絵本即売会
ふぉりくろーるのロシア絵本展
に行ってきました
ふぉりくろーるのロシア絵本展
開催期間/2012年3月2日(金)~18日(日)
開催時間/12:00~20:00 ※火曜休み
場所/デッサン(中目黒駅より徒歩7分)
東京都目黒区東山1-9-7
TEL&FAX 03-3710-2310
http://dessinweb.jp
2月にティールグリーンインシードヴィレッジで開催していた
「マトリョーシカとロシア絵本たち」のミニフェアで
ロシア絵本の素朴で力強い絵本の魅力に触れることができましたが
今回、続けて別のロシア絵本展が開催中であることを知り、
早速訪れてみました。
場所は中目黒の古書店「デッサン」の奥のギャラリー。
ロシア絵本専門のネット書店「ふぉりくろーる」のセレクトによる
旧ソ連時代に出版された貴重なロシア絵本が300点以上。
実際に手にとってページをめくり、
古書の香りを感じながら絵本を見ることができます。
今回はふぉりくろーるにとって初めての絵本展。
デッサンのギャラリーとしても、絵本展は初めてとのこと。
クリエイターたちが多い中目黒という場所柄、
セレクトした絵本はデザイン的にもすぐれたものが中心です。
1917年のロシア革命によって王政が終焉したソ連(ロシア)では
ロシアアヴァンギャルドの旋風が起こり、絵本の分野においても
子どもたちを新しい世界に導くためのすぐれた作品が
数多く誕生しました。その代表が、ウラジーミル・レーヴェジェフ。
フォークロアの世界観を描く作品が多く、
素朴で力強いタッチの絵柄で、大自然に生きる動物たちを中心に
子どもたちの夢を大きく育くんだばかりでなく
今の私たちも惹きつけるなつかしくあたたかい味わいがあります。
上の写真はレーヴェジェフの『おろかなこねずみ』初版復刻版です。
レーヴェジェフ『おろかなこねずみ』初版復刻版の表紙。
レーヴェジェフの1910~30年代の絵本の
復刻シリーズは、このブルー地の表紙です。
レーヴェジェフは子どもたちのための”生活絵本”の
ジャンルの作品にも絵を描いていました。
これはレーヴェジェフ画『昨日と今日』初版復刻版。
左ページに昔、右ページに今の道具を描いた作品です。
レーヴェジェフ画『昨日と今日』
初版復刻版の表紙です。
こちらはレーヴェジェフの弟子である
ヴァスネツォフ画『さんびきのくま』初版復刻版。
トルストイ原作の有名な絵本で、1930年代のものです。
木炭画のような濃い線、濃い印刷の刷り具合が特徴的で
森のにおいが漂ってきそうな絵です。
ヴァスネツォフは第2次世界大戦の戦前と戦後をつなぐという
意味でも、とても重要な絵本作家と位置付けられているそうです。
ヴァスネツォフ画『さんびきのくま』
初版復刻版の表紙。
前回ティールグリーンインシードヴィレッジのロシア絵本展で
見つけて気に入った画家、
マイ・ミトゥーリチのご両親の作品もありました!
ルーツを感じさせる作風だと嬉しくなりました。
赤い輪郭が独特ながら、生き物、緑、水辺など
自然たっぷりの情感あふれる絵本です。
『はじめての狩り』というタイトルで、子犬が主人公の物語です。
ヴィターリー・ビアンキ文、ミトゥーリチ夫妻画。
『はじめての狩り』の中表紙です。
中表紙の左ページには、マイ・ミトゥーリチの
ご両親、ロシア・アヴァンギャルドの画家ピョートル・ミトゥーリチ(右)と
その妻で未来派詩人フレーヴニコフの妹
ヴェーラ・フレーブニコフ=ミトゥーリチの肖像画が掲載されています。
国際アンデルセン賞画家、タチヤーナ・マーヴリナの
絵本もありました。『入り江のほとり』というタイトルです。
ティールグリーンシードヴィレッジで見た
『メルヘン・アルファベット』と同じように、
力強くどろ臭いメルヘンチックな絵柄は
棟方志功の作品に似ていることに気づきました!
『入り江のほとり』の表紙です。
日本でもおなじみ、ラチョフの『てぶくろ』の英語版。
邦訳されて福音館から出版されている黄色の表紙の
絵本とは表紙も中の絵もずいぶん違った風合いでした。
動物たちがオシャレなのは変わりませんが、
そのファッションはよりロシア的なものでした。
きつね、うさぎ、くま・・・。ロシア絵本におなじみの
動物たちが勢ぞろい!
ロシアはネコ好きがとても多いので
ネコの絵本も充実しているそうです。
これは表紙のカットアウトまでネコのシルエットになってます。
モロゾワ画、マルシャーク作『しましまのおひげちゃん』。
ネコがベッドですやすや寝ているシーンも
とても多いようです。
ネコを大事に思うロシア人ならではの着想ですね!
しかけ絵本もありました!
マトリョーシカたちがスックと立ち上がってくれて
凛々しくみえます!
ネホーチナ画による『輪舞』という絵本。
輪舞とは輪になって足踏しながら踊るロシアの伝統的な踊りです。
『輪舞』の表紙です。
マトリョーシカ以外にもロシアの民族衣装を着た
人形たちがたくさん登場する楽しい内容。
90年頃の作品です。
絵本の絵柄のヴィンテージポストカードも販売してました。
左からチャルーシン『カモ』、ラチョフ『ねことおおかみ』、
そしてタチヤーナ・マーヴリナ『マリヤ・モレーヴナ』。
厚い和紙のような紙に、版画刷のような濃い着彩の
なんともいえない風格あるカードです。
額縁に入れて飾ってもいいな、と思いました。
というか、使うのはもったいなさすぎて・・・。
「ふぉりくろーる」のオーナー、村上麻衣子さんとご主人の克之さんご夫妻。
奥様の麻衣子さんは、東京大学大学院で
ロシア文学の研究にたずさわっていたことから
もともとロシアへの造詣は深かったそうです。
ロシアの文化、芸術、歴史、文学、そしてポエジー(詩)!
その素晴らしさをより多くの人に広めたいということで
ちょうど会社勤めをやめてネットで古本ビジネスを始めた克之さんとともに
2年前にロシア絵本専門のネットショップを立ち上げました。
「絵本はロシア語が読めなくてもその世界の素晴らしさをわかってもらえる」
と麻衣子さん。絵本にフォーカスをあてたのは自然な流れでした。
仕入先はロシア全土から。研究者時代に築いたパイプを生かし
直接買い付けに行かずに調達でき、通常の洋書店よりも
破格値で提供できるそうです。
村上さんご夫妻のていねいな説明で、とても楽しく
素敵なロシア絵本を堪能できました。
村上さん、どうもありがとうございました! (ミヤタ)
●ふぉりくろーる TEL&FAX 03-6902-0906
http://folklor.jp
★今回、ご紹介できなかった素敵なロシア絵本が
まだまだあります。
表紙だけでもうっとりしてしまいます!
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