皆様。先日お届けしたイマジナス/10月1日発行号は、ご活用いただいていますか?
私はイマジナス編集部の研究員Rです。はじめまして。
イマジナス編集会議では毎週、個々が持ち寄った情報を発表しますが、そのあと谷口正和が中心になり、最も気になった情報や、情報同士のつながりについて話し合います。
今回、10月1日号の編集会議で、まず「イイ話!」と複数人から挙げられたのは、作品集『スケッチトラベル』の事例でした。
同作は71人のアーティストがリレー形式で1冊のスケッチブックに絵を描き入れたもので、その売り上げは途上国に図書館を作る費用に充てられるそうです。
「うちでもこういったことができないか、すぐ検討して」
谷口はすかさず指示を出し、分析を続けました。
「今週は、この作品集のほかにも『一族伝統のオリンピック』とか、『靴磨き集団の復活劇』なんていう情報が出てきているけど、これは、何故そうなるに至ったかという“ストーリー”なんだよな。過程が重要なんだ。“プロセス・ストーリー”……いや、“プロセスの時代”と言い切ってしまおう」
次に参加者の興味が集中したのは、月刊誌『日経サイエンス』で組まれていた特集『無私は最高の戦略』でした。
コピーライターのAが、次のように述べました。
「私は“無私”という言葉が気になりますね。領土問題など解決の糸口が見えない事柄を抱えている今、改めて“無私”の思想について考えてみたいものです」
そして会議は佳境に入り、私にも発言の機会が与えられました。
「『バスの廃車に付き合うツアー』という事例が面白いです。廃車になるバスを上手く利用して人を集めていると思いました」
「――それは違う」
と、谷口が言いました。
「それは着眼点が違っている。この情報で重要なのは、廃車になるバスそのものじゃなくて、“エンディング”ということだ」
私はすべての情報を書き出したホワイトボードを見ました。確かに“エンディング”の文字があちこちに見られます。例えば、『葬式ガイド本の売れ行きが好調』という事例には“エンディングガイドブック”という言葉が付けられていました。
さらに谷口は言いました。
「見なさい。『ロンドン五輪の跡地はどうなるのか』という情報も出ているだろ? ロンドンは、オリンピックが終わったあとのことも考えて街づくりをしたからね」
解体して郊外へ移転できる施設……観客席部分を取り外して座席を減らせるスタジアム……。2020年の候補地・日本は特に学んでおく必要があるかもしれません。
「終末思想だな。高齢社会を迎えて、死に際とか、物事の“終わり”に注目が集まっている。今週一週間で集まった情報から読み取ることができるのは、そのことだろう。しかし、終焉を迎えることは生まれ直すことでもある」
――情報分析とは、掘り下げていくことです。
次回は10月8日発行号の編集会議をレポートいたします。(R)