GALAPAメンバーのみなさま、こんにちは。本日は『プロからプロへ、レッスンリレー』にて、第3回講師を務めていただいた上原雅則先生の再取材に来ております。
昨年、上原プロは50歳を迎え、シニアツアーに初挑戦されました。シニアツアーは50歳から参加可能のもので、予選会の順位によって、どれだけの試合への出場権が得られるかが決定します。
そして今年も3月6日より、2014年度のシニアツアー予選会が開催されます! もちろん上原先生も参加! 生徒さんのレッスンに加え、ご自身の鍛錬にも余念のない先生に、シニアツアーの醍醐味をお訊きしました。
上原雅則 Masanori Uehara
1963年生まれ(50歳)
高校入学前に初ラウンドを経験。専修大学ゴルフ部、川崎国際カントリー倶楽部(現在の川崎国際生田緑地ゴルフ場)研修生と進む。28歳のときプロ転向。
父親はプロゴルファーの上原節郎。親子2代で日本プロゴルフ協会会員名簿に名を連ねる。
――昨年、初めてシニアの予選会や試合に参加した印象はいかがですか?
ギスギスしたものを感じないよね。「おー、元気?」と声をかけあうような再会もあったりして、楽しかった。先にシニアに参戦していた大学の先輩とも久しぶりに会ったよ。
あとは、自分が若かったときに有名だったプロとおなじ試合にでているわけで、それだけで嬉しくなっちゃうよ(笑)。おれが研修生だったときにテレビで見ていた人たちが、いま60歳くらいなんだよね。
――シニアツアーとレギュラーツアーの違いは?
レギュラーツアーには“圧倒的な飛距離”というものが存在する。石川遼くんなんかと張り合える人は限られてくるわけ。ただ飛距離は、歳をとれば、みんな落ちてくるもの。そのときに自分が維持していれば、だんだんトップレベルの選手との差も縮まってくるよね? おまけにティーグラウンドの位置も前になるから、「ぼくの飛距離でもなんとかなるかもしれない」というモチベーションが生まれる。
さらに、若いときとまったくおなじプレーはできないということを踏まえて、コースマネンジメントで“賢さ”を見せないとね。これはおれたちプロもだけど、アマチュアのシニアプレイヤーもおなじで、若い頃を懐かしむのではなく、知恵をつかうべきじゃないかな。若い頃はいろいろ勘違いもしていたからね(笑)
現在の飛距離はドライバーで270ヤード。「体をメンテナンスすることで、維持していきたい(by上原プロ)」
――日頃の練習や準備の面で変化したことはありますか?
シニアの試合を経験する前から徐々に実践していたことではあるけど、練習に強弱をつけるようになったことかな。昔は毎日4時間くらい練習しても疲れが残ることはなかったけど……今はそんな単純なことじゃないと実感して、体と相談しながらやっている。
4時間打った翌日は、筋力トレーニングやマッサージに充てる。練習にも戦略が必要になったということ。
――試合後にあらためて実感したことは?
予選会で安田春雄さんを見たんだよ。70歳になられたそうだけど、ドライバーで軽く250~260ヤード打ってるよね。聞いた話によると、高校生の練習にまじって一緒にダッシュしたりしているそうで、やっぱりそれだけのことをやってるんだよな……。頭が下がります。おれも若い子を教えてはいるけど、一緒に走ろうとは思わなかった。安田さんみたいな人は、一生トッププロで終われる人。
……やっぱり、ゴルフが好きなんだろうな(遠い目をする上原先生)。あの年代の人ががんばっているんだから、俺たちもがんばらなきゃ。また、次の世代にもそう思ってもらえるようにさ。
大事なのは「目標」を持つことだよ。最近、たまたま行ったゴルフ場で研修生時代の仲間に再会して、後日一緒にラウンドをすることになったんだ。20年ぶりに。
それで、その仲間の中ではおれが一番年上なんだけど、スコアでトップになってさ。ちょっと考えさせられた。みんなゴルフは続けているけど、目標を失くしているように見えたんだよね……。おれはシニアという目標があるぶん、強いんだと思った。だから言ったんだ。「一緒にシニアツアーに行けるようにがんばろう」って。
上原先生のシニアツアーバッジ。“ゴルフが好き”の証明のようにも見える。
――今年の目標は?
当然、去年より上を目指します。そして来年には今年より上を目指す。シニアツアーのレベルは高いので、最初から上手くいくなんてことはないんだよ。“賢く”、徐々に成績を上げていきたいね。
さっき言った、飛距離の維持も続けていくよ。体の稼動域や筋力は、努力で保てるところだから。
でもね、努力じゃどうしようもないところもあるのよ……。たとえば「眼」。老眼が入ってきたら、グリーンの傾斜とかは見づらくなるよね。青木功さんが65歳のときにエイジシュートを達成されたけど、そのあたりはどうなってんのかなあ。
――TVでシニアツアーを観戦するときのポイントを教えてください。
シニアプロは個々の“カラー”を確立している。キャラがある、っていうのかな。お客(ギャラリー)を呼べる人も多い。中嶋常幸さんや、昨年のシニア賞金王になった室田淳さんは今でも300ヤードくらい飛ばすし、某有名プロはラウンド中ずっと自分自身のプレーを解説している(笑)。そのしゃべりの面白さたるや……アマチュアの方が聞いても参考になると思います。そういう“カラー”を楽しむといいんじゃないかな。
いまシニアでは青木功さん、中嶋常幸さん、尾崎直道さん、尾崎健夫さんといったそうそうたるメンバーが活躍中だし、かつて「若手三羽烏」といわれた倉本昌弘さん、湯原信光さん、羽川豊さんもみんなシニアでプレーしているよ。
――最後に、GALAPAのシニアプレイヤーのみなさまへ、メッセージをお願いします。
体のメンテナンスを大切に考えてください。ゴルフの練習だけじゃだめで、練習とメンテナンスの割合は、「5:5」くらいだと思います。昔はこうだったとぼやくのではなく(笑)、今の自分を受け入れることからはじまります。
また、ゴルフは歩くスポーツです。ずっと続けるためには、歩くこと――特に階段昇降などのトレーニングが有効です。ただ歩くだけだと、意外と足は上がってないもの。
プレー面では、たとえば、残り200ヤードでもグリーンを狙って構いません。ただし、そのメリットがあるか? 次のショットで寄せたほうが安是はないか? ……適切な見極めを。そのプレーを自分に“許せる”ようになることがシニアの賢さであり、進化だと思います。
そして、アマチュアのみなさんもシニアプロのような“カラー”を持ちましょう。「おれ、グリーンのそばまでいくと、なんとかなるんだよね」とか、そういった得意分野があるはずです。「おれ、これはわりと上手いんじゃない?」と感じたときは、自分のカラーにすべくそのことを磨いてください。
――ありがとうございました。上原先生の挑戦、これからも追いかけていきます!
ありがとう。シニアツアーはぼくにとって、いわば一生を賭けた“思い出づくり”。死ぬときに、ゴルファーとして生きた証が欲しいんだ。先日、ぼくの生徒さんの中で上手な人が練習に付き合ってくれるというので、ふたりでゴルフ場に行ってきたんだけど、ぼくががんばっているから生徒さんもがんばる。努力する姿を見せていかないといけないと思っている。
[取材協力]
目黒ゴルフクラブ
http://www.golf.fuji-group.jp/
※上原雅則先生のレッスンは、下記にお問い合わせください。メグロゴルフクラブと宿河原ゴルフセンター(神奈川県川崎市)にて行われています。
【上原プロゴルフスクール/ミズノゴルフスクール】
TEL 0120-084-526
http://www.mizuno.co.jp/golfschool/