2013.6.17
代官山 蔦屋書店
児童書売り場の
「懐かしい名作」と「未来の名作」
ゆったりとした時間のながれる代官山 蔦屋書店にて
児童書売り場担当コンシェルジュの谷口さん、山脇さんに
この空間ならではの本棚作りをお聞きしました!
自然光が差し込む児童書売り場です。
―代官山 蔦屋書店の児童書売り場の特徴を教えてください。
谷口(以下T):新刊や季節とは関係なく、私たちコンシェルジュが
素敵な本だと思ったものを並べているので、
他の書店とは一風変わった、独特な本棚になっているかもしれません。
ただ、お客様も「この書店だからこそ手に入るものを」と
思っていらっしゃる方が多いので、大変好評をいただいています。
おかべりかさんの著書が紹介されているコーナーです。
コンシェルジュの「読んでもらいたい!」という気持ちが伝わってきます。
―売り場自体は決して広くはありませんよね。
T:はい。売り場が狭い、というところを逆手にとって、
選書のハードルとセンスを上げ、充実度を高めています。
平積みスペースには毎回テーマを決め、そのテーマに沿った、
昔から長く読みつがれている絵本を主に並べています。
普通は新刊絵本が平積みにされると思いますが、
私たちは長く発行され、支持されているロングセラーの絵本を
平積みにしています。
―ロングセラーの絵本にこだわる理由を教えてください。
T:「“良い絵本”は3世代読み継がれる」と考えています。
お客様は未就学児をお連れの方が多いのですが、子どもに絵本を買い与えるのは
お父さんとお母さん、おじいちゃんとおばあちゃんです。
昔、自分が読んで記憶に残った絵本を子どもに買い与えたいと思っているお客様が
たくさんいらっしゃいます。
売り場近くにはベンチもあって、お母さんが子どもに絵本を読み聞かせていることも
よくあります。
不思議なことに、カップルで絵本をいっしょに読んでいることもありますが(笑)
山脇(以下Y):とても素敵な空間なので、夜になると
ベンチがデートスポットになります。
カップルは、子どもの頃に自分が何を読んだか、そして相手が何を読んだのかを
教えあうことで、お互いの価値観や人間性を確認しあっているようです。
代官山 蔦屋書店のあちこちに設けられているベンチ。
語らいの場にもなります♪
―背差しの本棚にはどんな絵本が並びますか?
T:定番商品が作家名のあいうえお順に並びます。
定番と言っても、コンシェルジュが1冊1冊確かめて、
お客様のお手に取ってご覧いただきたいものを厳選しています。
あの作家の絵本はあるのにこの作家の絵本は無い、 ということもありますが
お求めの絵本が無い場合、お薦めの絵本の提案などもさせていただいております。
実は、「この絵本を置いて欲しい」というリクエストが不思議とあまりありません。
それは、私たちコンシェルジュのセンスで選ばれた本との出会いを
お客様が期待されているからだと思います。
売り場には必ずコンシェルジュがおりますので
お気軽にお声をかけていただきたいと思いますし、
私たちからも積極的にお話をさせていただきたいと思っています。
Y:以前、『地球人記』をお客様にお薦めしたのです。
すると、そのお客様が少し目を離した隙に、横から別のお客様の手が伸びて
『地球人記』をお買い上げくださいました。
おそらく、私の説明を聞いてくださっていたのでしょう。
このときは本の取り合いのようになってしまいましたが
お薦めしたものを手に取っていただけるととてもうれしいです。
コンシェルジュの谷口さん。
本選びに迷ったら相談してみましょう♪
厳選された絵本が並んでいます。
安野光雅さんの絵本は特に人気とのこと。
Y:お客様に絵本をお薦めすることを、私は「お手売り」と言っています。
絵本と心地よく出会える場を作っていきたいと思っているので
お客様とのコミュニケーションを大切にしながらお手売りをしています。
―洋書絵本が独特の品揃えですね。どのように選んでいますか?
T:海外の出版社に直接交渉して仕入れています。
洋書は私が担当していますが、
海外のデザインに関する情報サイトも参考に探しています。
さまざまなセンスの良い商品といっしょに、絵本も紹介されているので。
イラストやデザインの観点からも、海外で人気のある絵本を並べています。
『PEOPLE』は、様々な職業の特徴が分かりやすく表されているイラストと
その職業の英単語をいっしょに見ることが出来ます。
今、海外で人気のイラストレーターによる絵本です。
こちらも簡単な英単語といっしょに絵本の展開を楽しむことの出来るオススメ本♪
―ちなみに、お店に置く絵本を選ぶときの決め手はありますか?
T:なかなか手に取ってもらえない絵本も中にはありますが、
ぜひご覧いただきたいと思いながら本棚に置いている絵本ばかりです。
なので、売れないから置かない、という考え方ではありません。
お薦めしたいという熱意ありきです。
Y:児童図書の本棚には、私の大好きな『秘密の花園』をはじめ
他の書店ではあまりプッシュされていない名作が置いてあります。
すると、お客様はまず「懐かしい!」と言いながら見てくださるのです。
近頃は『魔女の宅急便』が人気です。
実写版が制作されることになり、当店のコンシェルジュがニュース番組で
『魔女の宅急便』には続きがあることをコメントしたのですが、
「小さい頃に読んでいたけど、続編が出てることを知らなかった」 と言って
大人の方がお買い上げくださいます。
T:テレビで話題になると、すぐさま売り場に影響が出ます。
朝早くから話題の絵本を購入するためにお客様がいらっしゃったり、
お問い合わせが増えたりします。
下段は子どもの興味をくすぐる絵本がずらり!
―虫の絵本などが充実しています。どうしてでしょうか?
Y:私が好きというのもありますし、土地柄を考えてのことです。
都会に住む子どもたちにとって、虫と触れ合うのはバーチャルな世界でないと
難しいことだと思います。
本ならば空想や想像といったイマジネーションの力がつきます。
子どもたちの個性に合わせて、
その子らしく未知のものと触れ合うことが出来ます。
子どもにとって必要な体験などは、昔から変わってはいないのに
環境だけがどんどん変わっているので、そこを本で補えたら良いと思います。
―リアルで知ることの出来ないものを教える力が絵本にはあるのでしょうね。
Y:誰かに対する思いやりの気持ちも、
相手のことを「思う」力、想像力が重要になります。
その想像力を培って欲しいと思いながら置く本を選んでいます。
子どものときに多くの良書を読んで、その思い出を心に貯蓄しながら
大人になって欲しいなと思っています。
食に例えるなら、白いご飯はおいしい、ということをきちんと学んでから
お菓子やジャンクフードのつまみ方を覚えて欲しいということです。
本も同じです。まず「名作」をはじめ良書にふれて、
それから世界を広げることが大切だと思います。
谷口さん、山脇さん、ありがとうございます!
良い絵本を見つけたい、コンシェルジュのおすすめ絵本を知りたいときは
ぜひぜひ代官山 蔦屋書店に足を運んでみてくださいね。
また、毎月第3土曜日には絵本のおはなしかいを開催しているとのことです。
こちらにもぜひぜひご参加下さい♪
※このチラシは6月のおはなしかいのものです。
おはなしかいのおしらせ
日時:毎月第3土曜日 11:00〜11:30
参加:3歳以上 先着30名程度
参加費:無料
事前予約制(店頭または電話)
場所:代官山 蔦屋書店 1号館 1階 総合インフォメーション
電話問い合せ:03-3770-2525