今週のIMAGINASでは以下の事例が『音楽の友』6月号から報告されました。
「旧ソ連の作曲家ヴァインベルクの再評価が著しい。毎月のように世界中でCDが発売され、アルゲリッチ、クレーメル、アヴデーエワなど著名な演奏家がレパートリーにとりいれたり録音が相次ぐ。
1939年にナチスがポーランドへ侵攻、第二次世界大戦で親族全てを殺される。たまたまベラルーシに居た為に一命を取り留めたが、スターリンの反ユダヤ政策によって53年、死刑を宣告される。54年にスターリンの急死で九死に一生を得る。亡くなる前は寝たきりで暮らしぶりはとても質素だった。今日の興隆は知らず、作曲している交響曲のスケッチを記者に見せながら「私の曲は演奏されなくなった」と寂しげに呟いた。」
谷口は「歴史の証人再発見。死後評価されるアーティストは、生まれるのが早すぎたということなのかな」とコメント。
かの楽聖、バッハもその死後70年ほどはその存在は一部の音楽家達の間でのみ細々と受け継がれてきた存在でした。
ヴァインベルクの音楽には現代音楽の持つ実験性がありながら、耳になじみやすい旋律があります。
よく谷口は「足元にある財」という言葉で、本当は持っているのに活かしきれていないものに目を向けるよう促します。
ヴァインベルクの音楽は今まで人類にとって、足元にありながらそれに気づかれていない財だったのではないでしょうか。
おそらく、本当に素晴らしい作品を多く遺したにもかかわらず、たまたま生まれた時と場所が悪かった為に歴史に埋もれてしまった芸術家は沢山いると思います。
そういう人を見つけ、社会の財を再び取り戻すことも、ソーシャル・マーケティングの一環として捉えられないでしょうか。是非期待したいものです。