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2008年8月26日 美は意識によって育つ
エスモードジャポン代表の仁野覚氏が私のオフイスに来られ、 久しぶりに食事をしながら歓談した。 エスモードは、1841年ナポレオン三世の宮廷服飾師であった アレクシス・ラヴィーニュによってパリに創設された、 世界で初めて誕生したファッションの専門教育機関である。 エスモードジャポンはその長い歴史を背負った日本校である。
都市は何によって成り立つかというと、それはやはり文化である。 商業も産業も、その文化の副産物として成り立つのだといってもいい。 だから商業や産業を押し出しすぎた都市は、 早晩消えていく運命にある。 京都がなぜ1200年も生き延び、 パリが今でも世界最大の観光客を誇っているのかを見れば、 それはよく分かる。 いずれもその文化の求心力が世界を捉えて離さないからだ。
始業時間の前に来ているという。 だから先生はその前の7時ごろ来る。 学ぶということは意識の問題であり、 意識だけが行動を決定付ける。 美は意識によって育つのだ。
パリも京都も、自然に作られてきたのではない。 それはある種、意識的に「美の中心」として位置付けられてきたからだ。 ただ自然に育ってきたものは自然に滅びる。 意識的に育てられたものだけが、 その自意識によって生き延びていくのである。
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