2010.02.12更新


 「絵本作家さんと話そう」 

絵本のチカラおすすめ!

宮沢ゆかりさんインタビュー

  <その1>

 

今回インタビューしたのは絵本作家の宮沢ゆかりさん。
彼女の代表作「100Bebes」は細部まですべて鉛筆でユニークに描かれた
モノトーンの世界が印象的で、キャラクターも個性的。
大人もどんどん惹きこまれていきます。
「100Bebes」のお話を中心に、
宮沢さんの作品へのこだわりをお伺いしました。

100bebes.jpg

 画像をクリックすると、
 あらすじを読んでいただけます!


 

宮沢さん.JPGのサムネール画像のサムネール画像

「100Bebes」と宮沢さん 。
日本では、
 唯一目白にある
ブックギャラリーポポタムでのみ置いています!

  

日本語と外国語、
コトバのニュアンスから感じること

 「100Bebes」はフランスの出版社Lirabelleから発行されていますが、
どうしてフランスからの出版になったんですか?

宮沢さん:Lirabelleの方から、突然、出版しませんか?
という内容のメールをいただいたんですよ。
ボローニャ国際絵本原画展で入選したのがキッカケで、
イタリアの展示会場か、入選者のカタログで私のイラストを見てくださって、
それを気に入ってくれたみたいです

 

文章が日本語とフランス語の2ヶ国語で書かれていますよね?
フランス語への翻訳ってどうしたんですか?

宮沢さん: 姉がフランス語ができるので、
私が作った日本語の物語を訳してもらって、
それを出版社に送って見てもらったんですよ。 

 100Bebe 1修正.jpg(c) Lirabelle
 本を開くと、日本語とフランス語が一緒に!

 

 宮沢さん: ただ、日本語とフランス語でお話の展開のさせ方や表現の仕方に
違う部分もあるんです…例えばラスト。
日本語のお話では、
「ふうふと100にんのあかちゃんと まほうつかいのピッチは、
いつまでも ずっと、101ばい しあわせにくらしました」と、
めでたしめでたしという結末なんですけど、
フランス語のお話では、
「うちの子になってほしい!」という、ふうふのお願いに対して、
「さあ、ピッチの答えがどうだったか、考えてみましょう…」と、
読み手に考えさせる結末になっているんですよ。   

 

へぇ〜、なんだか興味深い!
最後に投げかけで終わらせて、子供にその後のストーリーを考えさせる、
ヨーロッパの「子供に自ら考えさせる」という教育方針が
出ている感じがします。
日本では、どちらかというと簡潔型のハッピーエンドが
好まれる傾向があるような気がしますね。

 

宮沢さん:確かにそうかもしれない!
他にも少し訳が違うページがあって、
中には、日本語とフランス語の文章の長さが
全然違うところもあるんですよ(笑)
(ミナミ)

★インタビューその2へつづく★

 

宮沢ゆかりさんプロフィール
2002 日本児童教育専門学校 絵本創作専攻科 卒業
2003 2003イタリア・ボローニャ国際絵本原画展 入選
2005 「MIS PRIMERAS 80,000 PALABRAS」(Media Vaca)Ilustrarte
     2005 Biennial International Exhibition of Children’s Book 
        Illustration 入選
2006 「Erase 21 reces Caperucita Roja/21人の赤ずきん」(Media Vaca)
2008 1st CJ Picture Book Festival Exhibition and Awards 入選
         「100 Bébés」(Lirabelle)
2009 「TODOS LOS SERES HUMANOS NACES LIBRES E IGUALES」
         (Media Vaca)
2010 「100 Bébés-Kamishibai」(Lirabelle)

 

宮沢ゆかりさんホームページ
http://www1.odn.ne.jp/yukarimiyazawa/

  we-take-the-mushroom-for-a-.jpg

 宮沢さんの作品もたくさん見られます!!

 

2009.11.30更新

「絵本作家さんと話そう」

 絵本のチカラおすすめ!

宮沢ゆかりさんインタビュー

 <その0>

 

今年も残りわずか。寒さもどんどん厳しくなってきました。
こんな季節はしっかりと防寒して、ほっとするような絵本を読んで、
心身ともに温まりましょう!
先日絵本のチカラ研究員が今気になる絵本作家の
宮沢ゆかりさんに
インタビューを行いました。
以前この絵本のチカラのインタビューやワークショップにも
ご協力いただいた田中清代さんとも交流のある宮沢さん。
宮沢さんは、フランスをはじめ世界に活躍の場を広げていて、
イタリアやポルトガルなど、国際的な絵本コンテストで入選されています。
印象的なのはそのイラスト。鉛筆だけで繊細に描かれた
人や動物の表情はとっても豊かで個性的。
日本の絵本とは少し一線を画した独特の世界観に
思わず引き込まれてしまいます。  nousa[1].gif

    宮沢さんの絵本に登場してくるキュートな黒ウサギ

 

ご本人は物腰がとても柔らかく、どんな質問も気さくに答えてくれる
とてもやさしい方でした!
おかげで私たちは緊張することなく、楽しくインタビューを敢行。
ワイワイと話を脱線させながら、
外国の出版社とのやり取りの中でのエピソードから、
仕事のやり方や工夫、道具へのこだわり、
ハマリ性だと言う宮沢さんの今興味のあるプライベートなことまで、
少しつっこんだお話をたっぷりと伺いました! 

 CIMG9383.JPG

 宮沢さん。その素顔は近日公開!!
持っている本はフランスで出版された「100Bebes」

 

インタビューは近日アップします!どうぞお楽しみに!!  (ミナミ)

2009.6.24更新

 "手のひらの劇場"が外へ飛び出した

 

ehon8000.jpg

 

先日、絵本作家・染色家の田島征彦さんが出品されている
京都で開催中の「祇園祭展」に行ってきました♪
田島さんは淡路島で畑を耕しながら自給自足の生活を送り、
数々の素晴らしい作品を世に送り出している
日本を代表する作家の一人です。
(上部画像は田島さんの処女作絵本「祇園祭」の表紙です。)

「祇園祭展」は京都にある「染・清流館」にて開催中の
染色展示会で、今年(2009年)が第1回目となり、
田島さんはその企画や人選を引き受けています。
その展示会で田島さんが出品されるとお聞きしたので、
是非行ってみたいと思っていた所でした。
 

私はタイミング良く京都に行くことになり、わくわくしながら

みなみ:「月曜日、行かせて頂きます!」
と田島さんにご報告。 
すると

田島さん:「染・清流館は月曜日休みです。」

みなみ:「ショック!」

田島さん:「ビルの上から2m×14mの大きな祇園祭の型染めが
下がっている。その大作なら休館日でも見られるはず。」

みなみ:「そんなに大きな作品が?!せめてそれだけでも!」

ということで、
少し残念と思いながらも、はりきって京都へ!
「染・清流館」は烏丸駅から徒歩5分程歩いたところにあります。
賑やかな大通りから少し小道に入ったところに、
遠くからでもはっきりわかるほどの大きな型染めがビルから
下がっているのが見えました。
 

 CIMG3779.JPG

なんて大作!今にも動き出し、
声が聞こえてきそうな祇園祭の型染め。(2m×14m)


少しだけ中の様子をご紹介♪

090612_1650~01.jpg祇園祭の大きな屏風が飾られています。
近くで見たらもっと迫力がありそう。
本当に中に入れなかったのが残念でなりません。
(画像:田島さんご本人撮影。暖かいお心遣い、本当に感謝です。)

 

そもそも田島さんが「祇園祭」と深く関わるようになったのは
処女作絵本1974年「祇園祭」(童心社出版、
世界絵本原画展で金碑賞)から。
この絵本は祭りを創り上げる側から描いた作品で、
力強い町衆の息吹きを、眼の奥に焼き付けた
感動的な情景を黒と鮮やかな彩色の型染めで
見ることができます。
田島さんが書かれているエッセイ「ピコちゃんを食べた」
(飛鳥出版室)に絵本完成までの長い道のりが
書かれているのですが、生活の全てを一冊の絵本に捧げる
作家の姿には人々の心を動かす強い力があります。

今回、田島さんの作品から「絵本」のイメージは、
ページを1枚ずつめくっていく"手のひらの劇場"
のようなものだと思っていたのですが、
この「祇園祭展」の作品はその概念を覆すような
力を持っていると感じました。
 

 CIMG3787.JPG

 
田島征彦さん プロフィール

1940年大阪府堺市生まれ。画家。
京都市立美術大学染織図案科卒。
「じごくのそうべえ」で第1回絵本にっぽん賞受賞。
世界絵本原画展金牌、小学館絵画賞、
ライプチヒ国際図書デザイン展銀賞受賞。
他に「そうべえごくらくへゆく」「そうべえまっくろけのけ」
(以上童心社刊)など。
 

※田島征彦さん ウェブサイト
「たじまのんのんてい」
http://www.eonet.ne.jp/~tajima-yuki-syu/

※「染・清流館」 ウェブサイト
 (「祇園祭展」は2009年7月24日まで開催中。)

http://someseiryu.net/

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