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谷口正和 プロフィール

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2008年8月26日

美は意識によって育つ

 

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エスモードジャポン代表の仁野覚氏が私のオフイスに来られ、

久しぶりに食事をしながら歓談した。

エスモードは、1841年ナポレオン三世の宮廷服飾師であった

アレクシス・ラヴィーニュによってパリに創設された、

世界で初めて誕生したファッションの専門教育機関である。

エスモードジャポンはその長い歴史を背負った日本校である。


 今世界的に都市の時代が到来しているが、

都市は何によって成り立つかというと、それはやはり文化である。

商業も産業も、その文化の副産物として成り立つのだといってもいい。

だから商業や産業を押し出しすぎた都市は、

早晩消えていく運命にある。

京都がなぜ1200年も生き延び、

パリが今でも世界最大の観光客を誇っているのかを見れば、

それはよく分かる。

いずれもその文化の求心力が世界を捉えて離さないからだ。


エスモードでは、意欲の高い生徒は、

始業時間の前に来ているという。

だから先生はその前の7時ごろ来る。

学ぶということは意識の問題であり、

意識だけが行動を決定付ける。

美は意識によって育つのだ。

 

パリも京都も、自然に作られてきたのではない。

それはある種、意識的に「美の中心」として位置付けられてきたからだ。

ただ自然に育ってきたものは自然に滅びる。

意識的に育てられたものだけが、

その自意識によって生き延びていくのである。

 

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2008年8月22日

太鼓の記憶

 

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私はこの10年ほど、アフリカのケニア、タンザニアの

国立自然公園に足を運んでいる。

人類はアフリカから生まれたといわれているが、

まさにそのような原始的生命力の根源みたいな力を

アフリカの地から感じる。

ウンゴロンゴロン、セレンゲティなどという名前を聞いただけで、

呪力を感じてしまうほどだ。

 

写真の太鼓はアフリカで購入したものだが、

1本の木から継ぎ目なく彫り起こされたものだ。

最も人間の生命力に近い楽器は、

たぶん世界中どこでも打楽器だろうが、

打楽器には日本の太鼓も含めて、

自然を鼓舞するようなリズムがある。

雲や雨を呼んで、世界を一変させてしまいそうな気配がある。

 

今は会社の私の部屋でじっと静まっているが、

嵐の夜などはもしかして鳴っているのかもしれない。

2008年8月21日

未来のこどもたちへ

 

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「未来のこども」という絵本集が幻冬舎より発刊された。

これは京都の華頂短期大学の「未来のこども 絵本大賞2007」の

入選作6作品をボックスに収めたもので、

書店で販売されている(1400円+税)。

募集テーマは「ありがとう」で、

最優秀賞は隅原菜恵(すみはらなえ)さんの「足約束(あしやくそく)」だった。

選考委員は今江祥智さん、椎名誠さん、

中井貴恵さん、どいかやさんにお願いし、

私がプロデューサーを務めさせていただいた。

 

華頂短期大学としても初めての試みだったが、

330作品ものご応募をいただいた。

最年少7歳、最年長67歳で、

世の中に創作へのエネルギーが溢れ出しているのを感じる。

 


絵本とは不思議なものである。

絵は世界の共通言語であり、

言葉のように障壁を持たない。

もし世界が十分なコミュニケーションを持とうとするなら、

絵、それも絵本が欠くことのできないメディアになるだろう。

未来の子供たちへのメッセージは「絵本」によって果たされるだろう。
 

 

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2008年8月18日

オリンピックと「生き方」

 

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日々北京で激戦が続いている。

金メダルを期待されながら取れなかった者、

期待されていなかったのにメダルを手にした者など、

世界の頂点での戦いは、やはり感動を呼ぶ。

子供のころからそのスポーツに打ち込み、選ばれ、

勝ち抜いて来た者同士が

さらに競いあって、ついには頂点に立つ。

それは彼らにとって「生き方」そのものになっているだろう。

 


どのような職業を選んでも、選んだのは職業ではない。

「生き方」である。

逆に言えば、職業を生き方にできない者は

勝てない時代が到来しているのだ。

条件を求めて職業を転々としていく時代は、

早晩終わりを告げるだろう。

オリンピックを見ながらの雑感である。

2008年8月14日

 


最近「学風」とか「校風」という言葉が出て来るようになった。

英語で言えばSCHOOL TRADITIONSであるが、

日本語の「風」とは微妙にニュアンスの差があるようだ。

日本語の「風」には社風とか家風と言ったように、

言葉では表しきれない暗黙知の全体性が込められている。

どこに吹くか、何に吹くかによって、風の色は異なるのである。


先日、私のクラスの生徒が、私の誕生祝をかねて、

大阪淀屋橋キャンパス近くの居酒屋で

卒業の記念とお祝いの会を開いてくれた。

ご覧の通り、全員社会人で、年齢の幅もかなりある。

それでも立命館の先生と生徒という関係においては一律だ。

そこには永遠の向学心がある。

何かを志すものにとって、学ぶことは一生なのだ。

全員、永遠の「楽徒」である。学ぶことは知識ではない。

知恵に結晶化しなければ、知識は逆に目を曇らせることもある。

私の取り組んでいる課題は、

一言で言えばぶれないビジョン、人材、組織をどう

作り上げていくかということだ。

革新する立命館の「学風」をみんなで作り上げたい。

 

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2008年8月13日

マリオットのデザインソース

 


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名古屋マリオットアソシアホテルに泊まる機会を得た。

私が注目したのはドアノブなどのデザインである。

デザインとは統一性の中に多様性を飲み込む姿だ。

普遍性の中に差異性を織り込むといってもいい。

つまり「ダイバーシティ」である。

 

マリオットのドアノブ、ランプ、スタンドは、

いずれもゴールドと白・黒のカラートーンで統一されている。

金ベースに白・黒のシンプル感が、

アッパークラスホテルのハイグレード感とは何かを

うまく表現している。

 

カラーとフォルムは、

デザインにとってもっとも大きな要素を占める。

デザインのコンセプトとその表現の重要さを痛感した。

 

 

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2008年8月11日

提案がディスプレイになった日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阪急メンズ館のディスプレイである。

箱庭のように見えるが、家庭菜園である。

ハーブガーデンである。

 

ナイスガイメイキングをコンセプトにしている同館では、

生活のあらゆる角度から、

ナイスガイのライフスタイルづくりを応援している。

このハーブガーデンは生きているエコガーデンであり、

それがそのままディスプレイになっていることがポイントだろう。

素敵だな、と思ったら、

そのまま生活の中に取り込める提案になっている。

グリーンファームインテリアとでもいうべき、

装飾ではなく、提言なのだ。

通常装飾というと、基本は人工的なものであり、

アートやファッショントレンドのの追求に終始していた。

生活とは切り離されていた。

阪急メンズ館のこのハーブガーデンインテリアは、

今後のディスプレイのひとつの方向を示している。

2008年8月 6日

世界目線構想力

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弊社より、「ライフデザインブックス」を刊行した。

第1弾は「世界目線構想力」である。

もはや世界視座から見ない限り、社会も市場も見えない。

世界市場、世界顧客の時代なのである。

 

 何が世界目線構想力なのか。

それは世界を体験した人々の目線、

洗練した目線によって生まれる。

一番重要な視点は、未来構想力である。

未来構想力とは、未来社会をどのようににらみ、

どのような視点から想像し、創造するかである。

それはイマジネーションとクリエーションのリンクと言えるだろう。

 

今回「世界目線構想力」=グローバル・イマジネーションを

コンセプトに認識の整理をさせていただいたのはそのせいである。

地球社会というものをどのように経営するかという

新しいフレームワークに、パラダイムシフト認識が今最も重要だ。

その主体者は、たった一人のわたしであり、たった一人のあなたである。

 

 

GLOBAL IMAGINATION 

『世界目線構想力』

谷口正和著

 

〈内容〉

第1章 世界顧客、世界市場

第2章 全体を「構想」し、「創造力」で解決する

第3章 動かざる市場から旅する市場へ

第4章 エコロジー・ライフデザインの創造

第5章 モチベーションと世界観

第6章 学びの市場、その人生化、世界化

第7章 楽習意識から生まれる生涯学習社会

第8章 ミュージアムコンセプト・モチベーション

第9章 ニュースがモチベーションをつくる

第10章 新しい空間価値、時間価値

第11章 伝え方によって価値が変わる

世界目線構想力Q&A

 

ライフデザインブックス

株式会社ジャパンライフデザインシステムズ刊

定価:本体2,000円(税別)

 

*本書の購入は下記アドレスまで直接お申し込みください。

https://www.jlds.co.jp/contact/moushikomi.html

2008年8月 4日

ピーク・エクスペリエンス

 

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マズローは、人々をまだ経験したことのない感動の世界にいざない、

物の見方や価値観さえ変えてしまう体験を

「ピーク・エクスペリエンス」と名づけた。

まさに今日のミュージアムが提供すべき価値である。

 


株式会社ベネッセコーポレーションの福武總一郎氏から

『CasaBRUTUS』100号記念号をお送りいただいた。

「日本の最新ミュージアムを追え!」という特集の中に、

瀬戸内海の島、犬島に新たにできたミュージアム、

犬島アートプロジェクト第1期「精錬所」が紹介されている。

犬島は1909年から1919年に精錬所として栄えた島で、

その後90年間放置されていたという。

まさに日本の近代遺産である。

 

建築家・三分一博志が自然エネルギーに導かれてデザインした、

世界でも稀有なミュージアムだという。

至高体験としてのピーク・エクスペリエンスが待っていることだろう。

スピリチュアルな体験が新しい価値の地平を切り開く時代だ。

ご成功を祈る。

 

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