研究会ブログ

2014年01月24日 Fri. Jan. 24. 2014

2014年1月セミナー講演レポート/野﨑哲夫氏、野口弘子氏

文化経済研究会第69回セミナー。

株式会社鉄道会館 代表取締役社長 野﨑哲夫氏、

ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパ 総支配人 野口弘子氏

のお二人様を講師にお招きしたセミナーをレポートします。

まずは第一部。株式会社鉄道会館の野﨑哲夫氏

「“街”になる東京ステーションシティ構想」

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東京駅を核とした開発を承っている鉄道会館ですが、氏はその根幹にある精神を明かします。


「東京駅とその周辺にある風景の根幹を作ったのは100年以上前に立てられた構想です。丸ノ内を中心としたグランドデザインは、文明が開化して間もなかったころの日本人によって欧米列強を意識して作られました。東京駅に必要とされているのは100年後を予見する構想力です」


なかなか普段使っているだけでは気付きませんが、駅というものは数年単位で使い捨てる物ではない以上、そこに必要とされるのは100年先を想像しようとする意志なのですね。


「駅を中心として人の生活や人生が形作られていきます。これからの東京駅に必要とされているのは品格のある街作りです」


東京駅を預かっているのは東京を預かっているということ、それは日本という国のおもてなしを預かっているということを意味します。海外からの旅行者、訪問者に対するおもてなしをも引き受ける。

そこに必要なのは品格だという氏の言葉には、海外からの目線に対して日本人として恥じないような街作りをしなければならないという意志が感じられました。

そこには100年前に明治人達が目指しているものと同じ精神が根付いています。

 

第二部はハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパの野口弘子氏。

「日本初の女性総支配人が語る、ホテル経営のビジョンと戦略」

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ハイアットはホテルのオーナーではなく、土地やホテルをもったオーナーからホテルを預かって経営します。与えられたホテルという一定の制限の元でオーナーに利益を還元しなければならない。その戦略として野口氏は箱根の個性をつきつめました。


「箱根のブランディングを考えるとき、箱根の個性は何かということを考えました。

箱根にこられるお客様はビジネスに来られるのではありません。リラックスを求めてらっしゃいます。そこでかしこまったスーツを着た従業員が最敬礼で出迎えてお客様の気持ちが休まるでしょうか」


そこで、ハイアットの共通制服である従業員のスーツを却下し、袴のようなゆったりしたパンツを採用。また、ゲストが浴衣のまま廊下やラウンジでくつろぐ事を解禁に。これも従来のハイアットでは前例がなかったこと。

「家に帰ってきたときのようなリラックス」というコンセプトを徹底的に突き詰めた結果、新卒社員として採用する大学卒業前の学生とその家族を必ずお客様として迎え入れ、更にはご家族と野口総支配人とのホットラインも設けるそうです。


今後ハイアットが仕事場となる新卒社員にとってハイアットでもてなされるのはそれが最後のチャンスであり、ハイアット箱根が如何に楽しい場所であるかを知ってもらい、家族ぐるみの共感を高める。

また、家族の子供を預かるという意思はホットラインを設けることで伝わり、ハイアットと新卒社員との精神的な距離は近づく。それがハイアットをお客様の帰ってくる「家」のようにゆったりとした空間にすることに一役買っているのですね。


今回の文化経済研究会のテーマは「ウェルカムプログラム」。

鉄道会館は海外からの訪問者はもちろん、東京で生活する人々全員に対するもてなしの心を、

ハイアット箱根はお客様に対する「おかえりなさい」という家族を慈しむような心を、

それぞれ持って日々の仕事にあたっています。


その境地に至るには、100年後の未来を考える構想力や、自らの個性は何なのかを徹底的に問い詰めるマーケティングの基本に還った思索が求められます。

出席した方々の事業にとってその姿は確かなモデルとなったことと思います。

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