ちょっと時間が経ってしまいましたが
先々週の金曜日、私たちSAMメンバーは雨の中、吉祥寺へ。
弊社でもちょこちょこと
お仕事をご一緒させていただいている
写真家のかくたみほさんに会いに行きました。
場所は、OLD / NEW SELECT BOOKSHOP「百年」
という古本屋さん。
ここで、『フルカワヒデオスピークス!』presents
かくたみほ写真展「ツーショット」が開催されていたんです。
クラシカルな木の扉を開けると、
20畳ほど(?)のこぢんまりとしたスペース。
そこに所せましと並ぶ、本。
塗装に味が出たアイボリーの壁に、
額に収まることなく無防備な姿で、かくたさんの写真作品は
壁に貼られていました。
作家・古川日出男の初対談集『フルカワヒデオスピークス!』の刊行を記念して、
対談の写真を撮影した、かくたみほの写真展を開催します。
単行本には掲載されなかった、
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、
iLL(中村弘二)、坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)ら、
7人の表現者たちとの未発表オフショットに、
古川日出男が直筆のテキストをつけたコラボレーションによる展示です。
(写真展解説より)
この日は、写真展を記念して、トークイベント
「スリーショット~本で表現する、本を表現する~」
が開かれました。
メンバーは、
かくたさん、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さん、
本のサロン「サウダージ・ブックス」を運営する淺野卓夫さん
の3名。
彼らのお話に、
小さな空間の30~40名ほどが、
皆で肩を寄せ合う格好で、
静かに耳を傾けます。
小さな古本屋、古い紙とインクの匂い、
無防備なかくたさんの写真、
そこにぶっきらぼうに書かれる文字、
あと、あっさりと飾られている和田誠のイラスト、とか。
吉祥寺っぽい。
本を、作ったり、考えたり、遊んだり、
いろいろな本と出会ったり、
その出会いを作ったりしている彼らの
ちょっと哲学な、お話は、
人をなんとなく酔っ払いにさせる効果がありました。
印象的な一節は、
デジタルで残されていく表現物の是非。
かくたさんは、
デジタル写真は愛せない、と。
写真特有の「切り取られる瞬間」は、
デジタルでは残せない、と。
一方、
内沼さん曰く
文字の表現物なら「逆に残る」。
うーん・・・、皆さんはどう思いますか?
あと、淺野さんのお話で面白かったのは、
ブラジル日系移民の話。
日系移民の中でも、文明と距離のある暮らしをしている人たちがいて、
淺野さんは彼らと一定期間、一緒に過ごしたらしいのです。
テレビもラジオもなく、昼間は農作業の生活の中で、
ひと家族に一冊の本があるだけ。先祖が日本から持ってきた一冊を
大切に受け継いで、日々ページを少し捲るのだとか。
その話を聞いて私が少し酩酊状態になっているうちに
淺野さんの話は展開していて
レイ・ブラッドベリのSF小説「華氏451度」のあらすじを語り始める。
それが、また引き込まれた。
本って、そもそも何なのだろう、
えーと、何だっけ?? と、なってしまう
そんな時間でした。
かくたさんの初写真集「あふるる」発売中です。
題字を、一冊ずつ直接手書きしているというから、驚きです。
本人曰く、「せっかく自費出版で作ったのだから、
既製品にはない感触を出したかった」。
(endo)