今週のIMAGINAS分析会議では以下の事例が週刊東洋経済6月28日号から報告された。
「日本市場の売買代金6割を占める外国人投資家は日本株浮沈の鍵を握る最大勢力だ。安倍首相もこれを就任以来意識してきた。
彼らは成長戦略の具体的な中身が見えないことに痺れを切らし、1~3月に日本株を売ったと見られる。しかし、依然として日本株への海外からの注目度は高い。
理由は、どこの地域も構造上問題だらけで、今の日本の株価水準は比較的低いので「弱さ比べ」で日本株に金が入る余地があること。海外ヘッジファンドや年金機構は虎視眈々と日本への投資のタイミングを狙っている。」
谷口は以下のようにコメント。
「日本株「弱さ比べ」。今の世界マネーは着地点を探しているが、なかなか着陸できずに空港の周りを周回している飛行機のようだな」
事例にもあるように、日本株式市場の売買代金6割は欧米やアジアからの海外投資家が担っている。
結果的に、日本株式市場は他国の市場と比べて恐ろしく脆弱な構造になってしまった。
具体的に例を挙げるならば、昨年の5月23日に起こった日経平均の1200円もの大暴落である。その原因はFRBが米国の金融緩和を引き締めるという示唆を受けてのものだが、要するに日本の金融政策には直接は影響しないにも関わらず、日本は歴史的な大暴落を蒙ったのだ。
他国の市場もこの発言を受けて揺れたが、ここまでの大暴落に見舞われたのは日本市場だけだ。
他にも、ニューヨークや中国の市場に異変が起これば、日本はその余波を真っ先に受け、立ち直りは当事国よりも遅いという体たらく。
この現象も日本市場を主に売買している外国人投資家が自国のニュースのみを受け、日本企業の具体的な業績などはあまり精査せずに日本株を売買しているからだという見方が強い。
まるで日本市場は1人では立ち上がることも出来ない幼児のような有様だ。
これというのも日本に個人投資家が少ないからだが、その原因はバブル崩壊、ライブドアショック、リーマンショックなどによって痛手を蒙った個人のトラウマがまだ消えていないことと、それにともなって「株は怖い」という認識が蔓延してしまっていることだろうか。
NISAなどで個人の資金を投資に振り分けようという動きが活発になりマスコミも少しはそれに貢献しようとしたのかもしれないが、「株は怖い」という認識はそう簡単にはぬぐえない。
だがいい加減に日本も個人投資家の文化が育たなければ、このままいつまで経っても外国人のオモチャにされるがままだ。
結果的に、政府は外国人のご機嫌を伺うような政策ばかりを実施するようになり、労働者の環境などは省みようとしない。
アメリカや中国の機嫌をとるばかりの政府を正すためにも、個人投資家の奮起が求められているのだ。