今週のIMAGINAS分析会議では5月13日のYahoo!ニュースから以下の事例が報告された。
「飲食店を利用している女性300人にアンケートをとったところ、トイレ以外の利用では化粧直しがトップ、メール、ストッキング替え、着替え、考え事などが続く。トイレは用を足すだけの場所ではないことが解る」
以上の事例に、谷口はこうコメント。
「第三の空間だな。つまり家でも目的地でもないが、安らげる場所ということ。因みに、これはアメリカでは無理な話。向こうのトイレは犯罪を防ぐ為に膝から下が個室でも開いているんだよ」
トイレが個室として保たれているのは排泄行為が恥ずかしいことで隠すべきものだから。
個室トイレの「隠す」という機能を利用している人が多いということ。
翻って、アメリカでは「排泄行為を隠す」ということよりも「犯罪を隠さない・防ぐ」という大儀のほうが優先されている。
当然、隠れているからこそできる着替えなどの諸行為はやりづらいものになり、トイレは「第三の空間」にはなりえない。
トイレの排泄する場所という機能を様々に拡張させる日本と、
最低限の隠蔽性しか設置しないアメリカ。
この本来の目的以外の機能を付け足したがるのは、空気清浄機付きテレビなどに代表されるような日本人の多機能性への憧れだろうか。
とは言え、もう少し考えると、今回のトイレの事例は日本お得意の多機能家電というよりは、スマートフォンに近いように思える。
その違いは、多機能家電は本来の用途(例えばテレビなら視聴)が薄まることはないが、スマートフォンは電話という本来の用途がかなり薄まっている点だ。
既にスマートフォントつながる事で浄水や便座の開閉ができるスマートトイレというものがあるが、むしろこれから進化していくであろう公共空間のトイレにこそスマートトイレの称号をあげたいものだ。