2013.7.26
「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展
―いろんなのがいて、だから面白い」
うらわ美術館 にて開催中!
1967年に誕生して以来、
長く愛され続けている絵本『11ぴきのねこ』シリーズ。
うらわ美術館で開催中の
「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展」では、
絵本や漫画の原画、スケッチなどの資料を通して、
絵本作家の馬場のぼるさんの世界の魅力が紹介されています。
そこで、担当学芸員の滝口さんに
展覧会にまつわるお話をお伺いしました!
ポスターがずらりと並んでいます!
漫画、絵本、スケッチなどの
およそ400点もの作品を見ることができます。
― 展覧会を開催したきっかけを教えてください。
滝口:きっかけは企画会社からお話をいただいたことでした。
『11ぴきのねこ』シリーズが 累計300万部以上の
ロングセラーになっているという実績と、
展示できる作品数が十分にあるということで、
展覧会になりうるのでは、という提案です。
そこで馬場さんの作品を調べていくにつれて、
今の私たちの生活にひそむ問題を解決するための力があると、
思うようになりました。
― その問題点とは?
滝口:最近の子どもは、とても大人びた服装をする子が多かったり、
肥満気味でもないのに体型を気にしすぎて食事を控えたりする子がいます。
そういった光景を日常のなかで見ていると、
大人は子どもに対して、「子どもが子どものままでいられる期間」を与えることが
重要なのではないかと思うようになりました。
また、最近のニュースを見ていると、
クレームをつけること、つけられることにおびえて
さまざまな問題を、ただ相手を遠ざけることで解決しているように見えます。
馬場さんの作品を読むと、 子どもが子どもでいていいんだ、という安心感と、
お互いの行動を了解しあうことの大切さが感じられます。
展覧会を見てくださった方が、いろいろある世の中でも、
「まあいいか」と肩の力をぬいていただければ何よりだと思っています。
『ころっけらいおん』など漫画の原画や……
『きつねとごんろく』などの絵本の原画を
間近で見ることができます♪
ー 馬場さんの魅力は、そういうところにあるのでしょうね。
滝口:そうですね。辛い想いを乗り越えさせてくれるような
温かいユーモアや笑いがあるんです。
馬場さんは略歴を見ると、すごく大変な人生を送っているのが分かります。
戦争で特攻隊に志願したり、戦後はさまざまな職業を経験したり……。
略歴は、特に大人の方に見ていただきたいと思って、詳しく編集しています。
『11ぴきのねこ』シリーズは、リトグラフで制作されています。
そのため、線画と色の重なり方がわかるような仕掛けが
原画といっしょに展示されています。
ー 展覧会を開催して、気づいたことはありますか?
滝口:一番驚いたことは、馬場さんはとても人気があるということです。
もちろん、大勢の人に親しまれてきた作品であり、作家だと思っていましたが
アンケートを見たり、お客さまと直接お話するなかで
私の想像以上に愛されていることが分かりました。
それも、一過性の流行ではなく、子どものころから身に付いた「好き」です。
展覧会の入り口にあみぐるみを展示していますが、
こちらはさいたま市に在住の方が趣味で制作されたものなのです。
近所の子どもたちから好評なので、ぜひ展示してほしいと
お問い合わせをいただきました。
そういった反応をいただくと、開催して良かったなと心から思います。
うらわ美術館の入り口に展示されている、あみぐるみ。
すっごくかわいい……!
ほのぼのとした、のどかな作品たちに囲まれて、
大人も子どもも、ほっとできる空間になっています。
馬場さんの描いた、ちょっとずるいけど憎めないキャラクターたちを見ていると
大きな安心を感じるというか、ほっとする気持ちになりました。
馬場さんの作品には、
「辛いことがあっても、何とかなるよ〜」と
語りかけてくる力があるようです……♪
穏やかな気持ちになりたい人に、ぜひ見ていただきたい展覧会です。
ご家族やご友人でのお出かけにも、とってもおすすめです!
「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展―いろんなのがいて、だから面白い」
期間/7月13日(土)〜9月1日(日)
開館時間/10:00~17:00、土曜日・日曜日のみ~20:00 (入場は閉館30分前まで)
観覧料/一般 600円 大高生 400円 中小生 無料
休館日/月曜日
会場/うらわ美術館 ギャラリーABC
TEL/048-827-3215
http://www.uam.urawa.saitama.jp/