今週のIMAGINAS分析会議では3月22日の東洋経済から以下の事例が報告された。
「スウェーデン生まれの音楽配信大手、スポティファイが日本に上陸する。スポティファイ日本法人のハネス・グレー代表は現時点では詳細を話せないというが、6月にはサービスを開始する模様」
スポティファイは無料の音楽配信サービスで、無料会員向けサービスの広告収入か、有料会員向けの会員料で収益を上げる。谷口は以下のようにコメント。
「無料音楽配信波及。色んな業態に無料や価格破壊の波が押し寄せているな。しかも世界的な規模で」
今日の日本の音楽相場の市場規模やビジネスモデルを決定しているのは、音楽ファンの規模もさることながら、大手音楽事務所や芸能事務所などの抱える社員規模によるものが大きい。
しかし、そこにiTuneなどの音楽配信ビジネスモデル、YouTubeなど無料で音楽が聴けてしまうサイトが登場して暗雲が立ち込めてきた。
ところが事例にあるスポティファイに脅かされているのは既存の音楽事務所だけではなく、iTuneなどの既存配信サービスも含まれている。
スポティファイは海賊版の撲滅を経営理念として掲げており、不法なファイル共有以上に優れたサービスの構築によって発足から5年程度で著しく海賊版を減少させたという。
しかし、アメリカのメタルバンド、メタリカはスポティファイへの楽曲の提供によって売り上げが35%も低下したという。
他にもビートルズ、AC/DC、キングクリムゾンなど代表的なロックバンドがスポティファイへの楽曲提供を拒んでいる。
悪貨は良貨を駆逐する。消費者にとって魅力的なサービスが必ずしも社会的にも善であるわけではない。
音楽という文化を守りたいと思うのならば、消費者は商品に「投資」をする感覚で購入しなければいけない。