研究会ブログ

2014年07月 4日 Fri. Jul. 04. 2014

立花隆さんの講演~電子書籍の未来について~

7月2日、ビッグサイトで行われた東京国際ブックフェアに行ってきましたのでその様子をレポートします。

 

初日の10:30から、ジャーナリストの立花隆さんが基調講演が開かれました。。

テーマは「出版の現在、過去、そして未来」

 

電子書籍・デジタルの本格活用で「本」のあり方が代わり、「知の世界」の形態も移り行く昨今。

立花氏は、今後10年で電子化は更に進むと言います。

その根拠は、全国の小学生が積極的にタブレットをその教育課程に取り入れ始めたこと。

 

我々は、(おそらくこのブログを読んでらっしゃるビジネスマン世代は)生まれたときから「本を読む」とは、いわゆる紙の本をめくる事でした。

しかし、もしかするとタブレットを当たり前に使用している世代が多数派となるであろう50年後の日本では、「本」というのはタブレット上に表示されるものであり、

「本を買う」とは電子情報の閲覧権を手に入れること、という風に概念の転換が起きているのかもしれません。

 

かつて、キリスト教文化圏で「本」といえば「写本」、つまり手作業によって一字一字書き写されたものを指していました。

活版印刷が西洋史に登場して400年余りたった我々にとって、それは随分と面倒な作業に思えます。

 

しかし、電子書籍が浸透した未来では、

「昔は本といえばわざわざ紙に印刷されたものを手元に置いて読まなければならない面倒なものだったらしい」

という認識に代わっているかもしれません。

 

立花氏の講演を聞き終えてから様々なブースを巡りました。

 

展示ブースは大分すると

 

①    出版社などが出展する書籍の紹介エリア

②    デバイスメーカーが提供する電子書籍タブレットやデータ共有サービスのエリア

③    作家、イラストレーター、写真家などが出展するクリエイターエリア

④    キャラクターライセンスのエリア

 

①    と②は同じ階の隣同士のエリアですが、様々なジャンルの書籍が陳列されている①の

エリアは、正に「ブックフェア」という言葉に相応しく、人文学、自然科学、政治経済諸科学、新書、児童書や洋書に至るまでそれぞれの出版社の色を強く打ち出そうとしています。

 

となり合う②のエリア、つまりタブレットを元とするハードウェアのエリアは前者とは打って変わって近未来的な風景を見ているようでした。

両方のエリアにはほぼ同じ程度のスペースが割かれていましたが、タブレットはともかくとしてクラウドデータサービスなどを見ると、ブックフェアのあり方もかなり変わってきたと感じます。

 

電子書籍がどの程度根付くのかはまだ全く未知数です。そのシェアが紙の本に比べて世界的に高いアメリカでさえ3割程度に留まっており、いまのところその辺りの数字で定着しているといいます。

 

立花氏は講演の中で、電子書籍に対する本の優位性を示す為に「Cultivate(耕す)」というキーワードを用いていました。

「紙の本をめくりながら文字を読む」のと「タブレット上の文字を読む」のは、前者が我々の脳・知を「Cultivate」するそう。それが紙の本の優位性。

 

長らく紙の本に親しんできた我々としてはそちらの優位性を信じたいところです。今回のブックフェアでも、電子書籍エリアはにぎわっていたものの、そこまでごった返していたわけではありませんでした。

 

しかし、いわゆるパラダイムシフトというのは急激には起こらないもの。

タブレットに慣れ親しんでいくであろう次世代の子どもたちが老人になった頃には、紙の本はどのような地位を占めているのでしょうか。

 

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