今週のIMAGINAS分析会議では以下の事例が日経ビジネス5/19号から紹介された。
「米アップルが、5月2日に開始した音楽のクラウドサービスiTune MatchはiTune内の音楽を全てクラウドに預けられる。
手元の音楽がiTuneで販売されている場合は、最新の高音質な販売データの利用権を与える。
つまり、違法ダウンロードなどで不正に入手した低音質な音楽であっても、正規の音楽データを利用できてしまう。しかし、iTune Matchはあくまでも有料サービス。完全にタダの違法ダウンロードよりはマシと、音楽関係者にしてみれば背に腹は変えられない状況にもなっている」
「ローコスト・ダウンロード。背に腹は変えられないか。音楽などのデータコンテンツは新しい技術が出てくるたびにその余波をすぐに受けてしまうな」
音楽ソフトや違法ダウンロードに関する論争。
「音楽はもっと解放した方がいい」とする意見と、「しかるべきお金が音楽には払われるべき」という意見がぶつかりあう。
解放派は、音楽は芸術である音楽がお金目的に作られてはいけないという“金銭排除派”(インディーズ・アーティストが多い)と、最初にタダで聞いてもらって間口を広げたほうが、結果的にグッズやイベントの効果も上がってアーティストにとってもいい結果をもたらすという“マーケティング派”に分かれる。(谷口はここに含まれる)
逆に、「音楽にお金は払われるべき」という派閥は、JASRAQのように強固な姿勢をとるか、appleが示すような柔和な策に軟着陸するかの差はあれど、基本的に音楽=有料という考えのもとでまとまっている。多くの音楽関係者や音楽ファンはここに属している。
アーティストや音楽業界などは後者に属するが、大なり小なり音楽業界には「一攫千金」という夢があった。
違法ダウンロードの発達によってその夢が薄れていけば、今後コンテンツを作ろうと思う人間の分母も減っていく。Appleが今回示した案は音楽業界にとっては「タダで聞かれるよりはまだマシ」という妥協案。
音楽業界にともる次の夢はどんなものだろうか、そしてそれはいつになるのだろうか。