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2013年4月 8日 16:01

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 構想のチカラ第三弾は、鍼之司京十全(はりのつかさみやこじゅうぜん)をピックアップ。代表取締役の吉良公威社長(写真右)は、臨床部長の新船敬洋氏(写真左)とともに谷口が提案している、ファミリィとコミュニティを組み合わせた、ファミニティという概念に、セルフメディケーションを加えた「メディニティ構想」を掲げて起業した28歳。イマジナス会員でもある若き起業家の描く、未来構想を聞いた。


―まずは、起業までの経緯をお聞かせください。

吉良 私たちは、京都にある明治国際医療大学の附属病院で鍼灸を交えた診療に携わってきました。そこでは、医師と協同で、科学的根拠に基づいた医療を患者さんたちに提供しています。大学病院は25年以上存続しているので、100万件は症例数があると思います。

実は、最先端の鍼灸を利用した治療は明治国際医療大学の他、東京大学や大阪大学の大学病院などでしか受けられませんでした。それでは、一般の方々にとっては敷居が高いと感じられ近寄りがたいのではないかと思い、現代医学的な最先端の鍼灸治療診療をもっと身近な存在になるよう事業展開していこうと、大学病院から独立して、医療系ベンチャーとして起業しました。

開院当初は、テストマーケティングとして、本院を置いている京都市中京区を拠点に訪問型の鍼灸療法を行っていました。その結果、手ごたえが感じられたので、代官山に分院を開院しました。

 

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治療を行う新船臨床部長。

―最先端の医療技術と東洋医学のコラボですね。しかし、一般的には肩こりや腰痛などの症状を緩和するもので、どうしても非科学的なものという認識は払拭しづらいと思います。

吉良 そうですね。確かに、東洋医学である鍼灸には、「気の流れ」や「血の巡り」といった考えの下、施術することを基本としているため、疑義をもたれる方も大勢いらっしゃいます。しかし、私たちが実践する鍼灸は、科学的根拠に基づいて現代医学的に施術を行っています。鍼も大学病院で使用していた使い捨ての鍼を使っているため、感染症の心配もありません。

当院の鍼灸師も、明治国際医療大学病院で、東京大学や大阪大学の大学病院などと共に臨床の現場で4000症例以上携わってきました。そこでは、鍼灸を駆使して、整形外科などの分野で治癒効果を高める施術を行っていました。

鍼灸医学の研究は多岐にわたります。整形外科はもちろん、内科、循環器科、消化器内科、泌尿器科などあらゆる分野で研究が行われています。

例えば、整形外科では、神経断絶の大怪我をしたときも、神経が回復するまでに半年の期間を要するところ、3ヶ月で自由に動かせるようになるなど現代医学との併用で回復機能を早めることができます。また泌尿器科であれば、前立腺がんの手術後、トイレが近くなり、遠くに出かけることすらできない状態になってしまう尿意切迫感という症状が表れたりしますが、鍼灸による治療では、それらの症状を緩和することができます。

―高齢化社会が進展する中、身近に最先端の整形外科、リハビリ医療が受診できるのは大きな可能性を秘めているように感じます。将来ビジョンに掲げているメディニティについてお聞かせください。

吉良 メディニティという発想は、谷口先生のファミニティ構想(ファミリィとコミュニティを組み合わせた造語)という言葉に、私たちが取り組む、東洋医学にある予防医学・未病という考え方を組み合わせて生まれた言葉です。

将来的には京十全が、セルフメディケーションをコンセプトにした健康の一大拠点にしたいと考えています。

その拠点は、セルフメディケーションのあらゆる機能を実現させたものにしたいと考えています。鍼灸師から健康に関する相談が気軽に受けられるような空間があったり、薬膳カフェやオーガニックレストラン、セミナールームや健康をテーマにした書籍を販売する書店が併設しているなどセルフメディケーションに関連するあらゆるサービスが受けられる場にしていきたいと考えています。

今はまだ、オフィスビルの一室で開院したばかりですが、健康に関する書籍の販売や漢方薬の販売、薬膳茶が提供できるように準備を進めていっています。

―メディニティの拠点づくりまでの道のりの中で、ビジネスプランを構想していらっしゃるかと思いますが、中期的なプランについてお伺いさせてください。

吉良 20代以降のデスクワーカーを中心に治療を実施していきたいと考えています。特に高度情報社会の今、仕事にパソコンやスマートフォン、タブレットなどの機器は不可欠となりました。そこから目の疲れによる肩こりや首の痛みが起こったりします。鍼灸を駆使して、それらの苦痛を和らげる治療を提供していければと考えています。

そこで、特にIT系の企業向けに福利厚生というB to Bのビジネスモデルを思い描いています。そこで薬膳茶や自分にできる、セルフメディケーションの指導なども行っていきたいと考えています。

まずは、こういった活動を広げていくことで、鍼灸による治療を身近に感じてもらえればと思っています。

―確かに現代社会における肩こりや目の疲れは慢性化しています。案外、サラリーマンが困っていることとなれば、鍼灸ですべて治療できるのかもしれません。

吉良 そうですね。鍼灸には偏見があるせいか、実際に目の疲れからくる肩の凝りなども改善できるというのになかなか皆さん、鍼灸による治療を取り入れてくださいません。

しかし、実は今、まだ研究機関において研究中なのですが、鍼灸は、うつ病対策にも期待が寄せられています。鍼灸の治療を行う際に、患者さんにリラックスしてもらうために、自律神経系に作用する治療を行います。

よく考えれば、自律神経系に働きかけることで緊張やストレスが緩和される上に、マンツーマンで行われる鍼灸治療では、患者さんと一緒にゆっくりと話しをしながら施術を行います。そこに着眼すると、患者さんがうつ病になってしまう前に、予防していただけるというわけです。

―これからのご活躍を期待しています。ありがとうございました。