2013.4.9
『いるの いないの』
制作の裏側にインタビュー!
第2回目
前回に引き続きまして『いるのいないの』インタビューをご紹介。
第2回目は、普段は見えない裏側をご紹介ですよ〜。
第2回 「絵本の制作過程のやり取りって、どうなってるの?」
―町田さんに絵を依頼することになったのは、なぜですか?
S:京極さんが町田さんを選んだからです。
町田さんにお聞きしたら引き受けてくださったので、そのままお願いしました。
H:京極さんは、すごく絵本が好きだし、たくさん絵を見ていらっしゃる方です。
文章が完成してから、私たちの方で画家の候補を何人か出し、
作品ファイルをお渡しました。
京極さんが町田さんを選ばれたのは、意外と言えば意外でした。
町田さんの絵の雰囲気は、そのファイルの中では少し異質だったんです。
―初めて文章を読んだ時、どう思いました?
町田尚子(以下M):絵を描かない立場として読んだときには
すごく面白いと思いましたが、
絵を描く立場で読んだときは、正直描けないと感じました。
私が選ばれたことも疑っていました(笑)。
Hさんのところへ持ち込み営業した直後だったので、
断ることはできないと思いました。
左から岩崎書店 編集のHさんとSさんです。
―京極さんとは制作中にやりとりをしたのですか?
S:京極さんと町田さんが直接お会いしたのは、絵本が完成した後です。
制作しているときは、編集部を介してやりとりを行いました。
「町田さんからのラフが上がりましたが、どうでしょうか」と
京極さんにお聞きして、京極さんのお返事を私から町田さんに戻します。
町田さんは、お返事に対する答えを絵で示します。
最後のシーンのラフをやり取りする際に、
「“いる誰か”の服装はどんなものか」という町田さんの疑問を
私から京極さんにお伝えしました。
そうしたら、「服とかそういう事ではなく、
ここでは“誰か”がぬわっと出てくるイメージなのです」という
答えが返ってきました。
町田さんはその言葉を受けて、ラフを大きく修正しました。
この時点でほぼ完成形に近いものになります。
ラフで京極さんからOKが出れば、あとは仕上げまでを町田さんにおまかせしました。
M:ラフに対してのお返事はSさんを通してお伺いしていたので、
「OKですよ」というお返事をいただいても、
本当に京極さんがそうおっしゃっているのか不安でした。
あまり信じてはいなかったです。
初めは梁に“誰か”が座っていることの分かるラフでした。
京極さんの指摘によって、大きく変わることに。
―編集の方から、修正をお願いすることはありましたか?
M:アップで男の子が天井を見上げるシーンは、
Hさんからの指摘で修正しています。もともとは男の子の足まで入っていました。
私自身、絵を全て仕上げた後で、
最後のシーンだけ空気が外れているように感じていました。
それまでの絵の流れから見ると浮いてしまっているのでは?と。
H:途中でひっかかりというか、緊張感を出したかったのです。
M:自分ひとりでは気づけない解決方法でした。
指摘通りに直したらラストシーンも浮かなくなりました。
おばあさんが老猫を抱いて去るシーンも、Hさんからの指摘で描き足しました。
H:読者がおばあさんの存在にけりをつけられるシーンをいれないと、
もやもやすると思ったのです。
本日ここまで!明日に続きます〜。