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2013年6月24日 09:30

前編に引き続き、話題の作家エージェント「コルク」代表取締役、佐渡島庸平社長に訊く。

設立から9ヶ月。コルクが手がけるプロジェクトは、電子書籍や海外版権など未開拓の分野から、紙の豪華本までじつに幅広い。それらの実施において、佐渡島氏がもっとも信頼を置くマーケティングとは?

また、この先の事業構想を、佐渡島氏はどう考えているのだろう。

 

――作品を世の中に広めていくことにおいて、あいだにエージェントが入ったからこそ生まれた企画はありますか? 

たくさんありますが、ちょうど『ドラゴン桜』の著者である三田紀房さんの新作『インベスターZ』がスタートしたところです(6月13日~)。これは、講談社の『モーニング』とYahoo! JAPANで同時掲載していくという、まったく新しい試みになります。今の人たちはもう、漫画を電子書籍で読みたがっています。新しい時代の出版事業を考えるきっかけになるプロジェクトだと思いますね。

それから、安野モヨコさんの『バッファロー五人娘』の豪華本制作プロジェクトをクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で実施しました。賛同する読者から支援をいただくかたちです。本文オールカラー、装丁は一つひとつ手作り。この本が僕らの最初の仕事となりました。

 

――重点を置かれている海外進出の手ごたえはいがかですか? 

むちゃくちゃあります。特に、韓国と台湾は手ごたえを感じます。これまで先方は、日本の出版社に対して、韓国版ないし台湾版を出版させてくださいと頼むだけでしたから、「一緒にやりましょう」というスタンスをいたく喜んでもらえました。両国とも出版市場は日本に比べたら小さいですけど、これからです。

インドネシアでは『宇宙兄弟』のアニメをサンプル放送することになりました。韓国、台湾、東南アジア。このあたりが感覚的に日本と似ている国です。

本を出す以外の展開もいろいろと考えていて、現地での映像制作もそのひとつ。『宇宙兄弟』をアメリカの連続テレビドラマにしたいと思い、今、動いています。もちろん“海外ドラマ”になるわけなので、六太や日々人もアメリカ人にする可能性は多いにあります。

 

――読者が求める作品の変化など、マーケティングはどのように行っていますか? 

肌感覚です。というのは、僕自身も消費者だからです。自分の心という1つのサンプルを深く掘り下げることによって情報を得ているんですよ。“1つを深堀”が僕の基本です。

僕はビックデータには価値があると思っていて、それを参考にすることはありますが、限られた人数に行った調査の結果は必要としません。

本を買うときを例に、“1つを深堀”の具体的なステップをお話ししましょう。まず、「なぜこの本を手に取ったのか」と自問します。「売れているから手に取ってみた」と自答します。でも「売れていても手に取らない」という本だっていっぱいあるわけです。そうすると「売れているから手に取った」という理由がいいかげんなものだったことに気付きませんか? じゃあ、売れているものの中でも今回はどの宣伝が刺さったのか? 宣伝じゃなくて装丁が刺さったのか? と自問を連続することができます。このように、自分の肌で感じたものをどこまでも分析していくというマーケティングを行っています。

人間は誰でも一般的な存在です。最終的なアウトプットには個人差が出ますが、心の中で起きている動きは99%一緒だと僕は思うのです。

 

――近く、第1回コルク新人賞の発表が行われますね。トップクリエイターとだけ契約してきた御社が、新人賞を実施する理由を教えてください。 

新人作家を見つけて仕事をしたい、という強い想いがあるからです。ただ、エージェントの新人賞は難しいですね。雑誌の新人賞であれば、その雑誌に載せられるか載せられないかという基準になるけど、コルクの場合は僕らと一生やっていけるかどうかが選考の基準になります。

 

――最後に、今後の事業構想について教えてください。 

やはり、新人を増やしていきたいですね。必ずしも新人賞で出会うとはかぎりませんが、才能があり、僕との相性もよい作家と出会いたいです。

また、漫画家や小説家でなくても、コルクのサポートを必要とするクリエイターのサポートもしたいと思っています。まだ公表できませんが、クリエイティブなIT技術者もサポートしていくため、今準備をしています。

作家ではないクリエイターをサポートすることも今後、僕らコルクの仕事になっていくでしょう。

 

――ありがとうございました。今後の動向にも注目させていただきます。

 

 sadojimasan-2.jpgのサムネール画像インタビュー中に、トラブルの連絡が。すぐに代案をひねり出した佐渡島氏。