株式会社ワコールアートセンターが経営するスパイラルは、
2010年10月に25周年を迎えるそうです。
そこへ向けてのキャンペーンが今年9月より始まっていて、
この25周年キャンペーンのロゴを含むVIを手がけたのが
Thonik(トーニック)。
12月15日、日本初となる「トーニック」の展覧会が
スパイラルガーデン 1Fで始まり、
そのオープニングレセプションに行ってきました。
「トーニック」のグラフィックツールと日本オランダ年のDM
スパイラルガーデン奥の会場にはコンセプトフラッグ
「縁」 「宴」 「園」 「煙」 「猿」 ・・・
通常、カフェとして営業している場所を展示に使い、
奥の展示会場をカフェスペースにするという
大胆な発想で演出されていて、
テーブルや食器はトーニックデザインのものが使用されていました。
なじみのあるスパイラルループの下はカフェ。
見上げるとVIコンセプトの"en"を様々な「えん(漢字)」で仕上げた
フラッグが優雅に揺れています。
"en"はオランダ語で"~と(and)"の意味らしく、
日本語の「縁」という言葉から発想し、
「えん」の発音を発展させたクリエーションを展開しています。
カフェ床面をギャラリーに 巨大カーペットの展示
カフェ横の展示通路に飾られた巨大カーペット
こちらも巨大カーペット作品
気鋭と品格
トーニック」のデザインはコンセプチュアルでインパクトがあります。
新鮮な着眼でのロジカルなアイデア。
計算された構造の中から導きだされた
シンプルで力強いグラフィックが会場全体を包み込み、
躍動感と鮮やかな色彩に満ち溢れています。
アムステルダムミュージアムナイトのためのポスター
作品展示風景
縁のスパイラル・・・
デザインスタジオ「トーニック」は
Thomas(トーマス)とNikki(ニッキー)の二人が
1993年アムステルダムに開設したスタジオのこと。
「トーニック」を私が初めて知ったのは今年の8月。
知人でジャーナリストの川上典李子さんが寄稿されている
FIGAROのコラム「デザイン・ジャーナル」でした。
そこではトーマスとニッキーと子供たちが送る
サマーバケーションのお話と、
スパイラルとの取組みが紹介されており、
とても興味をもって読ませてもらっていました。
thonik(トーニック)のトーマス(中央)とニッキー(左)
ジャーナリストの川上典李子さん(左)とニッキー(右)
ニッキーとその子どもたち
このオープニングの日は、川上さんがナビゲーターを努められた
アーティストトークも開催され、
その後のレセプションで
トーマスとニッキーをご紹介いただきました。
お子様二人も一緒に来日されていて、
川上さんのコラムで拝見した写真通りの素敵なファミリー。
裸足で会場内を走り回って元気いっぱいの
かわいらしい下のお嬢さんと、
その様子をやさしく見守るかっこいいお兄ちゃん。
トーマスは、秘められた信念を感じる眼力で、
最初少し腰が引けてしまいましたが、
お話ししているうちに、初めて会ったとは思えないくらい
気さくで優しく、品位ある人柄。
ニッキーとも楽しくお話させていただき、
これも「縁のスパイラル・・・」かなと。
thonik en(美術出版社)
会期は12月29日(火)まで。
スパイラルの25周年を見事に未来へつなげているように感じました。
オランダを代表するデザインスタジオ「トーニック」のエネルギーを
ぜひ体感してみてください。
(kagawa)
1993 年にThomasとNikkiによって設立された、グラフィックデザインを用いたヴィジュアル・コミュニケーションを得意とするオランダを代表するデザインスタジオ。意味を最小限に抑えたクリアなコンセプトを、クリーンでヴィヴィットな色の組み合わせと、力強いデザインを伝えるのがトーニックのスタイルである。メディアの間を行き来する冒険的なコミュニケーションのアプローチや、PRキャンペーンを発展させた手法で、カルチャーシーンのみならず、政治的、社会的、様々なフィールドで活躍している。VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を手掛けた主な仕事に、ユトレヒト美術館、ヴァン・ゴッホ美術館、アムステルダム市、オランダ社会党(SP)、ヴェネチア・ビエンナーレ建築展などがある。
川上典李子 ジャーナリスト、エディター
Noriko Kawakami journalist、editor
デザイン誌『AXIS』編集部を経て、94年独立。ドムスデザインアカデミーリサーチセンターの日伊プロジェクトへの参加(1994-1996年)を始め、デザインリサーチにも関わる。
現在は、「21_21 DESIGN SIGHT」のアソシエイトディレクターとしても活動。主な著書に『資生堂パーラー』(2002年 求龍堂)、『Realising Design』(2004年 TOTO出版)。デザイナーの作品集の解説執筆に『TSUTOMU KUROKAWA 黒川勉のデザイン』(2006年 TOTO出版、ADP(英語版))、など。『Gabriele Pezzini ----The Warrior Designer』(2006年、Logos)、『ひびのこづえの品品』(2007年 グラフィック社)、『Thonik Exhibition "en"』(2009年、美術出版社)ほか作品集への寄稿多数。