11月1日よりティム・バートン監督の展示が森美術館で行われます。
IMAGINAS分析会議では美術手帖11月号から以下の記事が報告されました。
「ティム・バートンの映画に於いて頻繁に登場する郊外という舞台。
ホラー映画を作るにあたって、彼はフランケンシュタイン、エドガー・アラン・ポオ的なものと郊外のつながりを見出した。
『シザーハンズ』では、セールスのために城に訪れたエイボンレディがハサミの手を持つエドワードに同情し、郊外につれて帰る。ゴシック風の城と、近代的な郊外が接続される。
刺激を求める郊外の住人は、エドワードの表装だけに注目し、新たなアトラクションのように消費する。そして彼が思い通りにならないと、コミュニティーの敵としてのレッテルを貼り排除していく。画一化された郊外に潜む欲望や群集心理が浮き彫りになる」
谷口は
「郊外とゴシックの接続。ホラー映画でも現代的なモチーフは多いよな」
とコメント。
衛生観念が急速に発展した昨今、花粉症などのアレルギーを持つ人が急増しています。
ティム・バートンの世界では現代的な住宅街が並ぶ郊外という場所に怪異が出現します。
それは合理性を追求した結果によるアレルギーのようにも見えます。
また、アレルギーは清潔になりすぎた生活の中でお仕事の無くなってしまった抗体の過剰反応、または“暇つぶし”であるとも言えます。
その証拠に、わざとギョウチュウや寄生虫を体内で飼うことでアレルギー反応を抑えるという対処法があります。手持ち無沙汰な抗体にお仕事を与えてやるわけですね。
シザーハンズという、「外部のもの」を嬉々として攻撃しようとする群集は過剰反応する抗体のようです。
Twitterでの過剰な炎上事件や中韓へのヘイトスピーチに熱狂する人々も、シザーハンズに出てくる清潔で便利だけど刺激の無い生活に飽き飽きしている群衆と似ています。
ところで『ティム・バートンの世界展』が行われるのは六本木ですが、これも非常に清潔でおしゃれで便利かつ合理的な街。なんだかいろんな意味でふさわしい場所のようですね。