2013.4.10
『いるの いないの』
制作の裏側にインタビュー!
第3回目
『いるのいないの』インタビューをご紹介して、本日で第3回目!
さてさて、今回はどんなお話になるのでしょう?
最後のページの最終ラフです。「ぬわっとした感じ」……!
この時点で京極さんよりOKが出て、あとは町田さんにお任せとのこと。
第3回 「ここが気になるの!絵本のなぞ」
―このラストページの“いる誰か”のことを、
絵本のチカラメンバーは「おばあさんではないか」と話しあっていました。
S:「そういう捉え方もありです」と京極さんはおっしゃっていました。
K:「このおばあさんが梁の上に上がったんだよね?」と言っている子どももいます。
S:いろいろ解釈してもらって楽しんでいただければと思っています。
H:京極先生から「陰っぽくして、具体的に描かない方がいい」と
絵の指示を受けたんです。
それは、読者の想像にゆだねる部分を作りたいという狙いがあったのだと思います。
町田尚子(以下M):私も、なんとなくぼぉっと見えるような
存在にしたかったのです。
なので、Sさんから京極さんの伝言で「顔だけ」と伺ったとき、
思っていたことは一緒だったのだと感じました。
その伝言の中には「子どものトラウマになるように」ともあったので、
「あ、怖くしていいんだ」と遠慮せずに描きました。
あとからお伺いしたら、京極さんは「そんなことは言っていない」と
おっしゃっていましたが……。
―この絵本、子どもが読んだら泣いてしまうのでは?
S:最後以外はちっとも怖くないんです。何も起こっていないので。
ただ現代は昔よりも「闇」が減っていますよね。
でもそういう「闇」は確かにあることも
京極さんは描きたかったのではないでしょうか。
M:文章に説明がないから、縛られずに自由に描けました。
S:出来上がった絵は、京極さんのイメージとずれていませんでした。
H:京極さんとしては、文章の場面を説明するだけの絵になっていたら
注意するつもりだったそうです。
ですが、町田さんの絵には、自分の言わんとしていることを汲み取ってもらえたと
感じたようで、想像以上の仕上がりだとおっしゃっていました。
M:京極さんは、ビジュアルイメージを決めていないとおっしゃってました。
だから絵の軸がずれていなければ、例えば洋館を描いたとしても
良かったのだと思います。
―怪談えほんの監修者である東さんはどんな方ですか?
S:幻想文学や怪談の評論を書かれたり、
怪談専門誌「幽」の編集長をされていたり、この分野のプロフェッショナルです。
H:様々なアンソロジーを編纂していらっしゃるので、
アンソロジストと名乗っていらっしゃいます。
今回のお仕事も東さんは快く引き受けてくださって、
文章作家さんを全員選んでくださいました。原稿へのご意見も伺ったりしました。
S:東さんに全体を取りしきっていただいたからこそ
できたシリーズだと思っているので、怪談えほんにとって東さんは最重要人物です。
―これからも怪談えほんは続くのですか?
H:第2弾として、あと5冊出版する予定です。
再来年の夏にあわせて出したいと思っています。
S:また、怪談えほん第2弾の前に、
京極先生による妖怪えほんシリーズの刊行を予定しています。
そちらも町田さんに絵を描いていただきます。
本日ここまで!明日に続きます〜。