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2013年8月30日 18:30

ISLAND GOLF CULB GALAPAのみなさま、こんにちは!

『プロからプロへ、レッスンリレー』の時間です。 

 

最近、ここまでの記事をあらためて読まれた方から、ポツポツと感想をもらえるようになってきました。 

「ゴルフってインストラクターによって、いろんな考え方があるんだね!」とか。 

先生方のパターンとして、「基本は○○だけど、ぼくの経験では××がさらに大事」というような話し方をなさいます。どうやらこの「××」の部分に、“目からウロコ”がぎっしり詰まっているようなので、これからも注目していきたいと思います。 

 

さて。 

本日は前回の講師・平野義裕先生からの紹介で、【ツーサムゴルフスタジオ/代々木スタジオ】にやってきました。お目当ては松井丈ヘッドコーチ! 

鍛えぬいた体のイケメン先生に、美しい(格好良い)ゴルフ、ひいては美しくなるゴルフライフをお訊きします。 




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松井丈 Joe Matsui


1974年2月9日/東京都生まれ。

叔父であるプロゴルファー松井功から贈られたジュニア用のクラブがきっかけとなり、9歳からゴルフを始める。

成城高校ゴルフ部出身。栃木県烏山城カントリークラブでの4年間の修行と各地ミニツアーを経て、【ツーサムゴルフスタジオ/代々木スタジオ】のヘッドコーチに就任。日本プロゴルフ協会 A級ティーチングプロ。

趣味はトライアスロン。



――少し雑談よろしいですか? 前回の講師、平野義裕先生とは米国のパームスプリングスで出会ったそうで。 

たまたま父の別荘があったんです。パームスプリングスはシカゴやカナダなど、寒い地域の人たちの避寒地で、ゴルフ場に隣接するように彼らの別荘が並んでいます。行くと2ヶ月くらい滞在していましたが、15~16年前だったか、平野プロが単身ゴルフ留学にいらして……日本人がいることはあまりない場所なので、自然と知り合いになりました。

いっしょに練習やラウンドを行いましたよ。

その後しばらく会っていませんでしたが、お互いティーチングプロになってから試合で再会しました。


――こちらの【ツーサムゴルフスタジオ/代々木スタジオ】について教えてください。かなり広いですが、打席は2つだけですね。 

ツーサムゴルフスタジオは、専属コーチ型・完全マンツーマンレッスンの室内ゴルフ練習場です。いちばんの特色は、毎回必ずスイングを撮影してスイング分析をすること。2打席のみにしてあるのは、全方向からスイングを撮影するためです。石川遼くんも使っている弾道解析マシン「GC2」も導入しています。

また、レッスン後には担当したコーチがカルテを作成します。カルテは生徒さんがオンラインで確認することが出来るので、なにを教わったのかを思い出して、次の練習やラウンドに生かすことができます。

どちらかというと経験者向けのシステムで、すでに試行錯誤を重ねてきた生徒さんと向き合い、スイングを“リフォーム”していくイメージでしょうか。

 


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松井先生が作成したカルテ。【ツーサムゴルフスタジオ】が支持される理由がここに詰まっています。



――松井先生はどんなタイプのゴルファーを教えることが得意ですか?

スイングに悩んでいる人を教えるのが好きです(笑)。初心者のスイングを1から作るのは簡単で楽しいですし、上級者が長年悩んでいた原因がわかったときは、それを伝え、いっしょに直していくというまた別の楽しみが生まれます。

ぼくのレッスンは、まず「答え」を教えます。「これが正しいスイングだ!」と。本当は、スイングはとても単純な動きで作られているんです。

それから、その「答え」に向かう「動き」や「形」を作っていきます。答えがおなじでも、それを実現する「動き」や「形」は、体型などによって異なります。

 

――「答え」はレッスンの末にわかるものだと思っていました。 

ぼく自身、なんのためにやっているのかわからないまま練習することが好きじゃなかったんだよね。自分自身が受けたいレッスンを追及した結果、今のスタイルになりました。



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カルテ制作中の松井先生。



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こちらは、弾道のチェックを行っているところ。



●美しいラウンド・前日 

――前日の理想的な過ごし方を教えてください。 

時間があれば、練習場に行くべきです。前日に練習したら疲れるなどという人がいますが、そんなわけがない(笑)。マラソンランナーがレース前日に20キロ走ったというのなら影響がでることもあるでしょうが、練習場で球を打つくらい大丈夫! 100球から150球、軽く打ってきてください。

食事はお肉や脂っぽいものを控え、糖質を適度に摂取しましょう。朝ごはんを食べたあと、普通に過ごしていても、昼にはお腹がすくものです。ゴルフではこの間、長い距離を歩くけど、お腹がすいたと思ってから補給しても、車のガス欠とは違うから間に合わないよね? 前日から、野菜や米、パスタやうどんなど、糖質を摂っておきましょう。また、油は糖質の吸収を悪くするので避けます。

理想のメニューは「鍋」かな。使う肉も牛豚より、鶏。それもモモ肉より、ムネ肉がよろしい。

 

――鶏ムネ肉の鍋ですか(泣)。 

嫌だったら、フグチリでもいいんじゃない?

 


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松井先生のアドレス。



●美しいラウンド・スタート前 

――いよいよ当日になりました。 

ラウンド当日は、スタート時間の3時間前までに起床して、スタートの1時間以上前にゴルフ場に到着して、食事もすませておきましょう。

 

――おすすめの朝ごはんを教えてください。松井先生の勝負メニューは? 

ぼくはゴルフ場で食事をするときは和定食です。すなわち、シャケと納豆とご飯と味噌汁がぼくの勝負メニューです(笑)。大体おかわりをします。

 

――朝の練習時、やっておくことを教えてください。 

まず、準備運動として「ゴルフヨガ」を行い、体をほぐします。「ゴルフヨガ」は、ゴルフをやる人のためのヨガメソッドです。ぼくの友人でもあるヨガインストラクター、今井美紀と共同で開発し、共著も出版しています。ちょっと、やってみましょうか(といってドライバーを取り出す先生)。

 


ゴルフヨガのポーズ3連発いきます! ラウンドレッスンでは生徒さんといっしょに行うそう。「これをやってから打つと、最初からスパンと当たるんだよね」


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――球も打ちますよね?

当然。ただしコーチが付いているひとであれば、日頃いわれていることを思い浮かべながら打ってほしいと思います。自分がチェックポイントとしていることを、ちゃんと守る練習です。ルーティンがあるなら、“ルーティンの練習”をしたっていいんですよ。素振りは1回なのか2回なのか、ワッグルが1回なのか2回なのか、構えてからどれくらいでテイクバックするのか。とにかく、日頃練習でやっていることを忘れないで打ちましょう。

 


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こちらは共著『ゴルフヨガ・メソッド』。アマゾンなどで購入できます。



●美しいラウンド・午前 

――朝一番のティショットのとき、緊張しない方法を教えてください。 

ルーティンを守ることです。ぼくがルーティンの大切さを痛感したのは、プロテストのときでした。初日の1番ホールのティショットで、やたら心臓がバクバクしちゃったんです。「このままじゃ打てないな」と思ったほどでした。でも、素振りをしてクラブヘッドをポンと置いたらすぐテイクバックするのが、現在でも続くぼくのルーティンです。それを守って、ナイスショットを打ちました。

朝一のティショットは誰でも緊張します。ぼくも試合では緊張します(笑)。なので、日頃から「プレショットルーティン」を練習場でもやっておきましょう。緊張した場面でルーティンが守れると気分が落ち着くし、ミスショットが少なくなります。


――バンカーや池が見えると、わざとのように入れてしまいます。なぜですか? 

「メンタルが強い」「弱い」といいますが、本来メンタルに「強い」も「弱い」もありません。メンタルとは、意識したものの裏返しです。意識に対して、我々が「無意識」「潜在意識」と呼んでいるもの……それが「メンタル」の正体です。つまり、意識の側で「池がある!」と思うと、その裏側であるメンタルが「池がある! きっと池に入るぞ!」と出てきて、池に打たせるわけです。

 

――メンタルが池に打たせようとするなんて(泣)。 

そうですよ。だからメンタルというものは、出てこなければそれにこしたことはない。池を意識しなければ、「きっと池に入るぞ!」というメンタル自体が存在しなくなるわけだから、池に入れずにすみますよ。

実際、プロは池のことなんて考えていません。明確な成功のイメージだけを持って、プレーしています。


――失敗のあとの一打が絶対に成功する方法を教えてください。

失敗した後の一打は、失敗した原因をフィードバックしないことです。なぜなら、アマチュアの方が自分自身で原因を分析しても、それが合っているとは限らない……。普段から練習しているように、今できる最高のショットを打つことに集中してください。


――上手な人、偉い人とまわると打ち急いでしまいます……。 

負い目を感じてしまうということですね……。本当に上手な人や偉い人は、気にしないものですよ。器がでかいんです。そう思っておきましょう。


――プレッシャーのかかるホールなど、ピンチのときに心がけることを教えてください。 

ルーティンを徹底しましょう。ルーティンの良いところは、ルーティンを守ることに集中することで、メンタルが出てきづらくなることです。


――松井先生にとって、「メンタル」は本当に悪いことなんですね! 

悪いことというか、出てこられないようにしたいもの、かな。この考え方の基になったのは、岡本正善氏の講義です。


※岡本正善……多くのプロアスリートと契約するメンタルトレーナー。自分自身を徹底的に肯定する手法により、潜在している力を引き出す。



――効果的な素振りの仕方を教えてください。

ラウンド中の素振りも、練習の素振りも、ほとんどの人が“準備運動”になってしまっています。ただ力を込めて、一生懸命振るだけの素振りに意味はありません。素振りは準備運動ではなく“リハーサル”なので、正しいスイングをイメージして、本番より少しゆっくりスイングすることが大切です。

 


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ゆっくりスイングしてもらいました。ここがちょうどインパクトです。



――アプローチでいったりきたり……どうすれば適度な距離が打てますか? 

アプローチは“野生の勘”で打ちましょう。

「腰から腰まで」とか「9時から3時」とか振り幅で教わっている人が多いと思いますが、ぼくは振り幅では教えていません。なぜなら「9時」と思って本当に「9時」に止められる人はいないからです。人間には0.4秒ものリアクションタイムがあることを知っていますか?

大体、ボールや物を手でポンッと投げようと思ったとき、どこまで後ろに引くかなんて考えないでしょう。手の感覚と経験で、自然に行っているはず。この野生の勘を、ゴルフでは他のスポーツに比べて使わない傾向にありますが、もったいないですよね。

ぼくがそのことに気づかされたのは、叔父(※松井功)とまわっていたときです。グリーンまで少し距離があったので、歩測しようと思ってぼくが歩いて行ったら、少し前にいた叔父が、「なにやってんだ、早く打てよ」というんです。「いや、歩測しようと思って……」、「歩測!? そこにピンがあるじゃねえか。さっさと打てよ!」と。叔父はそういうひとでした。


――パットでいったりきたり……以下同文。

パットも同様です。振り幅を考えるより、どのように球が飛んで、どのように転がっていくのかを、明確にイメージすることが大切です。

 


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前から撮影できるなんて初めてで、興奮しました。松井先生、ナイスショット!

 

 

――ありがとうございました。【後編】は舞台を松井先生のトレーニング現場に移し、ラウンド後半の体力維持や、ゴルフにまつわるライフスタイル全般についてお訊きします。 

 

●【後編】の配信は92日(月)になります。 

 

 

取材協力

ツーサムゴルフスタジオ 代々木スタジオ

http://www.236golf.com/

TEL 03-5302-0236

※  松井丈先生のレッスンは、月~土曜日です。上記までお問い合わせください。

 

 



ゴルフを毎日楽しめる、2014度版ゴルフダイアリーが好評発売中です。ここで見てね!

http://www.jlds.co.jp/galapa/2013/07/lifedesign-golf-diary-2014.html


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2013年8月12日 00:00

『プロからプロへ、レッスンリレー』とは?

優れたコーチのもとを訪れ、教えを乞い、そして次のコーチを紹介していただきながら数珠繋ぎに続けていく企画。テーマは“メンタル”と“日頃の行い”です。

 

今回、取材班(1人だけど……)がたずねている平野義裕先生は、4歳児から70代までまさに全世代のゴルファーを指導されています。

「最初はどのクラブで打ってもおなじだったものが、やがて距離を打ち分けられるようになり、そしてまたどのクラブで打っても変わらなくなっていく――それでもゴルフは人生になにかを残す」 

と、話す平野先生。その真意に迫ります。 

 

また先生が力を入れている、ジュニア育成の現場にも潜入しました! 

 

 

 

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平野義裕 Yoshihiro Hirano

1969年6月20日/神奈川県生まれ。

20歳のとき、ジャンボ尾崎の研修生として本格的にゴルフを始める。その後、パームスプリングスへのゴルフ留学を経て、指導者の道に進む。

伊勢丹ゴルフスクールで9年務めたあと独立し、現在受け持っている【池袋ナイススポーツ】のスクールは7年目となる。また、【クールクラブス南青山店】では個人レッスンを実施。クラブフィッテングにも通ずる。

 

 

●ジュニア育成について

――午後ラウンドのアドバイスをいただくまえに、お訊きしたいことがあります。ジュニアのスクールについてですが、なにも知らない子どもに、どのようにしてイチからゴルフを教えるのですか? 

ぼくは成人のほかに、幼児、学童、中高生のクラスを受け持っていますが、4歳児からの幼児クラスでは“ゴルフに似た運動”から始めます。ぼくが独自に作っている大きなティーがあるのですが、それにテニスボールを乗せて、ジュニアのテニスラケットで打つ……というようなものです。これによって「アドレス、トップ、フィニッシュ」が身についたころ、はじめてゴルフのクラブに移行します。また、幼児クラスは球を打つ時間は最後の20~30分くらいで、ボールを投げたり走ったりする楽しい練習が中心になります。

幼児を卒業した学童クラスでは、規律のある練習に変わっていきます。このころになると、子どもたちの動きもはげしくなりますし、やんちゃな子が多くなります。安全のためにも、エチケットマナーなどを教えていきます。

 

――彼らのご両親もゴルフをしますか? 

約半数の方がゴルフをします。あとの半数の方は、習い事の1つとして選択するようです。

 

――競技として取り組む子と、習い事として親しむ子が混在すると思うのですが、将来上手になる子はわかりますか? 

わりと早い時期にわかります(笑)。違いは集中力です。フォームや動きが良くても、集中力がない子はなかなか伸びません。ただ、ぼくは集中力というものは、きっかけさえあれば生まれるものだと思っています。ぐっとゴルフにのめりこむ、そのきっかけを作ってあげたいですね。

ぼくは本格的にジュニアの育成をはじめて7年目になりますが、いま成果がではじめているところです。遠征にも一緒に行くなど、力を入れていますよ。

最近のトピックとしては、小学5年生の女の子が、全国小学生ゴルフ関東大会決勝で個人2位通過、丸山茂樹ファンデーションジュニアゴルフ関東大会で1位通過。高校生の男の子が、全国高校ゴルフ選手権関東大会団体決勝に出場、関東ジュニア全国大会出場という成績をあげました。

 

――女の子と男の子ではどちらがゴルフを習いにきますか? 

ちょうど半々ですね。こちらの教え方はおなじで、変えることはありません。子どもは見抜くというか、男の子から「女の子をヒイキしてる!」といわれたことがあって……もうおなじにしました(笑)。

 

 

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準備体操から始まる平野先生のスクール。うわさの小学五年生は左。右の子も、とても上手です。

 

 

100切り当日・午後

――では、【前編】に引き続き、ラウンドについてのアドバイスをお願いします。午前中のスコアがぼろぼろの場合、どのように気持ちを切り替えたらよいですか? 

18ホールずっと「100切るぞ!」と思ってプレーし続けていたら、気持ちを切り替えるポイントがありませんよね。集中力ももちません。

ぼくがおすすめするのは、18ホールを3ホールごとにわけて考える方法です。「3ホール終わった。次、また3ホールがんばろう」というふうに、意識的に切り替えてはどうでしょうか。それなら集中力も3ホールもてばよいとなります。

 

――午後も体力を保つ方法を教えてください。 

ぼくは明治乳業さんの「VAAM」と契約してもらっていますが、やはりいいんですよね! スタート前も飲みますが、後半も必ず飲みます。一般的にアミノ酸はスポーツに良いといわれていることと、僕自身飲んだときにスコアが良かったりして、お守りのようになっています。

 

 

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これが平野先生のVAAMだ! 小さな体で1日に100キロ飛ぶスズメバチを研究して作られた。提供/明治乳業さま

 

――100切れる人、切れない人の違いはどこにあるのでしょうか? 

大たたきしたか、しなかったか――ではないでしょうか。1つのホールで2ケタたたいていたら、厳しいですよね。100を切れるレベルの人が大たたきした場合、そのホールのどこかに“分岐点”があるはずです。「あの1打から上手くいかなくなった」という分岐点ですね。……良いスコアで上がれる自分もいたはずなので。

あとは、残った距離を自分で計算して打っている人と、なんとなく“打たされている”人とでは違いがでます。コンスタントに100を切れる人は、計算のできる人です。

 

 

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大人よりずっと伸びやかなフォームの子どもたち。小学生でも70台でプレーする子がいるそう。じぇじぇ。

 

 

●ラウンド終了後、または後日

――プレー後、絶対やるべき体へのメンテナンスは? 

プレー中は一方方向ばかりに強く腕を振っていたので、プレー後は逆方向に振るということをしておくと良いと思います。右利きの人だったら、左でスイングしましょう。ゴルフ場にいるあいだにやってくださいね。

 

――今日のゴルフを振り返ってやっておくことはありますか? 

おなじパーでも、バーティーを逃してのパーと、ボギーを持ちこたえてのパーは違うものです。そういったスコアにでないところも振り返っておきたいですね。良いなりにも悪いなりにも課題を見つけて、練習に取り入れましょう。

ぼくは昨日、大人3人を連れてラウンドレッスンでした。土浦のワンウェイゴルフクラブ(スルー形式を採用するコース)で最後の組として出発し、3時間をかけて練習しました。最後の組ででるのは課題を解決するために、くり返しおなじことをしてもらうからです。そういう“捨てラウンド”は必要ですね。昨日はかなり充実したレッスンになったと思います。

 

 

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スクール終了後、平野先生にも打っていただきました。良い音!

 

 

●ゴルフライフ全般に対するアドバイス

――これ以上はスコアアップしないと思ったときは、どうすればよいですか? 

ぼくは、ゴルフはスコアだけではないと思います。スコア至上でやってきたひとも、歳を取れば、いつか限界がきます。ゴルフというスポーツは、最初はどのクラブで打ってもおなじだったものが、やがて距離を打ち分けられるようになり、そしてまたどのクラブで打っても変わらなくなっていくものです。

 

――そうなんですか!?

ええ。最後はまた番手の差がなくなります。ただ、そうなったときにも周りに仲間がいたり、経験を伝えられる後輩がいたりするのが、ゴルフの良いところですよね。

それから、体力維持のために18ホールを歩く、というのはすばらしいことです。普通の散歩ではとても歩けないような距離が、なぜかゴルフボールを追いかけていると歩けちゃいますから(笑)。

 

――飛距離を保つ方法はありませんか? 

道具にこだわってみることはできますよ。フィッティングしてみると、自分に合わない道具を使っている人は多いですから、そこで良くすることはできるかもしれません。一度、クールクラブスにいらしてください。

 

――ちなみにゴルフって何歳までできるのでしょうか? 

ぼくのスクールでいちばん年配のかたが76歳ですね。ラウンドに関しても、18ホールすべてまわらなくてもいいですし、乗用カートもあります。ゴルフは、他にくらべて長くできるようになっているスポーツだと思います。

 

――解説書によって書いてあることが異なり、情報過多になってしまいます。その場合、どうすればよいでしょうか? 

ぼくはPGAの会員なので、その立場からコメントします。PGAは方針として「いつも真ん中にいる」ということを掲げています。スタンスが広い、狭い、真ん中。前傾が深い、浅い、真ん中。その「真ん中」です。どちらかに偏ると反対側が見えなくなりますからね。そして、ぼく自身もできるだけニュートラルなポジションにいたいと思っています。

受け取り側の人には、じぶんに合っているもの合っていないものを、しっかり見極めてもらいたいです。

 

――女子プロで可愛いと思うのは誰ですか? 

木戸愛選手かな。彼女のお父さんはプロレスラーの木戸修選手ですが、ぼくはお父さんも好きだったんですよ。

 

――最後に、平野先生から読者のみなさんへのアドバイスをお願いします。 

ぼくの経験上、ゴルフでは“自分を知る”ということが重要だと思っています。自分の力量や練習量を知っておかないと、とんでもないスーパーショットを狙って、スコアを悪くしてしまいます。楽しければいいというのも一理ありますが、終わったあとに充実したラウンドだったと思うためには、しっかり自分と向き合ったゴルフをしたほうがいいですね。

 

 

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記念撮影。「女子プロみたいなこういう……ポーズしてください」(記者)、「女子プロはそんなことしない!(笑)」(生徒さん)

 

 

――以上で質問終了です。ジュニアのスクールでは担任の教師のように接し、成人のラウンドレッスンでは生徒と充実感を共有する……とってもすてきな先生でした。平野先生、ご指導ありがとうございました! 

 

次回は、平野先生が推薦される松井丈(まつい じょう)先生のもとを訪れます。

 

取材協力

クールクラブス南青山店  http://coolclubs.co.jp/

池袋ナイススポーツ http://www.nice-sports.co.jp/

 

※  平野義裕先生のレッスンをご希望の方は、下記までお問い合わせください♪

クールクラブス南青山店 TEL 03-6418-7030 http://coolclubs.co.jp/

池袋ナイススポーツ TEL 03-3986-2233 http://www.nice-sports.co.jp/

平野義裕(直アドレス) rano.3e0514@docomo.ne.jp


2013年8月 9日 16:03

『プロからプロへ、レッスンリレー』とは?

優れたコーチのもとを訪れ、教えを乞い、そして次のコーチを紹介していただきながら数珠繋ぎに続けていく企画。テーマは“メンタル”と“日頃の行い”です。

 

第3回となる今回は平野義裕先生をたずねて、東京でも最新のゴルフ施設【クールクラブス南青山店】にやってきました。 

平野先生は4歳児(!)から70代まで全世代のゴルファーを知る、オールマイティーな指導者です。 

 

毎度のようにラウンド前日からラウンド当日終了までを時間軸に沿ってアドバイスいただきますが、今回はとくにスコアが100前後の人は注目! 

100を切るためのポイント、訊いてきましたよ。 

 

 

 

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平野義裕 Yoshihiro Hirano

1969年6月20/神奈川県生まれ。

20歳のとき、ジャンボ尾崎の研修生として本格的にゴルフを始める。その後、パームスプリングスへのゴルフ留学を経て、指導者の道に進む。

伊勢丹ゴルフスクールで9年務めたあと独立し、現在受け持っている【池袋ナイススポーツ】のスクールは7年目となる。また、【クールクラブス南青山店】では個人レッスンを実施。クラブフィッテングにも通ずる。

 

 

――すごい施設ですね。本題に入る前に、クールクラブスの最新設備を使ったレッスンについてレクチャーしてください! 

これは、「TRACKMAN」というたいへん優秀なマシーンです。21通りの見方で弾道解析をしてくれます。(バシッと打つ平野先生)……このように画面に弾道がでます。回転数やキャリー、上から落ちてくるときの角度などがわかります。

 

――病院で受けたMRI検査を思い出しました。 

そうですね。スイングが丸裸になるという意味では似ています。おそらく、こういった機材を使ったものが、今後のゴルフレッスンの主流になってくると思います。

また、ここはクラブフィッテングを行う施設でもあります。「TRACKMAN」の解析を元に、クラブフィッターと呼ばれる専門家がヘッドとシャフトを組み合わせたり、細やかな調整を行っています。

 

 

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左からフィッターのエヴァン氏、平野先生、COOの武藤氏。

 

 

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引き出しの中に眠るヘッド。「ドライバーだけで1時間かけてフィッティングします。99%の方から、良い報告をいただくことができますね」(武藤氏)

 

 

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おびただしい数のシャフトが並ぶ。「華やか!」(記者)「フィッティングするときは、デザインよりも結果がでることを重視しますけど(笑)」(武藤氏)

 

 

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こちらは、パター用のフィッティングブース。「パターは正しい打ち方を知らない方が多いため、よりレッスンの性格が強いフィッティングになります」(武藤氏)

 

 

100切り前日

――さて、本題に入ります。まずは、ラウンド前日の理想的な過ごし方を教えてください。 

ふだんの生活パターンを保つことをおすすめします。もちろん、寝不足や二日酔いの状態ではパフォーマンスが下がりますが、だからと言って、いつもほどよい晩酌する人が前日だけお酒を抜いたりしても、「飲まなかったんだからがんばろう!」というような気負いができてしまって、上手くいかないものです。マインド的な縛りができてしまうというか……。ジャンボ尾崎さんにしても、ぼくが見てきたトッププレイヤーは、みなさん普段と変わらない前日を過ごしていました。

 

 

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平野先生のアドレス。「先生って、イタリア人みたいですね」「偽ジローラモってよくいわれます」

 

 

100切り当日・午前

――おすすめの朝ごはんを教えてください。100を切るための勝負ごはんってありますか? 

メニューも大事ですが、食べ過ぎないことです。血液が胃に集まってしまうと、思考能力が下がると言われています。少なめに食べて、お昼ごはんまでに何回か補充するかたちが好ましいです。

 

――朝の練習時、やっておくことを教えてください。 

まずパターの練習をしましょう。次にアプローチフィールドがあれば、アプローチを。その次がショットです。ショートアイアンからはじめて、1通り5球ずつ打ちましょう。このときスイングを直そうとはせず、①今日の調子を見る、②今日はどっちの方向に飛びやすいなど傾向を見る、ということを心がけます。そして最後にドライバーを打って、そのままスタートする……これはぼく自身のベストな流れでもあります。

全体で1時間くらいでしょうか。練習終了後、時間を空けずにスタートできるよう逆算して行います。

 

――朝一番のティショットのとき、緊張しない方法を教えてください。 

緊張しない人はいません。だけど、緊張したときに自分がどういうミスをするのか、知っておくことは有効です。やりがちなミスを知っておくためにも、経験を積みましょう。

 

――バンカーや池が見えると、わざとのように入れてしまいます。なぜですか? 

苦手意識が強いと、「バンカー」や「池」というワードが頭に浮かんで、そればっかり考えてしまいます。「赤い」という言葉を使ってはいけないと言われたら、そのことばかりを考えてしまうのとおなじです。ターゲットであるグリーンやフェアウェイのことだけ考えていたら、大丈夫!

ただ、たしかにアマチュアにとって、バンカーや池を方向で避けることは難しい。どうしても不安な場合は、絶対に届かないクラブで打つというのもひとつの方法です。

 

――失敗のあとの一打が絶対に成功する方法を教えてください。 

絶対に?(笑)

 

――今日は100がかかっているので! 

クラブを変えてみてはどうでしょうか。100前後の人は、おなじミスを繰り返したり、おなじミスを嫌って極端に違う方向に打ってしまったりすることが考えられます。普段よく練習をしていて、自信を持って打てるクラブがあれば、思い切ってそれに変えましょう。

 

――ドライバーで打っていた距離のあるティショットもアイアンに変えて打つ、という意味ですか? 

はい。失敗するよりは、前に進むほうがいいですよね。

 

 

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「絶対、ですか。困ったな」と、苦笑する平野先生。

 

 

――上手な人、偉い人とまわると打ち急いでしまいます……。 

“準備”が重要ですね。効率よく回る方法を知って、次の準備を行うことです。じぶんがドライバーを打つ順番が回ってくるまえにグローブをし、ティーとボールを持っておく。いつも何本か持って走る。飛んだ方向に目印を見つけて、ボールを見失わないようにする……こういったことを心がけてプレーすると、ほんの少しずつですが時間の短縮になり、打つときに余裕ができます。

 

――プレッシャーのかかるホールなど、ピンチのときに心がけることを教えてください。 

狙いをピンポイントに絞ることが効きます。「フェアウェイセンターで、奥に木がある、その木の根元のほう」というようにどんどん狭くしていきます。

 

――えっ。かえって難しくなりませんか? 

狙いがぼやけていると、ターゲットに向けてまっすぐ構えられていなかったり、せっかくのルーティン(練習とおなじ行動をとること)もあいまいになってしまっていたりすることが多いんです。

また、狙いを絞っていくことは集中力を高めます。ぼくはいつも声にだして行っています。「ボールと旗を結んで、その真ん中くらいにぶつぶつ……」と、声にだして言いながら構えます。すると、じぶんのつぶやきに気がいくので、狙いが狭くても気負わずに済みます。

 

――素振りの効果的な行いかたを教えてください。 

今日の調子を見ながら変えてください。ダフッているときはインパクトの瞬間(ボールに当たる瞬間)を気にしすぎている場合が多いので、フィニッシュまでしっかり振ることを心がけましょう。反対にトップしている人だったら、クラブがきちんと落ちてないことが考えられます。芝をばん、ばんっと打つようにしてみましょう。……ホントは芝によくないですけどね。

 

――アプローチでいったりきたり……どうすれば適度な距離が打てますか? 

アドレスを確認しましょう。ボールの位置、体重配分は正しいですか?

また、打ち損なって行き過ぎちゃったのか、振り過ぎて行き過ぎちゃったのか……どちらであったのかを、確実にフィードバックしましょう。クラブフェイスのリーディングエッジに当たった場合、つまり撃ち損なった場合は、振り幅に関係なく飛んでしまいます。それを「振り幅が大きすぎた」と勘違いし、次は小さめに振ってショートしてしまうのです。

これをふせぐためには、インストラクターや上級者に見てもらうことがひとつ。それからピッチングや9番などフェイス面が立っていて、しっかり当てられるクラブを使うことですね。目の前に障害物さえなければ、サンドウェッジやアプローチウェッジより、ピッチングと9番です。

きちんと当たらなければ、距離のことには集中できません。ふだんからピッチングや9番をよく練習して、当たるようにしておきましょう。

 

――パットでいったりきたり……以下同文。 

3パット以上打ってしまうと、100を切るのは厳しくなってきます。日頃の練習でじぶんのワンパット圏を広げるしかないですね。

パターって、みなさん練習しないんですよね……。ラウンドレッスンをすると、パターが苦手な方がとても多い。ラウンドしたときは必ず、ホールごとに打ったパターの数を記録するようにしましょう。じぶんの弱点がパターだと分かれば、もっと練習する気持ちになるのではないでしょうか。

 

――ありがとうございました。【後編】では、午後ラウンドやラウンド終了後のメンテナンスについてお話しいただきます。また、平野先生が力を入れていらっしゃるジュニア育成の現場にも潜入しますので、どうかお楽しみに。 

 

 

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「また来週♪」

 

 

【後編】の更新は812日(月)午前0時になります。

 

 

取材協力

クールクラブス南青山店  http://coolclubs.co.jp/

池袋ナイススポーツ http://www.nice-sports.co.jp/

 

※ 平野義裕先生のレッスンをご希望の方は、下記までお問い合わせください♪

クールクラブス南青山店 TEL 03-6418-7030  http://coolclubs.co.jp/

池袋ナイススポーツ TEL 03-3986-2233 http://www.nice-sports.co.jp/

平野義裕(直アドレス) rano.3e0514@docomo.ne.jp


2013年7月29日 00:00

『プロからプロへ、レッスンリレー』とは?

優れたコーチの元を訪れ、教えを乞い、そして次のコーチを紹介していただきながら数珠繋ぎに続けていく企画。テーマは“メンタル”と“日頃の行い”です。

 

“ラウンドデビュー請負人”こと上原雅則先生へのインタビュー、いよいよ【後編】です。

第1回と少しだけ趣向を変え、人生初めてのラウンドという設定にてゴルフライフに関するアドバイスいただいています。

初心者の方は必見。上級者の方もご自身の初ラウンドを思い起こして、初心に返ってみませんか?

現在、シニアツアー参戦中の上原先生が実際に使っているクラブも登場しますよ!

 

 

 

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上原雅則 Masanori Uehara

1963年4月5日/山梨県生まれ、東京育ち。

高校入学前に初ラウンドを体験し、3年生の全国高校選手権で好成績を残す。その後、専修大学ゴルフ部、川崎国際カントリー倶楽部(現在の川崎国際生田緑地ゴルフ場)研修生と進む。28歳のときにプロ転向。

今年50歳を迎え、シニアツアー選考会を勝ち抜き、現在ツアー参戦中である。

父親はプロゴルファーの上原節郎。親子2代で日本プロゴルフ協会会員名簿に名を連ねる。

 

 

●初ラウンド真っ最中

――素振りの効果的な行いかたを教えてください。 

これは、その人の特性によってアドバイスしたいことが違うんだけどな……。

たとえばですが、「ドライバーの素振りを、ヘッドカバーを付けた状態で行う」ということが効果的な場合もあります。カバーを付けたままだとクラブは通常より重たく、長くなります。そうすると小手先で振れなくなり、スイングが大きくなるので。

 

――ヘッドカバーって、そんなに重いものじゃないような…… 

振ると、すごく重たく感じるんだよ。今度やってみなさい。

 

 

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上原プロのスイング、撮らせていただきました!

 

 

――アプローチでグリーンを行ったり来たりする場合、どうすればちょうど良い距離が打てますか? 

エッジまで打ってください。旗は狙わないということです。エッジまでと思って打てば、まずグリーンの向こう側までは行きません。上手くいったときはまずまずのところで止まるし、下手をすれば(?)もっとカップに近づいてラッキーということになります。

アプローチは、「スコアメイキングショット」と呼ばれているくらい大切です。アプローチが合うようになればスコアは格段によくなるので、これは早めに乗り越えたい課題です。

 

――パットでカップを行ったり来たり……以下同文。 

次から10メートルのパットを練習しましょう。ぼくは初心者の場合、2メートルとか3メートルより、10メートルの距離感をつかんでおくほうが役に立つと思っています。だって、2~3メートルところになんてなかなか落ちないもん(笑)。初めのうちは10メートルくらいのところに落ちる確率が高いです。

そもそもパットは「入れよう」とせず、「寄せよう」とするべき。10メートルを寄せて3メートルになる、3メートルを寄せて1メートルになる――そうやって詰めていけば、3打で入るわけです。行ったり来たりするよりはスコアが良くなります。

 

 

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昨年、改装したばかりのメグロゴルフクラブ。とってもきれいなパター練習場。

 

 

――午前のラウンドが終了しました。ここまでのスコアがぼろぼろの場合、どのように気持ちを切り替えたらよいですか? 

そこで落ち込むなんて、そもそも自分に期待しすぎです(笑)。だって、どれだけの練習をしてきましたか? 忙しい仕事の合間を縫ってなら、週に1~2回の練習が精一杯だったはずです。毎日練習しているプロだって、終わったことは仕方がないと切り替えてやっています。

気持ちを切り替えましょう。気分転換になるのは少量お酒、それからウェアなどを着替えることです。昼休みでなくても、たとえばグリーン上でパットが上手くいかないときなど、グローブを外して打ってみるといいでしょう。

 

――午後も体力を保つ方法を教えてください。 

カートは、前に進めてから乗りましょう。バンカーレーキを持って、バンカーに入りましょう。グリーンが近くなったら、ピッチングとパターとサンドの3本を持っていく! サンドは、グリーン周りのバンカーに入ったときのためです。まぁ、お守りだと思ってください。

こうやって移動距離を縮めていくと、ちりも積もって体力温存になります。

 

――初ラウンド終了! 記念にしておくべきこととか、仲間に対して気配りすることはありますか?

クラブハウスの前で集合写真を撮っておきましょう。ぼくは1年後や数年後に、またおなじコースを訪れることを推奨しています。じぶんの成長がわかると思うから。そのときのためにも、写真やスコアカードはあったほうがいいですね。なるべく記録と記憶を残しておくことで、「あのときできなかったことが今回はできる」と気づくことができる。それはゴルフを続けていくうえで大きな励みになります。

 

 

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上原先生のレッスン光景。快く撮影に応じてくださった生徒のみなさま、ありがとうございました!

 

 

●初ラウンドを振り返って…

――プレー後、絶対やるべき体へのメンテナンスは? 

翌日が仕事の人は、とくに筋肉痛がおこらないようにしないといけません。そのためにはストレッチをやりましょう。

ぼくは毎日、ウチに帰ってからかなり丁寧に行います。家族のいる人は、家族に背中などを押してもらうと、より良いですね。こないだ息子に「おい、押してくれ」って頼んだら、足で押されちゃったけどさ……。人に押してもらうと効きが違いますよ。

 

――筋肉痛も辛いけど、ゴルフシューズって痛いですよね。どうしてあんなに硬いんですか? 

それは靴が悪いなあ。今の靴はすごく柔らかいです。MIZUNOの「GENEM」は23センチとか、26センチとか通常のサイズのほかに、足の横幅のサイズも指定できます。これまで横幅に合わせてワンサイズ大きな靴を履いていた人はストレスが減って楽になるので、お店で試してみてください。

メーカーはそれだけ考えてくれているので、新しいものに悪いものはないと思ってもいいんじゃないでしょうか。ときどきはスポーツ用品店に足を運び、可能な限りその場で試してみましょう。

力の弱い女性におすすめするのは、背中がクロスバンドになっているタイプのアンダーウェアです。MIZUNOからも「バイオギア」というシリーズがでていますが、ウェアの下に筋肉を1枚着込むイメージかな。スイングがよく回るようになります。紫外線も防いでくれるし、優秀です。

 

――あれって、なんだか暑そうで…… 

直射日光が当たらないぶん、着ているほうが涼しいよ。今の時代、着て暑くなるような商品じゃ売れないって……。

日焼けは疲れるものです。とくに首には日差しを当てないほうがいい。ポロシャツの襟を立てるのもひとつの工夫です。テレビ中継でプロが襟を立てて回っているのは、べつに格好つけているわけではありません。

 

――今日のゴルフを振り返って、やっておくことはありますか? 

学生時代、定期的にまたは不定期に模擬試験を受けましたよね。上手くなりたいなら、ラウンドに行くたびに、模擬試験を受けたと考えるのがいいでしょう。

つまりドライバー、アイアン、アプローチ、パッドなどの教科に分けて自己採点をするのです。ミスしたところを知っておかないと、またおなじ問題が出題されても解けません。

ゴルフの場合はあくまでも“自己評価”でいいので、必ず今日のプレーに点数をつけましょう。

この点数をきちんとつけられるようになると、「次はここを重点的に教えてほしい」とコーチにリクエストしたり、練習にも役立つようになります。

 

 

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じゃーん。先生が試合で使用しているクラブセットです。

 

 

●ゴルフライフ全般に対するアドバイス

――あまり上手にならず、もう自分はスコアアップしないかもと思ったときは、どうすればよいですか? 

それは……ゴルフを辞めるときです。

でも、その前に練習の内容を見直してみましょう。スコアが頭打ちになっている人は、おなじ練習を続けている人が多いですが、人は自分の好きな練習ばかりしてしまうものです。意識して、好きな練習より、しなければいけない練習をしてみましょう。

 

――歳を取り、飛距離・スコアが落ちてきた場合は? 

スコアアップでなく、レベルアップを図ってください。じぶんのレベルを高めるんです。ぼくも飛ばなくなりましたが、スコアは若いときと変わりません。飛ばなくなったぶんをどこで補うか、やれることは山ほどあります。

 

――ちなみにゴルフって何歳までできるのでしょうか。 

今ぼくが教えている中で、最高齢は91歳のおじいちゃんです。その方は毎週土曜日、ラウンドにも行かれています。カラダに対する意識はすごく高くて、良いと評判のマッサージに通ったりもしているみたいですね。

楽しくゴルフできることが大事だと何度もいいましたが、怪我しちゃったらつまらないし、ストレッチは絶対に欠かさないなど、みなさんも意識を高く持ってくださいね。

 

 

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1、3、5ウッドとアイアン3~9。PW、52、58。ヘッドはすべてミズノ製で、シャフトはさまざま。総じて重い。

 

 

●上原スクール、人気の秘密

――さっき生徒さんの会話が聞こえてしまったんですけど、“上原会”っていうのは……

“上原雅則とゴルフに行く会”かな? 生徒さんたちのコンペです。みんなの力をよくわかっているから、ぼくがハンデを付けます。あしたもバスを貸し切って行くんだ。もちろん、ぼくもプレーします。

 

――あの……ああいった若くておきれいなOLさんたちが、上原先生のレッスンを選んで通うのはなぜですか? 

上手くなるからです。生徒さんそれぞれの異なる理由もあるだろうけど、それはぼくにはわかりません。ぼくが言えるのは、彼女たちがここで100を切るくらいまでは上手くなっていくということです。女性は、ほんとうに教わるのが好きだよね。

 

 

――以上で質問終了です。遠征の合間を縫って、インタビューや撮影に応じてくださった上原プロ。気さくな方で楽しいひとときでしたが、ゴルフに対する姿勢はとてもストイックなものでした。ご指導ありがとうございました!

 

 

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上原先生、今回のラストはストレッチでお願いします!「なんだよ、それ。格好わるくないか?(笑)」


 

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また記者もやらされました。(撮影/上原先生)

 

 

次回、『プロからプロへ、レッスンリレー 第3回』は、上原先生のご紹介で、またまたスペシャルな方のものを訪れる予定です。どうかお楽しみに♪

 

 

 

取材協力:メグロゴルフクラブ

http://www.golf.fuji-group.jp/

 

※上原雅則先生のレッスンに関しては、下記にお問い合わせください。メグロゴルフクラブと宿河原ゴルフセンター(神奈川県川崎市)で行っています。

【上原プロゴルフスクール/ミズノゴルフスクール】

TEL 0120-084-562

http://www.mizuno.co.jp/golfschool/


2013年7月24日 18:50

『プロからプロへ、レッスンリレー』とは?

優れたコーチの元を訪れ、教えを乞い、そして次のコーチを紹介していただきながら数珠繋ぎに続けていく企画。テーマは“メンタル”と“日頃の行い”です。


前回の講師・青木信次先生から「目黒にスゴイ先生がいる」との情報を得て、お邪魔しました【メグロゴルフクラブ】。

目黒川のほとりにある、打ちっぱなし練習場です。


こちらでレッスンをされている上原雅則先生は、地域のOLさんたちのあいだで有名な“ラウンドデビュー請負人”。

――というわけで、前回と少しだけ趣向を変え、“初めてのラウンド”という設定でゴルフライフに関するアドバイスをいただいてみようと思います。

「初ラウンドなんて4半世紀前だよ……」という方もいらっしゃると思いますが、ご自身の初ラウンドを思い起こしながら、どうかお楽しみください。

 

 

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上原雅則 Masanori Uehara

1963年4月5日/山梨県生まれ、東京育ち。

高校入学前に初ラウンドを体験し、3年生の全国高校選手権で好成績を残す。その後、専修大学ゴルフ部、川崎国際カントリー倶楽部(現在の川崎国際生田緑地ゴルフ場)研修生と進む。28歳のときにプロ転向。

今年50歳を迎え、シニアツアー選考会を勝ち抜き、現在ツアー参戦中である。

父親はプロゴルファーの上原節郎。親子2代で日本プロゴルフ協会会員名簿に名を連ねる。

 

 

●ラウンドデビューに向けて

――ゴルフを始めたいと思いました。まず、どうすればいいですか?

どこのスクールでも「無料体験レッスン」というものをやっています。そういったものを利用して、先生を見つけましょう。

体験レッスンは「お見合い」みたいなものです。直感の場ってこと。とくに初めてクラブに触れる人は、そのコーチが教え上手かどうかを見極めようと思うと難しいので、フィーリングが合うかどうかで判断するしかありません。楽しかったか、それとも楽しくなかったか。「絶対にイケメンのコーチがいい!」という人はそれもひとつの判断基準でしょう。

教える側のぼくとしても、体験レッスンをお見合いのように思ってのぞんでいます。だから、その人が生徒にならなかったときは、ひとりで反省会ですよ(笑)。「あのときのあれを、もっとほかの方法で説明すれば良かったのかなあ」……なんてね。

 

――スクールや先生に教わらず、ラウンドデビューまで持っていく方法もありますか? 

むしろ、近年の流れはこっちだと思うんだけど、「ゴルフ場行っちゃえばなんとかなるよ、とりあえず行っちゃえ」というノリでデビューする人が増えています。ぼくはそれもOKだと思う。みんなで楽しくゴルフできればいいんだから。

ただし1つだけお願いがあって、行く前にゴルフのマナーについての本を一冊読んでほしいと思います。ゴルフ場では8~9分ごとにカートが出発します。1組が遅いと、うしろ全部が渋滞するんです……。たとえそのホールを終わらせることができなくても、時間が来たら次のホールへ移動するなど、そういった気遣いができるだけの知識を頭に入れてから行きましょう。

 

――デビュー前に教わらないのが主流とは……、驚きです。 

でもね、ゴルフは難しいスポーツだから。何度かラウンドを経験したあとに、「やっぱりちゃんと教わろう」ってレッスンに来るケースも多いです。あんな恥はもうかきたくないっていうのと、ゴルフがおもしろくなったっていうのと、理由には2パターンあるかな。この時期(7月中旬)になると、そういう人がたくさんやって来ます。

 

――いよいよデビューの日が近づいてきました。直近、または前日の理想的な過ごし方を教えてください。 

コースの予習をすることをおすすめします。女性に多いのが、当日の朝になって「今日なんていうコースに行くの? それってナニ県?」といっているタイプです。ヨーロッパなんかに旅行するときは熱心にガイド本を読む女性たちが、どうしてゴルフだとこうなのかなあ(笑)。

今は、どこのゴルフ場もコースの概要をホームページで見ることができます。前もって目を通し、コースを知っておきましょう。行きの車の中で「今日のゴルフ場って×番が名物ホールらしいよ」という会話ができると、実際そのホールにまわったときに「これが名物ホールか!」と盛り上がって楽しいですよ。

コースの予習は、プロゴルファーがやることと本質的におなじです。ぼくらも試合のときは、前日から現地に入って試合のコースをまわってみます。だから、絶対に意義のあることです。

 

 

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ンタビューは深夜に行われました。まるで川に向かって打つようなつくりの練習場。神秘的……

 

 

●初ラウンド当日

――朝の練習時、やっておくことを教えてください。 

まず、アミノ酸を摂取しましょう。筋肉に乳酸が溜まりにくくなり、翌日の筋肉痛が緩和されます。

それから、ストレッチです。第1回の青木先生のいうことは、まったくもって正しい。球を打つより、ストレッチをしましょう。人間の体はゴムみたいなもので、硬くなっているととにかくダメなんです。伸び縮みせず、プチンと切れるゴムなんて嫌でしょう? 肉離れするってことだからね。

ただし、球数は打たないといっても、パットの練習はしておきましょう。これも青木先生がすごくいいことをいってくれていますが、コースによって芝の“速さ”は違います。スタート前に経験しておきましょう。

 

――プロゴルファーがストレッチを重視することはわかりました。でも、スポーツを本格的にやったことがなければ、ストレッチっていまいちどうしていいのか……。 

ゴルフの場合は手首のストレッチが重要です。手を前に出し、手のひらを上に向け、反対の手でその指を下方向へ下げる……(※一緒にやらされる記者)。違う。だめ。今、どこが伸びてるか、自分自身でわかってないよね? どこが伸びているかを感じながら10秒止める、それがストレッチです。

ぼくのスクールでは最初の数分、みんなでストレッチをやります。ゴルフクラブを使ったりして、楽しくね。打ちっぱなし練習場でのストレッチは上半身を中心に行いますが、コースでは走ったり坂を下ったりする動作にも備えないといけないので、下半身のストレッチも行いましょう。


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教えていただいた手首のストレッチを再現してみました。(撮影/GALAPA事業部長)

 

 

――朝一番のティーショットのとき、緊張しない方法を教えてください。 

朝はギャラリーが多かったりするけど、決していいところを見せようとしないこと。普段とおなじ程度のことができれば上々です。

 

――バンカーや池が見えると、わざとのように入れてしまいます。なぜですか? 

失敗のイメージを作ってしまっているからです。これを克服するには、練習という裏づけが必要です。ゴルフが上手くなってくると、「普段の練習の中で失敗してないから、失敗するわけない」と思えることが増えてきます。「あんな右に打つわけがない」というふうに思えたら、その失敗のイメージは消えるでしょう。

 

――失敗のあとの一打が成功する方法を教えてください。 

打ち直しの場合は、ティーアップする位置を変えましょう。ティーを挿す位置が、3~4メートル変われば景色が変わります。失敗した景色を睨みつけて、今度は上手くやってやろうとリベンジを試みるまじめな人は多いですが、こういうちょっとした知恵でスコアが上がるのなら、取り入れましょうよ。

 

――上手な人、偉い人とまわると打ち急いでしまいます。仕方のないことですか? 

わかっていただきたいのは、偉い人や上手な人だからって、迷惑をかけてないわけではないということです。上手な人でもミスショットをしたときに舌打ちをしたりして、雰囲気を悪くする人はいます。

だから卑屈になる必要はありません。大事なのは、見栄を張らないことです。プレー前にきちんと「初ラウンドなのでご迷惑をおかけすると思いますが、頑張りますのでよろしくお願いします」とご挨拶しましょう。そして言葉どおり頑張っていれば、誰も責めたりしません。クラブを何本も持って必死で走っている姿を見ていれば、みんな次第に応援したくなる、そういうものです。

 

――プレッシャーのかかるホールなど、ピンチのときに心がけることを教えてください。 

空を見るんだ。

 

――え? 

ゴルフは基本的に下を向いて行うスポーツです。ずっと足元にあるボールを打って進めていくし、移動中も傾斜がきつくて地面から目を離せないでしょう? せっかく自然の中にいるのに、今日一度も空を見上げていないということもありうる。

だからさ、ピンチのときこそ胸を張って、空を見るんだ。空の広さにくらべたら、今感じているプレッシャーのなんて、なんてことはない。

一応、科学的な根拠も話しておきましょう。空を見上げると、肩甲骨が開きます。新鮮な空気も入ってくるし、なにより次、胸を張った状態のまま構えることができます。ピンチのときは大概、構えが萎縮してしまっているものなので、ぜひ試してみてください。

 

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「空を見るんだ」と、上原先生。シニアツアー出場は伊達じゃない。

 

 

――ありがとうございました。ここで、上原先生の手元に、なぜか契約される「MIZUNO」のカタログが……。「宣伝になっちゃうけど、いいのがあるんだよ」とのこと。

【後編】は、ゴルフ用品の進化についてなどもお話しいただきたいと思います。靴が痛い人は必見です! 

 

 【後編】の更新は729日(月)になります。

 

 

取材協力:メグロゴルフクラブ

http://www.golf.fuji-group.jp/

 

※上原雅則先生のレッスンに関しては、下記にお問い合わせください。メグロゴルフクラブと宿河原ゴルフセンター(神奈川県川崎市)で行っています。

【上原プロゴルフスクール/ミズノゴルフスクール】

TEL 0120-084-562

http://www.mizuno.co.jp/golfschool/


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