このシリーズでは、クリエイターの方に
“インテリアにしている本”を紹介してもらい、
インテリアにおけるアート&デザインとは...に
迫ってみようとおもいます。
第1回目のクリエイターは粟辻美早さん
株式会社粟辻デザインを立ち上げ、グラフィック・パッケージ・エディトリアル・プロダクトのデザイナーとして幅広く活躍中。お忙しい中、事務所にお邪魔してお話を伺いました。
ー早速ですが、インテリアにしている本を紹介してもらえますか。
エル・リシツキーの画集です。出会いはアメリカなんですが、導かれたようにも感じてるんです。学生時代からロドチェンコやエル・リシツキーなどロシア構成主義のデザインに震えがくるくらい興味があったんです。憧れというか原点というか...。
グラフィックデザイナーの八木保さんがアートディレクションした「エスプリ・グラフィックルック」というSHOE BOXがあるんですけど、そのグラフィックデザインが大好きで、多摩美時代いつも持ち歩いていたんです。その当時、アートディレクションを手がけたのが日本人とは知らなかったんですけど...。その事をアメリカ留学時に知り、知り合いを辿って卒業と同時にサンフランシスコの「Tamotsu Yagi Design」に就職したんです。そして、その事務所に飾られていたのがエル・リシツキーの版画。やはり通じるものがあったんですかねぇ。
ーその画集はいつもどこに置いているんですか。
自宅と事務所に1冊ずつあって、飾るというよりも何時も傍に置いている感じです。今日お見せした画集はアメリカで購入して、汚れないように表紙に自分でトレーシングペーパーを巻きました。デザインで行き詰まった時は原点に戻るつもりでページをめくります。
ー今の仕事にも影響を与え続けているんですね。
仕事にはもちろんですが、プライベート作品にもはっきりでています。今年8月に JAGDA TOKYO主催・JAGDA会員2人1組の「1週間展覧会」に参加して出品した作品にも影響していると思います。
SAMより
お話をうかがいながら感じたのは、紹介していただいた本が、ただ見た目のインテリアに留まらず、人生において深く影響し続けていること。志すデザインスピリットの原点、そしてその本との出会いのプロセス。だからこそ、粟辻さんの心のミュージアムにコレクションされているその本は、傍に置いても、飾っても、心地よく輝きつづけているんですね。お忙しい中楽しいお話、ありがとうございました。
(kagawa)
粟辻美早(あわつじ みさ)
1965年 東京生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、
CRANBROOK ACADEMY OF ARTデザイン科修士号取得。
TAMOTSU YAGI DESIGN(サンフランシスコ)を経て、
1995年 株式会社粟辻デザイン設立。
現在はパッケージ、エディトリアルなどの
グラフィックデザインを中心にサイン、空間計画まで
幅広いデザインをてがけている。
JAGDA会員、日本タイポグラフィー協会会員、
女子美術大学非常勤講師。