|
2009年2月 3日 創造における足跡への回帰
東急Bunkamuraが20周年を迎えて、記念企画を開催している。 「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」を観てきた。 ドイツの代表的美術館、 ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館のコレクションである。
2人は近代美術が現代美術へと転換する屈折点としての20世紀前半に、 絵画の具象から抽象への革命を成し遂げたキーマンである。 既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊を放ち続けた ダダイズムと重なり合いながら、 なおもピカソとクレーならではの固有の輝きを失わなかった。 写し取る絵画から創造する絵画へ。 まさに今日のマーケティングでいう「伝え方の革新」である。
あらゆるイノベーションは、まずインディーズから始まる。 孤立した先鋒者だ。 20世紀はどのような美意識の世紀をはじめようとしていたのか、 それが引き継がれてどのような美の潮流が 21世紀に始まろうとしているのか、よく分かる展覧会である。
美こそどのような経済体制、政治体制のパラダイム変化にも耐えて、 脈々と引き継がれていく人間の魂そのものではないだろうか。
|