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谷口正和 プロフィール

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2008年7月31日

オンリーワンの贈り物


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緒方知行氏からユニークなお中元をいただいた。

緒方氏はオフィス2020新社が

発行する月刊誌「2020 VALUE CREATOR」誌の主幹であり、

私の永きに渡っての友人だ。

 

同氏はご存じの通り、商業、流通分野のジャーナリストとして、

セブン―イレブン創業以来30年にわたって、

リーダー鈴木敏文氏の取材を続けていることで有名である。

 


いただいたのは焼酎のボトルに

私の名前が入っている「豊の国 商人塾」というもので、

世界にひとつしかない「マイボトル」である。

オンリーワンは人の心を揺さぶる。

私という個人は世界にたったひとり、

個人と世界は、オンリーワンという絆で結ばれているのだ。

ギフトは脱・マスギフトである。

このマイボトル焼酎も、この試みのひとつだろう。

緒方氏に感謝申し上げる。

2008年7月29日

食と人生

 

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「ロアジ」は奈良県・東吉野にあるイタリアン・レストランである。

ロアジとはイタリア語でオアシスの意味だそうだ。

まだスローフードも地産地消という言葉もなかった14年前から、

ロアジは吉野の手付かずの自然の中で、

その二つを実践してきた。

その意味では、現在のスローフード、ナチュラルフードの

草分けと言えるだろう。

 

ロアジはこの8月で閉店し、

オーナーシェフの永松信一さんは11月から阪急百貨店西宮店に

トラットリアを開店するそうである。

私はぎりぎりでロアジに間に合ったわけだ。

まさに自然そのものの東吉野の中で、

自然が生み出す味わいを食べることは、人間としての至福だった。

 

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1日3回、生まれたときから食べることが宿命付けられてきた人間にとって、

食は単なる習慣を超えているだろう。

それは生命そのものと根源的にリンクし、

人が生きることの幸福ともつながっている。

美味美食を超えたところに、食の本質があるだろう。

永松信一氏の今後の料理人人生に幸あれと祈る。

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2008年7月25日

創意について

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いづ重は八坂神社近くの鯖ずしの老舗である。

看板メニューの鯖姿ずしは、

真サバと薪で炊いたごはんの組み合わせだ。

京都は伝統的に保存食に優れた土地柄だが、

この鯖ずしなどもその典型だろう。

魚でも野菜でも、いかに保存できて、

しかもおいしいく食べられるかに知恵を傾ける。

 

環境とは面白いもので、何でもそろっているよりも、

かえって足りないほうが創意と工夫が出る。

映画などもそうだが、

デビュー作のほうが予算が少ない分だけ

知恵でカバーしようとするから、面白いものができるのだ。

スピルバーグの監督デビュー作「激突」などは、

予算の関係でわずか2週間で撮ったそうだ。

その代わり、ひとつのシーンを何台ものカメラで同時に撮って、

後で編集して見せたのである。

 

創意と工夫は足りないところから生まれる。

日本人の知恵の原点はここにあるだろう。

2008年7月22日

コンテンツの力

 

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お台場のビッグサイトで東京国際ブックフェアを見てきた。

本は私にとって知のリソースであり、感性への刺激である。

最近はアナログとデジタルの勢力関係のように

出版市場が語られることが多いが、

本は本来的にコンテンツがすべてであり、

後は伝え方の方法論に過ぎない。

デジタルかアナログかといったばかげた論議ではなく、

人類の知の歴史を支えてきた本というものそのものに

目を向けるべきときだろう。

技術が進化すると、人は本来の意味を忘れる。

どこまで行ってもコンテンツの力のみが、

人類の生産性そのものなのだ。

 

2008年7月14日

顧客起点のランニング

 

 

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すべての出発点は顧客にある。

この自明の理をきちんとやっているビジネスは、

はたしてどのくらいあるだろうか。

日本のビジネスの90%くらいは、

最初の掛け声だけで終わってしまっているのではないだろうか。

顧客の要請、指摘を聞き、それを分析し、次の施策に変えていく。

この単純な図式をまわしていくことが、意外と行われていないのである。

この図式をビジネスの中にシステムとして組み込み、

飽きずに回していくこと。

提供者論理に陥らない方法はこれしかないのである。

逆に言えば、システムとしての顧客ヒアリング装置を

ビジネスの中に組み込んでしまうしかないということだ。

 

どのようなスポーツでも、一番の基本は「走ること」だ。

ランニングをせずに、小手先の技術をマスターしても、

いずれ足腰に来て終わりである。

顧客の声を聞き続けるというきわめて単純で、

しかし飽きてしまいがちなランニングを続ける以外に、

ビジネスの成功はありえない。

顧客起点とはこのことなのだ。

 

2008年7月10日

知の引継ぎ作業

 

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私の誕生日は7月29日だが、

立命館大学院経営管理研究科の教え子たちが、

ちょっと早めのバースデーパーティを開いてくれた。

米倉将斗、岸保宏、田中健一、光山誠、津田美衣子の4氏1嬢である。

いずれもMBAであり私の去年の生徒だ。

今後の日本のビジネス界の新たな地平線を

切り開いていくだろう俊英である。

年に一度、七夕の日に会おうということで、

ネーミングは「彦星会」である。

ありがたいことである。

出会いがいかに人生の財産であるかを

つくづく感じる最近であるが、

それは世代を超えた知の引継ぎ作業でもある。

人生の基本は感謝にあることをまた知った。

 

2008年7月 7日

法則の法則

 


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世の中がいくつかの法則の上で動いているのは確かだろう。

その法則が分かれば未来も見通せる。

物理学の世界では、いつ日食が起きるかは、

ほほ永遠に見通している。

 

では私たちが生きている人間の世界、

情報の世界ではどうだろうか。

私たちが生きている世界は、

無数の情報の無限連鎖によって成り立っている。

あらゆる現象は無限の原因の束なのだ。

それでも法則を知ることによって未来を前もって知りたい、

あるいは行動の是非を判断したいと思うのは、

人間なら当然のことだ。

 

東急エージェンシーの後輩、一条真也君が書いた

『法則の法則』(三五館)はその意味で興味深い。

法則にもその上位概念としてのメタ法則があるだろうという発想は、

なかなかのものである。

ニュートンが発見した「万有引力の法則」を軸に

展開する一条君流法則論を楽しんで欲しい。

2008年7月 3日

プロフェッショナルの魂

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スポーツライターの宮崎俊哉君が

新著の『京子!』を送ってくれた。

「京子」とは、もちろん日本女子レスリング界の

「クィーン・オブ・レスリング」、浜口京子さんである。

いよいよ北京オリンピック、「いざ!北京」という

彼女の熱い魂を綴ったものだ。

 

すでに彼女は、世界で14年もトップランクで戦い続けている。

一時的にトップに立つのも大変だが、

それよりも大変なのは、そのトップランクを維持し続けることだろう。

それはメジャーリーガーのイチロー選手、

ベストセラー作家の五木寛之氏、

タレントのタモリさんなども見ても分かるはずだ。

つまり本当のプロフェッショナルは、

トップランクを維持する人のことなのである。

 

本当のプロがいかに自らを鍛え上げているか、

気力がいかに大事かを教えられる本だ。

宮崎君、これからも熱い魂を書き続けてください。


 

2008年7月 1日

パラダイム・シフト

 

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「時代の価値観転換」という意味で使われるこの「パラダイム・シフト」は、

すでに時代のスタンダード用語にまでなっている。

しかし今こそ、このパラダイムシフトの真っ只中だろう。

20世紀型の利益至上の資本主義は行き詰まり、

今次なる社会と市場のあり方が模索されいている。

人間の生命力の根源である「食」は、

単なる「美味しい」を超えて、健康との関連が大きく問われるようになった。

 

一言で言えば「表層から内実へ」の転換が進行しているのである。

いまっもっとも重要な姿勢は「何が問題か」をまず真摯に論議することだろう。

一回立ち止まって「考える」ということが今ほど重要なときもない。

 

先日電車の中での出来事だが、

子供が靴をはいたまま座席に乗っていたのを見た紳士が、

そのことを母親に注意したところ、

母親は「何かご迷惑をおかけしましたか」と切り返してきた。

問題は迷惑をかけたかどうかではない。

社会モラルをどう考えるかなのだ。

経済の成長よりも精神の成長が問われるべきだろう。

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